ガブリーニは一族と食事を一緒にしなく、別の食卓で取りはじめた。召使用の食卓であったが、食事が劣っていたわけではなく、アナーニの村では代官でさえ、このような上等な器で食べたことはないほどのものだった。
ガブリーニは、やがて召使から告示板を通して、いろいろ知らされた。:コーラが教皇や皇帝らと司っている政情は、どんなか、また、国の無秩序に終止符を打ち、平和を取り戻すため選帝侯を近々ローマに召喚させるのも間違いないなどと。こうして、かなりのことが明らかになってきたが、 こんなことも知らされた。:
コーラがローマ教皇の礼拝堂の立派な洗礼盤で洗礼を受けたことや、(そこはコンスタンティヌス大帝もローマ教皇の聖シルヴェスターから洗礼を授かっていたのだ・・) コーラが騎士の称号を授かった際に大祝典で、七つの葉模様の飾りある月桂冠と銀の王冠を頂き、帝位についたことなど・・・。
W.Bergengruen :Das Vogel-Schalchen
ベルゲングリューン 「鳥の小皿」より