澄み渡る 夏の夜 草原は露に濡れ 崇高なる星屑の まばたきは 宇宙の揺り籠に 戯れり されど 原始の岩層は 黙して語らず
耳傾けん 遥か彼方の 海鳴り : 岸辺に 波の砕け散るがごときなり 耳傾けん フルートの音色: 西の方より 風に運ばれて 来るなり
そして 早や 東の方に 夜の明けるや 花咲く谷間に 沈黙の漂ふなか かく告げしなり: この世は 静寂にして いと よきものかと・・
Gottfried Keller; 1819- 90. Nacht Lieder eines Autodidakten
Dt. Lyrik vom Barock bis zur Gegenwart dtv. ebd. S.191..
チューリッヒ生まれのケラー。若いころ絵をかき 徒食の生活を送った。が、州政府の奨学金でハイデルベルクに留学。それからは、 紆余曲折のあと 文学に目覚め 19世紀写実主義の代表的作家となる。