仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*愛と魔法 : ティークより

2023年02月19日 15時44分29秒 | ギャラリー:世界の文学 Ⅰ

森のしじまに さえずる小鳥:  春の息吹は 甘くやさしく 

木々の葉ずれ 花も 歓び震ゑ  月は 燦然と光を放ち 

夕べの風も かぐわしく  菩提樹の香を漂わす そんななか               愛は 華やぐ薔薇のよう 星に煌めき

されど なほ 愛らしきは 蠟燭の青き炎に照らされて

小部屋にひとり 乙女がいれば 乙女はたおやか 

髪をすきつ編みつ 薄き衣に包まれ 栗色の巻き毛に 花冠が飾られ 

やがて 響きわたるリュートの音色 目覚めたように戯れ 跳ね回り

乙女が歌えば 歌声が追いかける

いや ! もう いや  音が かんぬき閉ざしても 愛は戯れ遊ぶ・・

   *- * - )))

 エミールは待つ間に こんな詩を認めた。👆

向かいに棲む娘への恋心の吐露。 彼は夜な夜な 眠れず、             と その時  階段を上ってくる音。ノックもせずドアが開き、仮面をつけた男が入ってきた。ローデリックは いきなり 声を掛けてきた。

冴えない顔して どうしたというのだ、カーニバルだというのに。           今宵は仮面舞踏会だ。一緒に来い。約束したではないか!..」  

            ティーク「愛の魔法」より

**ティークは1773年生まれ。19世紀ドイツロマン派の作家、80歳の生涯を過ごした。

作品には「美しいマゲローネ」や「ハイモンの四人の子らの物語」など。

           

 

 

 

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