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生まれ育った田舎に暮らし、毎日2時間かけて東京の下町へ。
オタク第1世代の会社員 「たぬきねいり」 のささやかな日常。

SPACE BATTLE SHIP ヤマト(ネタバレ)

2010年12月12日 | オタ話

ヤマト、見てきましたよ。かなり面白かったです。

最初の10分で想像よりはるかに良い出来なのが判りました。

VFX技術だけが先行して語られがちな本作ですが途中までは脚本も出色の出来だと思います。
イスカンダルに着くくらいまでは。

イスカンダルに着くまでは過去のヤマトのストーリーをベースに本作の設定に調整しながら
映像を「どやっ」て感じで見せてるんでぐいぐいと引き込まれます。

各登場人物の設定や人間関係も短い間によくこなせていました。
そこに関しては私としては申し分なしです。

古代の成長譚としてのアニメに対してこの映画では話をノーブルオブリゲージに絞ることで
ストーリーをシンプルにして、木村拓哉の年齢相応の悩みに仕上げているのも良かった。

ワープの描写もいいじゃないですか。 アニメの続編とかで敵が「なんと速いワープだ」なんて
いうのを聞いて頭を抱えていた世代としては原点回帰的なワープ、いい感じでしたよ。

尺の関係から発進とかワープとかの一つ一つのアクションの重厚長大さがアニメ程ではない
ですがそれでも十分見ごたえありましたよ。  西田敏行の徳川機関長なんて完璧でしたね。

艦内用語が日本語で統一されているのも半端な英語しゃべるより耳ざわりが良かった。

アニメのオマージュが多分に含まれているのも我々オールドファンをターゲットにしてくれている
ことが判って嬉しかった。

ただ、山本の件なんかこの映画で初めてのヤマトの人はちゃんとついていけているのかな?
と思ってしまいました。


全体としてすごい良かったんですけど、ここさえ改善されれば、っていうのをいくつか。


波動砲にガミラスのなんかがついたまま地球に来て苦戦しているシーン。
それまでのストーリーを見ていればこんな脚本にしたいとスタッフが思ったとは思えません。

多分、波動砲口が滅茶苦茶にやられて修復不可能ってな話にしたかった筈です。
そうでないと南部役の矢柴俊博氏のキムタクへの熱演が茶番になってしまいます。

なぜ波動砲口をちゃんと壊さなかったのか。  時間切れとしか私には思えません。
波動砲口の壊れたヤマトのレンダリングをする時間がなかった、ということなのでしょうか。
すっごい残念。

「未知との遭遇」とか「スターウォーズ」みたいに後で改善されないかなぁ。

映画に無理や矛盾点はつきもので細かくいってはいけないのですが
ここが引っかかって私はその後の話に没頭できませんでした。


あと、ヤマトの特攻前にガミラスがまったく攻撃してこない件。
それまでの短時間で攻撃を改善していくガミラスという設定をここで破綻させちゃった。

敵が味方の都合をおもんばかって攻撃を控えているようにしか見えない。
本郷猛が仮面ライダーに変身するまでショッカーが仕掛けないのと同じ。
あれでOKだと世界配給はちょっと難しいのでは。

あのシーンは設定をちゃんとつけてあげないとキムタクがかわいそうです。


あと、細かいところだと隊員に若い女性が多すぎです。(事務所の都合でしょうね。)
目の保養ではあるけどそういう映画じゃないと思うし。
地球にいても死ぬだけと思えば宇宙戦艦でもなんでも乗るかもしれないけれど
若くてスタイルのいい女性隊員がいっぱいいるということが
それまでの地下都市の惨憺たる状況描写に対するマイナスになってしまっていました。


最後に古代艦長代理のイスカンダル上陸前の檄なんですけど
第二次大戦の戦艦大和を引き合いに出す台詞、これにはかなり違和感。

沖田艦長のヤマトの出航の目的と行動は(アニメとちょっと違います)
第二次大戦の軍艦大和の沖縄への海上特攻と同種の志でおこなわれたものか。

映画で語られる最後の希望を未知のものに賭けた沖田の志と
第二次大戦末期の戦艦大和の海上特攻の理由を同等のものとして語ることの
是非についてちゃんと考えた末の脚本なのか気にかかるところです。

アニメのヤマトをオンタイムでやっていたころは実際の戦争体験者やその直接の影響を受けた
子供がかなりの人数健在だった頃ですからブレーキがひけていました。

水杯でクレームがつくくらいに。

時代は平成になり世代も一世代変わりました。
だからこそ第二次大戦末期の話を出すからにはもっと台詞に推敲が必要だったのでは、
と思いました。

逆に第三艦橋を見殺しにした時の古代進と森雪の苦悩はよく描写できていると思います。
そのままそういう関係になっちゃうのも釣り橋効果的っていえば判らないことないし。
ちょっと直截的って気はせんでもないけどね。


結局、総じてイスカンダル到着まではかなりの高得点。
後半の脚本や設定の息切れ感が目立ってしまうところまでアニメと同じ
というのはいただけなかったなぁ。

設定の都合上、デスラー総統と沖田艦長の知恵比べがなかったのはしょうがないけど残念。
オリオン座アルファ星の話、「復唱はどうしたぁ」山崎努のも聞きたかったけどね。


キムタク映画だといろいろ評論に書かれていましたけどちゃんとヤマトだったと思います。
番宣ポスターとかから石鹸くさい感じになるかと思ったら意外に泥臭い昭和テイストだったし。

ストーリーが利他的な話ということに統一されていたのは素晴らしかった。
後半すすり泣く音も映画館でちらほら聞けました。

ただ、利他的な行為というのは文字通り報われない行為な訳ですから
そこで感動を誘うのが難しい。
結果として一命を賭して、てな話にどうしてもなってしまうのが残念です。

この作品が死を伴わない利他的なストーリーだとしてもちゃんと感動できるかどうか、
それは脚本家ではなく観客の我々の質にかかっているのではないか、
というようなことを考えながら帰路につきました。

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