平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

日本沈没(2006年8月)

2006年09月02日 | バックナンバー
 『日本沈没』が映画化された。これは作家の小松左京氏の同名のSF小説の二度目の映画化である。最初は一九七三年であるから、それから三三年ぶりのリメイクということになる。

 筆者も若いころこの映画を見たが、日本の沈没の様子がかなりリアルに描かれていた。これは、数百万年、数千万年のタイムスケールで日本列島に起こる変動を、二年という短い期間に縮めて描いた事象であるという。映画には、地球物理学の専門家・竹内均東大教授も出演して、日本列島近辺の地殻構造について科学的に解説してくれた。プレート・テクトニクスという専門用語が一般に知られるようになったのも、そのころからではないかと思う。

 当時の日本は石油ショックの影響もあり、極度の物価高に見舞われ、戦後の高度経済成長にもようやくかげりが見え始めていた。日本人の多くは、日本の将来に漠然とした不安を感じ始めていた。そういう世相に合致したためでもあろうか、『日本沈没』は小説も映画もたいへんなヒット作になった。しかし、大部分の観客はこの映画を、想像力が描き出した、実際には起こりえない架空の出来事として観ていたと思う。

 しかしその後、阪神大震災が起こり、またスマトラ沖大地震・津波が起こり、日本沈没とまではいかなくとも、大きな自然災害が起こりうることが人々の意識にのぼってきた。地震学者は、関東地方や東海沖や南海沖で近い将来、巨大地震が起きる可能性を指摘している。原子力発電所、貯油タンク、新幹線、高速道路、ガラスを多用した高層ビル、自動車といったものに取り巻かれている日本の社会は、いったん大地震に見舞われれば、想像を絶する災害を被る可能性がある。

 今日の地震学では、地震は地殻プレートの動きや断層のずれなどで起こると考えられている。もちろん自然現象としてはそうである。しかし、人間の活動が自然界に大きな影響を与えていることも忘れてはならない。急速な温暖化は地球のバランスを崩している。大規模な自然破壊や核実験や戦争が地球に多大の悪影響を与えていることは言うまでもない。さらに、これはまだ今日の科学的常識には入っていないが、人間の想念は一種のエネルギーとして地球に影響を及ぼしている。その想念エネルギーは争いに満ちた不調和なものであるので、地球はそれによって地殻内部に不調和なエネルギーをため込んでおり、それが解放されるときに、地震が起こるとも考えられるのである。地震対策を進めることはもとより大切だが、それ以前に、人類が自然破壊をやめ、地球という生命の母に日々心から感謝を捧げることが、地震を小さくすることにつながるのである。

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1 コメント

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なぜか日本沈没に惹かれる ()
2006-09-03 13:28:52
初めて映画を見て以来、日本沈没にたいそういれこんで、その理論なども調べたりしました。最近の研究では、地殻内に微生物の存在が確認され、ひょっとしたらマントルの沈み込みと一緒にマントル内にも生物がいるのではという考え方もされるようになってきました。日本列島は毎年雪の重みで数センチ沈降するんだそうです。また、伸び縮みを繰り返していて、まるで肺が呼吸しているように地球はふくらんだり縮んだりしているんですね。



なぜ日本人に「日本沈没」なんて発想が出たのか?列島の特異な構造もさることながら、考えてみると、おそらく、今日本人として生まれている魂は、かつて同じようなことが起きた記憶を持っているからではないかと思いました。
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