難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

顕在化しない補聴器難民

2008年04月24日 09時17分18秒 | 生活
080420_1407~001.jpg080417_0841~001.jpg新しい補聴器の装用には、時間がかかる。

1.補聴器を使おうとするまでに時間がかかる。
難聴を自覚したり、家族など周囲に指摘されても、聞こえないことの障害を理解していない社会や対策の欠如がある現状では難聴はマイナスイメージとなり、受容しにくい。
またすぐ医者や補聴器店には行かない。痛みや実質的な損失が生じないしばらく様子をみることにしてしまいがちだ。

2.補聴器を選定するまでに時間がかかる。
補聴器を購入しようと決めても、診察を受けた医師から障害者自立支援法の補助制度を紹介されたりすれば、福祉事務所に行き申請の手続きをしなければならない。
各社から各種の補聴器が販売されているがアナログとデジタルの違い、メーカーによる音質や補聴理論の違いにより、その聞こえはまちまちだ。
何を基準にどれを選定すれば良いのか公表されたものはないなら判断に迷う。
補聴器を購入して、使い始めるまでに時間がかかる。

3.補聴器の音に慣れるまで時間がかかる。
補聴器から聞こえる音は大きく聞こえるので、最初は喜ぶがすぐその音がうるさいとか明瞭に聞こえないことが分かり、調整を求めれば良いが、きちんとした説明がないと諦めて使わなくなる。
補聴器の調整を適切にしても、脳が聞いた音(オン)が何を意味か理解し、記憶する(学習)まで時間がかかる。

4.補聴器の適する場面と適さない場面があることを理解するのに時間がかかる。
うるさい所や何人もの人が同時に話す場合は補聴器では聞き取れない。
補聴器のボリュウムを下げたり、耳を澄ませたりして聞き取ろうとするが、聞き分けられずあきらめてしまう。

5.聞きやすい環境を要求するのに時間がかかる。
 自分に聞きやすいように話してもらったり、静かな場所へ誘導したり求めることが出来るようになるには、そのことが自分の障害を克服するための自らの最低限の義務であり、環境形成は権利と言う意識がないと出来ない。


これだけハードルが高いと、補聴器を装用してQOLを高めることの出来ない難聴者が多いのも無理はない。
施策の不十分さ、社会の無理解による補聴器難民だ。


ラビット 記