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権限の裏には責任と義務がある

2020年04月25日 | 処世訓(highdy のことば)


職務権限の裏には責任も義務も伴う
 権限の任せ方にも2通りあり、丸投げで任す場合と、一部を権限移譲する場合があります。
世の中にはお役所やゼネコンをはじめとする大手企業のように、協力会社(下請企業)に丸投げしてろくに管理もせず知らぬ顔(?)、下請や孫請の失敗に備えて(?)保険的に一定金額をピンハネしてプールしておき、うまくいけば丸儲け(!)するスタイルが横行しています。

(少々言い過ぎかな? それに言葉も汚くて申訳ありません! highdy が大手企業を退職後、務めていたスーパーゼネコンではそのような状況は見受けられませんでしたが、意外に多いのです。公共事業では特に多く、力のある大企業同士が互いに争うのを避けるため、談合で決めて下層の企業へ発注するのです。あらゆるところで水面下での談合は、いつまでも無くならず、時々暴露されて問題になっています。天下りを受け入れる企業は、間違いなく怪しいことをしています。それがメリットなのですから・・・。

その場合でも、顧客側からみれば、すべての責任・義務は元請会社に存在するのは明白です。
社内の職務権限の場合も、丸投げする全権移譲一部の権限移譲があり、全権移譲では多くの場合、オーナーが裏で操作し表舞台に現れないスタイルです。
それに比べて大部分の権限移譲は、職位階級に応じて一部の限定した決裁権などを定めて権限移譲をするものです。
では、より具体的に任せる側と任せられる側について考えてみましょう。



任せる側の権限・責任・義務
 どんな任せ方であろうと、任せる権限を持っている人は、部下が経営目標に対して向かっている方向が適切か、進捗状況に問題はないか、常に管理・監督する責任と指導・統制する義務を負います。
ただ、任せる場合によく問題になりやすいのが、決済権限や予算の問題です。部下が仕事を進める上で、どの範囲やレベルまで独断・採決できるか、予算はいくらまで使えるかを明確にして任せないと、思い切った実行力は発揮できません。
また、部下から報告がないことを「便りなきは良き便り」と、決め込んで放置するのは無責任で、管理者としての義務の放棄です。
会社の大小にかかわらず、ワンマン会社でない場合、あるいはワンマン会社であっても、しっかりした会社では職務権限が明確に設定されています。

任せられる側の権限・責任・義務
 どんな権限でも任せ与えられた側には、任せる側の意向に沿って進める責任と仕事の「ホウ・レン・ソウ」を守る義務があります。
任せられたのだから、何をどんな方法で遂行してもよいということはありません。予め指示のないことについては、適時、報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)により、上位職権を持つ管理職に確認する義務があります。
highdy も若い社員にはよく言ったものですが、良い報告は遅れても問題は起こりません。寧ろ隠していて、後から判ると「謙虚さ」を褒められることすらあります。
しかし、悪い報告(例えば、製品の不具合・事故)ほど、どんな些細なことでも、一刻も早く上位管理者に連絡すべきなのです。その対応次第では、会社の信用問題にも発展しかねません。
その最たるものは、「クレーム処理法」(そのうち別項で扱います。)です。クレーム処理を間違うと、簡単に解決できるレベルの問題が、顧客の方から会社の担当者を飛び越えて上層管理職に連絡が入ってしまいます。
その上層管理職がさらに対応に失敗すると、事態はますます悪化してしまいます。その意味でも、上層管理職はクレーム案件の早期把握・早期対応が必要なのです。



資質を問われる管理者
 権限・責任・義務の使い分けがうまくできず、部下に任せるべき部分を任せられず、任せてはいけない、指導すべきところが指導できない資質を問われる管理者がいます。
部下を信頼できずに、自分が責任を取るのが怖くて任せられない管理者もいます。管理者というものは、上層部になればなるほど孤独に責任を負う職務です。職務手当が多くなるのは、その我慢料であり、残業手当を含めた部下の指導料が含まれているのです。
資質のある管理者は、その孤独なつらい悩みを避けつつ最良の決断をするために、優秀なブレーンを常に身近に配し備えているものです。




コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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highdyさんの実体験によるアドバイスには説得力がありますね。 (fumiel-shima)
2020-04-25 09:44:56
四つに分け、丁寧に解説された内容には
私も過去に思い当たることがたくさん
ありいろんな場面を思い起こすと管理者
の言動が如何に大切かということを再認
識させられます。
この四項目のすべてを現政権に当てはめ
るといかに「権限」「責任」「義務」が
軽んじられ、保身に汲々としているかが
わかりますね。
全員が目標達成のため一つの方向に向か
うにはこの四項目を無理なく行うことだ
と解っていてもスムーズにいかないこと
もありますよね。
悪い形のワンマン上司の場合でも部下は
諦めたり不承不承従うのではなく、いろ
んな角度から提案したり、恐れずに意見
具申することによってその勇気が相互の
理解や信頼に結び付くことも少なくない
と思います。
恐らくhighdyさんもご自分の実体験から
得られた貴重なものを仰ってるものと
思います。
私もかって良い結果成果は全部自分の
功績、悪い結果や評価は部下に責任を
擦り付ける・・という上司と仕事をした
ことがあります。
勿論不当な扱いを受けたりよからぬ中傷
されたこともありましたが、中間管理者
として部下を守りながらその厭な上司の
窮地を救ったことと諦めずに改善提案を
したことが職場に大きな成果をもたらし
たという貴重な体験がその後の私に大き
な自信を与えてくれたという例もありま
した。現役を引退して久しい私ですが
企業の大小ではなく仕事をする人たちに
会う機会があればその都度、highdyさん
のこの四項目を押し付けるのではなく
それとなくその人たちの現状や意見や
声を聞きながら伝えていってみたいと
思います。
科学や技術は日々進化し、便利で効率の
よい社会になっても人として大切な思い
や信念、利他の感情は何にも勝るもので
それが忘れ去られてしまうことのないよ
う若者よりちょっと先輩の私たちが時に
は優しくアドバイスできればいいかな?
という思いをもって・・・





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ご理解ありがとうございます。 (highdy)
2020-04-25 15:37:43
fumiel-shima さん
 highdy と近い年代であり、類似の実体験も多かった fumiel-shima さんだからこそ、ご理解頂けているものと感謝します。やはり、数多くの経験して身に染みて感じたことは、自信をもって発言できます。時代や年齢層が異なると、多少状況は変化しても基本的なことはそう簡単には変わらないと思います。
 公務員の方々は、悪法であれザイル法であれ法令に基づいて職務を遂行する必要があるため、困った人がいようがいまいが全く関係ありません。先ずは保身が最優先です。
公務員ではあっても国会議員の場合は、名誉欲や金銭欲でやっている方が殆どで、自分の(徳ではなく)得にならないことはしません。昔のように愛国心や正義感でやっている方は皆無と言っていいほどです。ボランティアでできる人がいれば、ノーベル賞ものです。
記事に書いたような内容は、お役人や国会議員には全く当てはまりません。
諸外国に行って初めて分かることですが、アメリカなどでは、たかが市会議員と言えども、市民のために働いたしっかりとした実績がないと、どんな知名氏であろうと次回選挙では落選になります。
日本の国民はそこが甘いので外国からは馬鹿にされていますが、いい加減な個人の思いつき対応であっても、実績のない悪政であっても現政権が長く続いているのは国民にそのような慣習や評価能力がないからです。
今回の新型コロナウイルスの件でも、沢山の失政(チョンボ)があっても、政権内で浄化・修正する力は殆どなく、それに意見するブレーンもなく(居ても聞かないのかも知れませんが・・・)、外野で評論家がガヤガヤ騒いでも、より具体的な突っ込んだ素晴らしい提案は殆どありません。(だから、評論家なのですが・・・。)
マスコミも似たようなもので、注目されるニュースを流せば視聴率(=お金)が稼げればそれでいいので、highdy が流すような、アルコール消毒やマスクの問題などの情報・解説は非常に少ないです。
国民自体(特に若い人や国会議員)にも、もっと積極的に今の深刻な事態を解決しようとする姿勢が見られませんね。老人だけが Stay at Home を守っても、解決しませんよ!
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笊(ザル)法の間違いです。 (highdy)
2020-04-25 22:20:32
上記コメントの「ザイル法」は、「ザル法」の間違いでした。
いつもことながらですが、賢明な読者は直ぐにお気づきになったと思います。
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