Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

心理学研究の学問的価値

2007-02-18 | Education
 科学としての心理学の研究を評価する際、あるいは実際に自分の研究論文でその研究の意義を主張する場合、その評価基準を明らかにすることは重要である。というのは、人文科学系の研究あるいは論文では、しばしば研究自体の意義が曖昧ないし「趣味的」ととらえられがちであって、時にはその深遠な言説に価値を見出そうとする傾向さえないとはいえないのに対して、科学としての意義はより公共的な立場からの評価に耐えるものであることが求められるからだ。
 そこで、みずからの研究の価値も含めて研究活動を評価する際の目安として、以下に具体的に3点をあげてみたい。1) そのテーマについて研究をしているひとたちが、必ず引用してみたくなるデータを提示している。2) 提案されているモデルや方法がこれまでにないもので、今後の研究に有効である。3) 論文として主張と論理が明快で、完成度が高い。
 科学としては、信頼できるかたちで理論的あるいは実際的に価値のあるデータが提示されることはもっとも重要であるといえる。また、その論文で提案されたモデルや方法がほかの研究にも適用できるならば、学問の進展に大きく貢献することはいうまでもない。さらに、しばしば重要なことは論文の表現自体が明晰で読みやすいことである。これには、ただやってみただけで計画性の乏しい研究などは当てはまらない。これら3点のうち、論文としての完成度は、常に一定の水準でもとめられる必要条件であろう。データの価値とモデルや方法の意義は、どちらかにウェイトがかかるのが普通ではないだろうか。
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