騎兵はガブリーに、ローマに来られるときは礼儀をわきまえ、ふさわしい身繕いで来るよう金を手渡し、あれこれ報告し命令を伝えると立ち去っていった。
ガブリーニは手にした大金の一部は手元に残し、他のすべては裏庭の大きな桜の木の下に隠すと、ローマへ旅立った。
騎兵はガブリーニに所持品は一切、携えてきてはならぬと伝えていた。だが、薔薇椋鳥からは離れがたく、鳥籠を携えていくことにした。
こうして、馬方とともにローマに辿りつき宮殿に着くと、衛兵らが引き止め鳥籠を見て笑いこけた。だが、書状を見せつけると衛兵はペコペコお辞儀をし、中にいれ身分の高い男に通した。この男もまた、丁寧に回廊へと引き連れていき、ガブリーニはコーラと出会ったのである。
コーラの眼は相変わらず火のように輝き、体からは活力をみなぎらせ、まとっていた衣装は豪華なものであった。
ガブリーニはコーラと抱き合うと、甥の耳朶をつまんで云った。
大した人物になったものだのう、・・わしのところにおったことを覚えておるかの。亡くなった家内はいつも、云っておったものぢゃよ。少しもじっとしておれぬ男じゃと。
と、このとき、ベッピーノは間髪をいれず叫んだ。 おっ早うございます、もう一杯、如何❢...
コーラは、やあ、なかなかよい鳥じゃ。よい鳥を引き連れてきた。こう言い残すと、急ぎ議会へ行ってしまった。執事が近寄ってくると、ガブリーニを部屋へと案内した。
ベルゲングリューン短篇より