仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*ゲーテとメンデルスゾーン:

2024年05月10日 08時42分53秒 | 文学・学問・詩・余滴: Ⅰ

     今はあまり知られていない作曲家ツェルターは、ゲーテの晩年に10年ほど親交のあった友人である。    そして彼との書簡によく出てくるフェリックスというのは、メンデルスゾーンのこと。

 彼が若干21歳、ゲーテは晩年の80歳のころの親しき交流で、フェリックスはイタリアのローマから手紙を送る。

 メンデルスゾーンの作曲に「イタリア」があるが、イタリアはゲーテに多大な影響を及ぼした国である。                            というのも、ゲーテは37歳の時、秘かにヴァイマールから脱出してローマに辿り着くと、古典主義の大作 「イフィゲーニエ」 Iphigenie auf Taurie や  「トルクワード・タッソー」 を書き上げている。

    太陽の燦燦と降り注ぐ南の明るい国イタリア。: それに比して、暗い北国のドイツ。・・・  イタリアは当時、ゲーテ憧れの地であり、いかに素晴らしき国におもえたことかは、彼の個々の詩や詩集「ローマ悲歌」 Rom-ische Elegienなど見ても分る。

 ところで、ゲーテが今,どの程度、浸透しているかは問うまい。        当時も、大衆作家で人気のあったイフラントやコッツェブーと比べれば遠く及ばなかったという事実もある。                          だが、今なお読み継がれ、ゲーテ全集が年を追って幾度も編纂、出版され、深く研究されてきたことを見れば、ゲーテは偉大なる詩人であることは疑いもない事実なのである。

 


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