曲がり角の向こうに・・・

毎日の暮らしの中でフと心に留まった人やもの、そして風景を描きとめています。 

思い出のスケッチ旅 ― バリ(3)ー最終回

2020-11-13 | 絵  ➃水彩画

見出し画像は、前回チョッと思わせぶりな書き方をしていた作品です。 ウブドの繁華街?をスケッチポイントを探して歩いていると、道路の片隅に小さな祠があちこちにあるのが目に付きます。 人々(女性)がお供えの花やお供物を木の葉で作ったお皿に載せて、絶えずお詣りしているのでした。 朝も、昼もそして夕方にも、お詣りをする女性を目にして驚きました~~ 路上にお供物の山となっているところもありました。

よく見ていると、お供物にお線香を添え、お水(聖水というのだそうです)を振りかけてお祈りしていました。 どういう意味があるのか、ツアーの添乗員さんに聞いたところ、「自分たちに日々恵みを与えてくれる神への信仰と感謝の気持ちを捧げていると聞いています」・・・とのことでした。 

ホテルの庭のあちこちに置かれていた猿やカエルなどの石像にも、毎朝新しいお花が祈りと優しさと共に飾られていて、心和みました。 ホテルの浴室の壁には大小の石が花のような模様に組み合わされていて、その細やかさに感心しましたが、同じ様式の壁を町中でも見かけました。 それも絵の中に描き入れましたが、余程気に入ったのでしょうか・・画面の半分近くも壁が占めていて、本人は多分石の一個一個の組み合わせを楽しみながらシコシコ描いたとしか思えません・・・

N先生のペンスケッチ教室では、その後もイタリア、ベトナム、モロッコなどの年2回の海外スケッチ旅を楽しんだ後、教室を自主卒業(^_-)し、ムサビの通信課程の2年に編入して日本画を学ぶことにいたしました。 およそ10年前のことです。 

その前後に夫の病気が発症し、夫が一人で留守番ができるうちに(スクーリングで大学まで出向かなければならない時もあるので・・・)卒業しなければ・・・夫のせいで退学したとは言いたくない・・・との思いで、人生でこれほどハードに勉強(作品制作に学科の課題とレポートに筆記試験)をしたことがない位ガムシャラに頑張って、最短3年で卒業に漕ぎつけました~~ 2014年の春でした。

それ以降、夫の病気は進行し続け現在に至っています。 唯一の作品制作の励みとして、年に一度開催される母校(高校卒業後学んだ大学)の「オール青山美術展」への参加を楽しみにボチボチ日本画を描き、その合間にペンスケッチなどの作品を描いている状況です。

昨年は、車の自損事故や夫の病気の急激な進行など気が揉めることが重なり、落ち着かず、「オール青山美術展」の作品に全く手が付かず、パネルに張った和紙が白いままで日が過ぎて行きました。 それでも、なんとか参加したい、そして仲間と会って色々話し、仲間たちの力作を見たい・・・との思いで、過去作品を振り返っている時に目に付いたのが、このバリでの作品「祈り」でした。

あの時、心に深く残った人々の謙虚な祈りの生活を思い出し、この作品を日本画にリメイクして描いてみようか・・・と言う気になって何とか描き上げたのが次にご紹介する作品です。

 

緑豊かな大地と、生き生きと咲く花々の中で、朝日に向かい自然と神に祈りを捧げる女性・・・私のバリです。

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今年はコロナの影響で「オール青山美術展は」中止になりましたが、来年の開催を信じて新たな気持ちで作品制作に向き合おうと思っております。 

お陰さまで家の中も大分片付いて風通しが良くなり、またバリスケッチの記事をこうして纏めたことが、図らずも自分の気持ちの整理に繋がったようで、なんだか仄かにやる気も芽生えてきたような気がします(^-^)

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