韓国は、日本の半導体材料輸出規制に対して混乱している。

そのため、実現不可能な「国産化率引き上げ構想」(後述)を打ち上げている。

また、WTO(世界貿易機関)へ提訴するとも言っても、これまで、日本の厚意で優遇されていただけ。

それを既得権益と勘違いしているに過ぎない。

日本が、韓国に規制を掛けた本当の理由は、韓国半導体潰しでなく、半導体素材の横流し防止にあるのでないか。

そういう疑惑が浮上した。

 

日本が、世界の半導体需給を崩すような素材の輸出規制をするはずがない。

常識的に考えれば分ること。

毎回、輸出手続きをさせる目的は、韓国に輸出された3半導体素材が、横流しされていないかチェックするのだ。

韓国は、これを恐れているのだろう。北朝鮮との秘密地下ルートが露見するからだ。

 

私の書いた記事(韓国、「反日の先鋒」、大統領府が日本の経済制裁に完黙する「理由」)に有力なコメントを頂いた。次に、それを全文掲載する(下線は勝又)。

 

「(半導体3素材は)北朝鮮への横流しが懸念されているし、実際にやっているからだと思いますよ。

ウランの濃縮において、ウラン単体で気化させるには3000℃まで加熱しなければなりませんが、フッ化水素と化合させた六フッ化ウランならたったの55℃です」

 

「『戦略物資の優遇措置』というのは、具体的には、

輸出に関する書類を一度提出すれば、三年は何も届け出ずに輸出を継続できる、といったもので、これが解除されるということは、即ち、どこにどれくらいの量を何の用途に使ってもらうために輸出するのか、というのを毎回役所に届け出て審査を受けなければならない、ということです」

 

「要するに、フッ化水素等々の使用実態に日本側で紐付けを行うぞ、という意思表示であって、例えば、輸出量に対して工場の稼働実績が異様に少ない、ということがあれば、横流しだとすぐに分かる。

何を嫌ってこんなに韓国が反発するかと言えば、半導体企業の活動がストップしてしまうこともありますが、別段、それならそれで審査を経ればいいだけのことで、肝の部分は、日本側からの使用実態把握を恐れてのことだと思います

 

私が下線を付した部分は、今回の韓国が騒いでいる本質的な問題であろう。的確なコメントをありがとうございます。


  冒頭の国産化率引上げは、これまでも何回か言われてきたが、成果が上がらず尻つぼみしてきた歴史である。

 

『中央日報』(7月5日付)は、「半導体素材の国産化率50% その裏には韓日ノーベル化学賞0:8」と題する記事を掲載した。

 

過去2年間にサムスン電子とSKハイニックスは半導体のスーパー好況を迎えたが、国内の素材・装備企業の業績はそれほど改善しなかった。

ほとんどが中小・中堅企業の素材・装備業界は「政府の対策は数年前にもあったが、施行されたことはない」とし「今回は政府だけでなくサムスン電子とSKハイニックスも共に取り組むべき」と口をそろえる。

 

 

(2)「半導体素材で最も多く使用されるのが化学・金属材料だ。韓国半導体協会のアン・キヒョン常務は「日本は基礎化学と金属製錬技術で韓国を大きく上回る」と述べた。

基礎化学技術をみても日本は8人のノーベル化学賞受賞者を輩出したが、韓国は一人もいない。また日本には鉱山があるが、韓国は特にない。 

 韓国より長い日本の半導体史も無視できない。日本は1990年代初期-2000年代後半に世界メモリー半導体市場を掌握した。上位企業10社の半分がNEC・東芝・日立など日本企業だった。今でも東芝などが健在だ」

 

 (3)「半導体素材・装備の韓日間の格差は企業の規模でも確認できる。

ソウル大半導体共同研究所のイ・ジョンホ所長は「日本の素材企業は大企業である半面、韓国はほとんどが中小・中堅企業である点も国産化が低い原因」と指摘した。

住友、信越、JSRなどは年間売上高が数兆ウォン、研究開発費だけで数百億-数千億ウォンにのぼる。

ある装備企業の関係者は「韓国の大手装備企業は年間売上高が2000億-3000億ウォン」とし「素材企業は売上高が数百億ウォン台に達する企業もわずかしかない」と伝えた」。

以上の下線をつけた部分を読んでいただいただけで、韓国の半導体素材国産化率引き上げが困難であることがわかる。

基礎的学問のレベルと素材開発企業規模の2点からだけでも、日本に追いつくのは不可能である。

韓国の国産化率引き上げが困難となれば、日本の輸出規制で横流しがチェックされるはずだ。

韓国大統領府は、こうした事情で大騒ぎをしているのかもしれない。