Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

「資格」をめぐって

2006-11-11 | Social issues
 いわゆる「資格」に関して、業務独占資格、名称独占資格、さらに必置資格を区別することがある(wikipedia.org)。必置とは、旅行業務取扱管理者のように業務を行う際に必ずおくことが法的に規定されている資格をさす。心理学関係の資格の議論において、業務独占を目的とするならば資格化の趣旨は最も明快となるだろう。これに対して、単なる名称独占の主張は、もし国家資格化をめざすならば、既存の類似資格のなかで特定の資格のみ国家資格化する必要性が希薄である、という指摘に答えられるのだろうか。また、名称独占の問題とともに、現在のように必置に準ずる規定を曖昧な形で既成事実化しようとすれば、専門職としての業務が確定されず、むやみに多くの業務を抱え込むことになり、結果として高度の専門性を達成・維持できないおそれが生じると思われる。さらには、業務範囲を明確にせずに特定の資格のみを国家資格化し、さらに実質的に必置資格化すれば、そのほかのすぐれた専門性を有する資格を排除することになり、結局不利益を被るのはそのサービスを受ける側であろう。
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