平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

ダライ・ラマ『思いやり』(2)

2006年11月17日 | 最近読んだ本や雑誌から
(2)「空」を理解する心

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 四聖諦、三十七道品、三学の教えはみな、小乗仏教の経典で説かれている教えです。これらの小乗仏教の修行を土台として積むべき、菩薩の乗り物(菩薩乗)とも呼ばれる大乗仏教の修行には、愛と慈悲に基づいて菩薩心を生起する修行や六波羅蜜の修行があります。 そしてさらに、これらの修行のうえに積み重ねるべき真言乗、すなわち密教の修行とは、密教に特有の「止」と「観」の双入による禅定を成就することであり、これらの修行をいち早く達成するために密教の教えが説かれたのです。(51頁)
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仏陀直伝の教えは小乗仏教です。日本の仏教は、観無量寿経や法華経などの大乗仏教に強い影響を受けていますが、これらは仏陀の死後に生まれた経典です。

小乗仏教には実に細かい修行カリキュラムがあります。

■四聖諦
「釈迦は成道の後、鹿野苑(ろくやおん、ベナレス)において、初めて五比丘のために法を説かれた(初転法輪)。この時、釈迦はこの四諦を説かれたといわれ、四諦は仏陀の根本教説であるといえる。
 四つの真理とは、
  人生は苦であるという真理と、
  その苦の原因は人間の執着にあるという真理と、
  この苦を滅した境地が悟りであるという真理と、
  その悟りに到達する方法は八正道であるという真理である
であり、これを順に苦諦・集諦(じったい)・滅諦・道諦と呼ぶ。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%AB%A6

■三十七道品
 四念処・四正勤・四神足・五根・五力・七支覚・八正道の三十七の悟りへの手段のこと。煩瑣になるので説明は省略。

■三学
 戒律、禅定、智慧の三つ。

これらをきちんと実践すれば、仏の悟りを得ることができる、と仏陀は教えたのです。

しかし、このようなカリキュラムは、仏道に専門的に取り組む僧侶でなければ実践できません。社会生活を送る一般人にはとうてい無理です。それは狭い道、一部の人しか乗れない小さな乗り物、小乗仏教と呼ばれるようになりました。そこに、在家信徒でも悟りに入れる道、大勢の人が乗れる乗り物としての大乗仏教が生まれました。

しかし、大乗仏教でも悟りに至るには長い時間がかかります。それをさらに短縮し、肉体を持ったまま仏になる、即身成仏の手段として、密教(真言乗、金剛乗)の修行システムがあみ出されました。



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