平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

ダライ・ラマ『思いやり』(3)

2006年11月18日 | 最近読んだ本や雑誌から
(2)「空」を理解する心

書き忘れましたが、《「空」を理解する心》という講演は、2005年に金沢の仏性會という集まりで行なわれたものです。おそらく僧侶向けのお話で、そのため内容が専門的になっているのではないかと思います。

さて小乗、大乗、密教の関係ですが、

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チベット仏教には、「小乗仏教」「大乗仏教」「密教」のすべての教えが説かれているという点で、とても重要な意味をもっていると思います。
 ですから、パーリ語で説かれている小乗仏教の教えを修行せずに、サンスクリット語で説かれている大乗仏教の教えから修行を始める、というようなことはありえません。はじめにパーリ語で説かれた小乗の教えを修行し、これを土台として、サンスクリット語で説かれた大乗の教えを積み重ねていくことが必要です。
 そして大乗仏教には、顕教としての教えである波羅蜜乗と密教の教えである真言乗(金剛乗)があり、大乗の教えに関しても、まず顕教の教えをすべて学んで修行したうえで、密教の修行を積み重ねていかねばならず、顕教の修行という土台なしに突然、密教の修行に入る、ということはできません。(51~52頁)
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3つの教えをまとめますと、

小乗仏教
大乗仏教――顕教(波羅蜜乗)
      ―密教(真言乗、金剛乗)

ということになります。ダライ・ラマは、3つの教えを段階的に学んでいくということが大切だ、と強調しているのです。

彼がこのように言う背景には、日本における密教の流行への懸念があると思います。密教は一種の神秘力と関わってきます。そのような神秘力を売り物に密教を宣伝する教団があります。その典型が例のオウム真理教です。

ダライ・ラマは日本で痛い想いをしたことがあります。

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数々の宗教テロを実行したオウム真理教に、ダライ・ラマの権威を利用され、教団の実情を知ってか知らずか音響機器や光学製品を寄贈され受け取ってしまったことがある。この時、教祖の麻原彰晃とツーショット写真を撮った為、それを教団の宣伝に使われてしまった。

1995年3月、来日の際、成田空港で記者達よりそのことについて質問ぜめにあってしまった。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%9E14%E4%B8%96#.E3.82.AA.E3.82.A6.E3.83.A0.E7.9C.9F.E7.90.86.E6.95.99.E3.81.A8.E3.81.AE.E9.96.A2.E4.BF.82

ダライ・ラマは立派な聖者ですが、五井先生のような霊覚者ではありません。自分に近づいてくる人々がどの程度の霊格であるか、たちどころに見抜くまでには至っていません。つまり、ダライ・ラマも真の悟りを得ていない、修行中の身であるということです。

麻原彰晃は、いわば小乗と大乗(顕教、波羅蜜乗)をすっ飛ばして、いきなり密教に走ったために、道を誤ってしまったわけです。ダライ・ラマはその危険性を指摘しているわけです。



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