須崎「鍋焼きラーメン」を、高知駅前でお手軽に
酒とカツオのアツい街・高知。高知市の西、県中央部の須崎市には、土鍋で提供される「鍋焼きラーメン」というご当地麺が存在する。その発祥は戦後すぐに創業した「谷口食堂」だという。ご主人が亡くなり、昭和55年に閉店したため、残念ながら、いまはその味に触れることは出来ないが、いまも伝説の店として語り継がれる。
須崎市には、谷口食堂の流れを汲んだ店が、現在40軒ほどあるという。では、なぜ「鍋」だったのか?それは出前の際の保温のためだという。元々はホーロー鍋を使っていたそうだが、それが土鍋に変わっていったのだとか。新潟の燕では出前時の保温のために背脂を使い、須崎では鍋を使った。その地域差が面白い。
さて、その須崎市だが、高知駅から特急で40分ほどの距離にある。足を延ばす時間が無い、という方、ご安心を。高知駅前にも鍋焼きラーメンを提供する店が数軒ある。そのひとつ、駅北口すぐの「千秋」へ。メニューは鍋焼きラーメンとライスのみ。このあと呑み会を予定していたので、今回は少なめの「並」をオーダー。
なお、須崎商工会議所が定める「鍋焼きラーメン」のルールによると①スープは親鳥の鶏ガラ醤油ベース ②麺は細麺ストレートで少し硬めに提供 ③具は親鳥の肉、ネギ、生卵、ちくわなど ④器は土鍋、ホーロー、鉄鍋 ⑤スープが沸騰した状態で提供 ⑥タクアンを一緒に、という。もちろん「千秋」も、その条件を満たしている。
まずアツアツのスープから啜る。醤油の風味と塩味が少々強いように感じる。そこで、さっそく生卵を割ってみると、一気に味がまろやかになり、鶏ガラの旨味がフワッと香る。麺は固めで歯ざわりが良い。歯ごたえのある親鶏の肉は、噛むほどに旨味が出る。シンプルに見えて、これは奥が深い。呑んだシメにもピッタリだろう。
<店舗データ>
【店名】 鍋焼きラーメン千秋
【住所】 高知県高知市新本町2-15-11
【最寄】 JR土讃線「高知駅」北口徒歩3分