Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

卒業論文の評価:問題を提起することの価値

2006-02-16 | Education for 3,4年
 例年この時期は卒業論文や修士論文の評価の時期である。昨年も書いたことだが、心理学の卒業論文で、剽窃とまでは呼ばないまでも他の研究をほとんどそのまま繰り返して「追試」と称しているものがあり、これはいかにその体裁が良くとも卒業論文の評価としては問題があることをもう一度指摘しておきたい。
 そもそも卒業論文を課す理由は、みずから問題を提起し、その問題の答えを導くため方法を工夫すること、さらに計画的にそれらを実施することや、途中の失敗や新たな問題を自分なりに解決する過程に教育的な意義があるからである。他の研究をそのまま繰り返せば、そのような課題のほとんどが問題とならずに看過されてしまい、問題提起と解決という研究活動のもっとも重要な側面が無視されることになる。仮にその研究を追試することに意味があると主張するならば、その根拠を明確に提示するべきであろう。
 問題をどのような根拠をもとに提起するのか、は論文の根幹であろうから、その点は卒業論文の評価項目として重きをおかれてしかるべきであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする