難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

一人の難聴者が補聴器を使い始めるまで

2008年04月09日 12時35分52秒 | 生活

病院のチューリップ.jpg補聴器の装用は難聴者のエンパワメントに欠かせない。
しかし、難聴者が補聴器にきちんと向き合うためには、本人への支援が無さすぎるのではないだろうか。
補聴器を制度で給付すれば終わりではない。

まず難聴であることの正しい理解が必要だ。

「そう言えばタ行、サ行、ハ行の言葉が聞きにくいことが多いわ」
自分のオージオグラムはどういう難聴になるのか、聞えの特徴がどうなのかを理解していない人がほとんどだろう。
これは本人のせいではない。聴力検査を受けたり、オージオグラムの説明を受ける機会や聞く場ががなかったのだ。

「前に補聴器をした時は耳が痛くて使うのをやめてしまい、それ以来トラウマのように自分でも補聴器のことに触れないようにしていたの」
補聴器に対するきちんとしたイメージを持てないでいたのは残念だ。身近に相談出来る人がいなかっただろう。


道の花.jpg「補聴器でテレビのCMのやりとりが聞こえたので感激!」
「洗濯機の終わるピーッというのが聞こえたよ」
「この補聴器は付けてても聞えが余り変わらないように思う」
「補聴器はガチャガチャと裸耳では聞こえなかった音がうるさく聞こえるの。どう受けとめればよいのかしら」
「補聴器がキンキン聞こえてうるさくてしょうがない」
「この位で良いかなと思ってもすぐうるさく感じるのはなぜ?」
補聴器を使い始めるといろいろな音が聞こえてくるがメガネと同じようにすぐには使えないこと、その理由を説明し、補聴器に何を求めるのか聞き出しながら、聞こうとする意欲を持ってもらう必要がある。

「補聴器の助成の申請は病院に行けば良いのか、補聴器店かどっちかなあと思っていました」
難聴者としての自覚が生まれ、助成を受ける気になるまでには時間がかかる。
その意欲を引き出し、助成を申請につなげるのも自立へのエンパワメントだ。

補聴器と対話しながら、聞えの幅をの広げていくこと、さらに周囲の理解を得ることなどが行われなければならないが、これがシステム化されていない。

難聴者が自分の聞えに向き合い、一歩一歩、聞えに自信が持てるようにリードする役割を持つ人、ヒアリングサポーター、補聴支援者のような人が必要なのではないだろうか。
もちろん一定の講習を受けた人だ。日本ヒアリングインターナショナルの「認定ヒアリングアドバイザー」の考えに近い。
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/6229293.html

障害者自立支援法や高齢者補聴器給付制度で申請が少ないのは、決して難聴者のせいではない。


ラビット 記