WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

立原正秋箴言集(1)

2006年09月25日 | 立原正秋箴言集

 先日、このブログで立原正秋の『恋人たち』及び『はましぎ』を話題にしたが、立原の作品にはところどころに意味ありげな箴言がちりばめられている。一時期熱心な読者だった私は、少なからず影響を受けたものだ。今となっては、その多くを忘れてしまったが、かつて熟読した文庫本をひっくり返し、いくつか紹介してみたい。

キリスト教では、希望のつぎには、つまり希望が達成された後は、愛が一切となる、ということになっているらしいが、冗談じゃない、それでは人間は窒息してしまう。(『はましぎ』角川文庫)

 この言葉は、F・ニーチェの『道徳の系譜』『善悪の彼岸』とならんで、私がキリスト教に関心をもちつつも、それを相対化できる根拠のひとつとなっている。簡明な言葉だが、意味は多岐にわたって解釈することが可能であり、その意味で「深い」。


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