本日の推進会議で、障害者基本法に対する推進会議の第二次意見(素案)が出された。
障害者放送協議会で意見書を提出したところだが、事務局からその抜粋が示された。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_27/index.html
第二次意見素案
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_27/pdf/s1.pdf
気が付いた点は、
情報アクセスが保障されていない実態をもう少し文章化して入れても良いのではないか。
ユニバーサルデザインの項の説明があれだけあるなら、昨年の鳥インフルエンザで警戒度がフェーズ4になったときもチリ大地震の大津波警報の時も厚生労働大臣や官房長官が全国民に警戒を呼びかける際にすら、テレビ画面には字幕も手話もなかったのだ。
国と地方公共団体の責務はもちろんだが放送通信事業者の責務をもっと明確にすべきだ。
災害時の安否確認システムが障害者にも使えるのか、NHKは定時ニュース以外の臨時ニュースに字幕を付けるのか、画面にキャスターの横に手話通訳者を登場させるのか。
電話のアクセシビリティは世界でも遅れている。通信キャリアの責任を明確にすべきだ。
他にもまだありそうだ。
ラビット 記
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障がい者制度改革推進会議 第27回(H22.12.6) 資料1
第二次意見(素案)
目次
はじめに
I 障害者基本法の改正について
1 障害者基本法改正の趣旨・目的
2 総則関係
1)目的
2)定義
3)基本理念
4)差別の禁止
5)障害のある女性
6)国及び地方公共団体の責務
7)国民の理解・責務
8)国際的協調
9)障害者週間
10)施策の基本方針
11)その他
3 基本的施策関係
1)地域生活支援
2)労働及び雇用
3)教育
4)健康、医療
5)障害原因の予防
6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続きの確保
7)障害児支援
8)相談等
9)住宅
10)ユニバーサルデザイン
11)公共的施設のバリアフリー化
12)情報アクセス・コミュニケーション保障
13)文化・スポーツ
14)所得保障
15)政治参加
16)司法手続
17)国際協力
4 推進体制
1)組織
2)所掌事務
II 「障害」の表記
<本文>(関連箇所のみ)
途中略
2.総則関係
1)目的
(推進会議の認識)
【基本的人権の享有主体性の確認】
障害者を保護の客体であるとする見方から、すべての基本的人権の享有主体であるとの見方へ、考え方の根本を転換することが障害者権利条約の理念であり、今後の障害者施策の基本となるべきである。したがって、かかる観点から、障害者権利条約を締結することを目指して、障害者基本法の目的の見直しが行われるべきである。
略
3)基本理念
(推進会議の認識)
【基本的人権の享有主体】
法の目的でも述べたように、すべて障害者は、基本的人権の享有主体であり、障害者権利条約の理念である、「障害者を保護の客体から権利の主体へ」という考え方の転換を基本理念にも反映すべきである。
略
【言語・コミュニケーションの保障】
日常生活及び社会生活において、多くの障害者が必要な言語又はコミュニケーション手段を使用することに多くの困難を抱えているが、その問題の深刻さが省みられることは少なかった。それ故に、改めて、コミュニケーションに困難を抱える障害者が障害のない者と等しく人権が保障されるよう、手話等が言語であることを確認するとともに、必要な言語又はコミュニケーション手段の使用が保障されるべきである。
コミュニケーションを保障するための必要な手段には、手話、点字、要約筆記、指点字、触手話、文字表示、わかりやすい言葉、拡大文字、音声、朗読、触角による意思伝達、その他の補助的代替的手段、それら使用する通訳者や説明者等の人的支援、さらには容易に使用できるマルチメディア、トーキングエイド等の機器も含む。
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
・現行法の規定に加えて、障害者が基本的人権の享有主体であることを確認すること。
・地域社会で生活する権利を確認するとともに、その実現に向けた施策の具体化のための措置を取ること。
・障害者が必要とする支援を受けながら、自己決定を行えることが保障されること。
・手話等の言語性を確認するとともに、必要な言語及びコミュニケーション手段の利用が保障されること。
略
3.基本的施策関係
略
3)教育
(推進会議の認識)
【学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障】
手話・点字・要約筆記等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育を実現するため、ろう者を含む手話に通じた教員や視覚障害者を含む点字に通じた教員、手話通訳者、要約筆記者等の確保や、教員の専門性向上に必要な措置を講ずるべきである。
さらに、教育現場において、あらゆる障害の特性に応じたコミュニケーション手段を確保するため、教育方法の工夫・改善等必要な措置を講ずるべきである。
略
10)ユニバーサルデザイン
(推進会議の問題認識)
私たちの日常生活や社会生活は、障害者には利用できない商品やサービス、様々な社会環境に囲まれていると言っても過言ではない。
例えば、視覚障害のある人が、買い物やレストランに行くために、お金を引き出そうとしても、銀行のATMのタッチパネルを使えないし、駅の券売機も同じように使えない。ドラッグストアで風邪薬を買っても効能書きは点訳化されておらず、同時に買った胃薬も似たような容器であれば、風邪薬との違いも分からない。レストランに入ってもメニューはいちいち店員に全部読んでもらわなければ、中身が分からない。図書館で調べ物をしようとしても、点訳されている本は、ほんのわずかしかない。また、多機能トイレは誰にとっても使いやすいものになっている反面、その分利用者が増え、本当に必要な人が必要
な時に使えなくなっているのではないかという指摘もある。
このように、障害者は日常生活において様々な不自由を感じていることから、障害者があらゆる分野において社会から分け隔てられることなく、日常生活や社会生活を営むことができるように、ユニバーサルデザインの普及が不可欠である。
そして、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできるというユニバーサルデザインの考え方が、単に製品だけでなく、広く、環境、計画及びサービスの設計などについても、同じくなされなければならない。
そのためには、ユニバーサルデザインに基づく製品、環境、計画及びサービスの設計がなされるための、研究開発における具体的な指針やガイドラインの策定、財政的支援、計画的普及のための措置を含む体制の整備を図ることが必要である。
さらに、ユニバーサルデザインの普及とともに、障害者の補装具など、そもそも特定のニーズに応じることが求められるものや、障害者の日常生活や社会生活にとって障壁となるものを除去するためのバリアフリーのための措置も、同時に講じられなければならない。
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
・製品、環境、計画及びサービスの設計などに当たっては、可能な限りすべての人が利用できるようにするというユニバーサルデザインの理念が、施策に反映されるようにすること。
・その際には、可能な限り障害当事者が参画し、その意見を踏まえたものとすること。
略
12)情報アクセス・コミュニケーション保障
(推進会議の認識)
基本理念で述べたように、日常生活及び社会生活において、多くの障害者が必要な言語又はコミュニケーション手段を使用することに困難を抱えているが、その問題の深刻さが省みられることは少なかった。それ故に、コミュニケーションに困難を抱える障害者が障害のない者と等しく人権が保障されるために必要な措置が取られなければならない。
【必要とする言語及び多様なコミュニケーション手段の利用】
国及び地方公共団体は、すべての障害者に情報へのアクセスとコミュニケーションを権利として保障するため、障害者が必要とする言語及びコミュニケーション手段の利用を可能にする支援の確保やそれにかかわる人材の養成等、必要な措置を講ずるべきである。
【災害時及び緊急時の情報と必要な支援の提供】
国及び地方公共団体は、自然災害・人為による災害などの災害時や、交通事故等の緊急時には、通常の生活に重大な支障が生じる、又は生命に危険が及ぶあらゆる現象に関する情報と、これらの支障や影響を回避するための情報を障害者に提供しなければならない(発生場所、規模、内容、今後の動向、避難ルート、避難場所、避難先で得られる情報保障の内容(手話通訳者の有無等)、医療や配給等の情報、交通情報など)。
また、こうした情報を一方的に伝えるだけではなく、災害時及び緊急時に障害者と連絡を取り、必要な支援を把握、提供しなければならない。
【情報提供における障害者の参加】
電気通信及び放送その他の情報提供に係る役務の提供並びにコンピューターなどの情報通信機器の製造等を行う事業者は、役務の提供並びに機器の製造等のプロセスにおいて障害者の意見を聴取する機会を設け、もって利用者の利益の便宜を図るべきである。
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
・国及び地方公共団体は、情報へのアクセスとコミュニケーションを保障するため、障害者が必要とする言語及びコミュニケーション手段を利用できるよう必要な措置を講ずるべきである。
・国及び地方公共団体は、災害時において、障害の特性に対応した伝達手段により救急連絡等の必要な支援を障害者に提供できるよう必要な施策を講ずること。
・国及び地方公共団体は、事業者が障害者に障害のない人と同等の情報を提供できるよう、必要な施策を講ずること。
13)文化・スポーツ
(推進会議の認識)
自由にスポーツ・文化に参加し、これに貢献し、又は楽しむこと、そして、レクリエーション・余暇等を楽しむことは、障害の有無にかかわらず、すべての人の権利である。しかしながら、障害者はその機会へのアクセスを欠き、排除されることもある。また、文化やスポーツは贅沢なものであり、障害者の享受には制限があっても仕方がない、というような社会的通念もあるが、これらは変えていかなければならない。
現行の基本法には「障害者の文化的意欲を満たし、若しくは障害者の文化的意欲を起こさせ」とあるが、障害者は文化的意欲が乏しいという想定で支援しなければならないとも受け取られかねない表現になっている。むしろ、障害者が文化・スポーツ等に参加、貢献する主体であることを前提とした表現に改めるべきである。
【スポーツについて】
略
【文化等について】
障害者が文化、余暇、レクリエーション等を享受しようとする場合に、物理的バリアのため施設やその機会を利用できない、映画の字幕など情報保障の欠如のために文化作品等を鑑賞できない、文化施設等までの交通アクセスが整備されていない等の実態があるため、障害のある人が障害のない人と同様に文化、余暇、レクリエーション等を享受できるようにする必要がある。また、障害者が芸術・文化活動等創造的な分野で活動ができるような支援や環境整備も必要である。
このような観点から、以下を実施すべきである。
・美術館や博物館における字幕や音声解説の普及、鑑賞しやすい展示方法の改善や劇場での補聴援助システム等の整備などとともに、国内の文化的に重要な記念物及び遺跡、歴史的建造物への障害者のアクセスについて、どのような不都合が生じているかについての実態を把握し、可能な限り障害者の利用へ配慮を行うなど、鑑賞しやすい環境整備が行われるように必要な支援を行う。【文部科学省・関係省庁】
・第一次意見における情報バリアフリーの一環として、映画、DVDへの字幕付与等について、障害のある人に対する情報保障が行われるように必要な環境整備を図る。
略
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
・障害者は、文化、スポーツ、レクリエーション、余暇に参加し、これに貢献し、これらを楽しむ権利があることを確認すること。
・障害者は文化的意欲が乏しいので意欲を喚起させなければならないとの誤解を招きかねない現行の「障害者に文化的意欲を起こさせ」という表現は用いないこととし、障害者が文化を創造し、貢献する主体であることを前提とした表現を用いること。
以降略