平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

皇室の慶事(2006年10月)

2006年11月02日 | バックナンバー
 九月六日に秋篠宮様ご夫妻に親王様が誕生された。皇太子殿下、秋篠宮様に次ぐ、第三の皇位継承権者の誕生である。

 皇太子殿下には愛子様以外、お子さまがいらっしゃらないし、第二子誕生の可能性も小さい。そこで、女性にも皇位継承を認めるように皇室典範を改定すべきではないか、という議論が起こり、首相の私的諮問機関が、女性や女系にも皇位継承を認める意見を答申した。ところが、その直後に紀子様ご懐妊の報があり、国会での皇室典範改定の議論はペンディングになった。そして今回の男のお子さまの誕生によって、この問題の議論は当分遠のくことが予想される。

 しかしながら、現在の皇室に今後も必ず男子が生まれつづけるという保証はどこにもない。皇位継承を男系男子に限定しているかぎり、いずれまた皇統断絶の危機が起こることになる。皇位継承の問題は今後も国民各界がよく議論して、皇室の伝統とも調和させながら、国民的合意を形成していく必要がある。

 歴史的には帝政や王制の国は決して少なくなかった。というよりも、過去の政体はほとんんどすべてがそうであったが、敗戦や革命によって、近代に多くの帝室や王室が消滅した。皇帝や王は強大な権力を握る政治的存在であったから、国内外の政治情勢の変化によって打倒されてしまったのである。日本の皇室は、武家政治の中で政治的権力を失い、権力とは遠い立場にあったことによって、そのような変動をまぬがれることができた。皇室が、数千年の歴史を乗り越え、しかも未曾有の敗戦にもかかわらず、現在も存続しているということは、一種の奇跡である。語弊のある言い方になろうが、いわば「世界遺産」のような貴重な存在であり、それだけでも維持してゆく価値がある。一国の経済力や軍事力はごく短期間でも獲得することができるが、長年の歴史と伝統は一朝一夕では形成されないのである。

 今回の親王様御誕生は、日本国内で大きな慶びをもって歓迎されたばかりではなく、世界各国でも大々的に報道された。日本の皇室だけではなく、世界の王室も何かと人々の話題と注目の的になる。民主主義という政治理念においては、人々の間には生まれによる貴賎の差別はあってはならないことになっているのだが、人々の心の中には、皇室や王室を崇敬したり憧れたりする気持ちが相変わらず働いているようだ。

 王室が残っている大部分の国でも、王はかつてのような権力者ではなく、立憲君主である。とくに日本の皇室は国民統合の象徴として重要な役割を演じている。日本人は今後、皇室を中心に心を一つにして、日本を世界平和に貢献する立派な国にしていかねばならない。


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