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航空防衛作戦部隊論(第二回):航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について

2015-07-28 22:08:04 | 防衛・安全保障
■航空自衛隊の改編案の視座
航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について。

南西有事を想定し、現在の大陸側からの南西諸島を戦闘行動半径圏内に含める第四世代戦闘機数の劇的増大と、南西諸島沖縄本島を射程内に含める弾道ミサイル脅威の数的増大を背景に有事の際には全国からの航空部隊を急速に集中させる改編が必要との視座に基づき、必要な改編案を提示する、というもの。

現在の航空自衛隊戦闘機定数は280機と冷戦最盛期の350機を大きく割り込む状況下にあるものの、冷戦期には装備しない早期警戒管制機の配備や早期警戒機の強化、基地防空部隊の整備と航空掩体の整備、空中給油輸送機配備による滞空時間延伸や輸送機による輸送能力強化を踏まえ、戦闘機定数を現在の水準とし、稼働率を強化する視点が重要、との視点を加えつつ論述します。

一方で想定戦闘空域が南西諸島における防空戦闘であり、航空自衛隊の起点となる基地が平時には那覇基地のみ、南西諸島北部の防空には南九州新田原基地、更に発着可能で有事の際に即座に展開可能な基地には南九州鹿屋基地が含まれる程度、基地機能維持へ必要な資材運搬に陸路や鉄道が使いにくい現状を特性としなければならないところ。

こうしたなかで、航空自衛隊の現在の航空機と、特に戦闘機は当面近代化に限られ、その数的増勢を見込める要素はありませんが、現在進められる施策としまして、早期警戒機の増勢、空中給油機の増勢、輸送機の大型化など、幾つかの要素が加わり、数的劣勢を質的な部分で対応できる余地は多少多いといえるやもしれません。

しかしながら、例えばF-4EJ後継機に航空自衛隊はF-35を導入し、F-15初期型のPre-MSIP機についてもF-35を導入する方向で進められると目されるのですが、数的に不足する部分を増勢で補う模索は現実的ではありません、例えばF/A-18E/F戦闘機を60機程度緊急調達する予算的余裕、補助戦闘機として用い得るJAS-39戦闘機の高等練習機としての96機程度の調達、などは予算面で、不可能でしょう。

ただ、楽観要素として、冷戦期の北海道防空は航空自衛隊の主幹であり、三沢基地へアメリカ第35戦闘航空団駐留が開始される1980年代末までは航空自衛隊のみの防空作戦が必要であったが、沖縄本島にはアメリカ第18航空団の戦闘機部隊や早期警戒管制機が前方展開し、海兵隊普天間飛行場の起点としての要素を含めれば、日米共同が可能であり、楽観要素といえようものの一つ。

この中で、並行して国家財政の悪化からの脱却も国家的課題である我が国の現状に鑑み、航空自衛隊は戦闘機定数を大きく増強することなく、現在の装備水準と次期戦闘機や早期警戒機増強に新輸送機など配備計画が進む航空機整備計画の枠内での本土防空任務が可能であるのか不可能であるのかとの視点が併せて必要と考えるしだい。

北大路機関:はるな くらま
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Unknown (平和国民)
2015-07-29 11:16:24
 日本の立場で言いますが、航空戦力で質でも量でも優る相手にどう対処するかという無理ゲーなテーマです。
 日本では表立ったまともな議論すら殆ど無く、米国でも『オフセット戦略』などと言う、現実的な『戦略』と言うよりは『願望』が先行する『観念論』が取り沙汰されています。そうした中で有事には一旦主力を前線(日本列島)から後退させ、戦力を再構築した上で反撃するシナリオが半ば常識化しています。その際は前線(日本列島)の維持を攻撃に脆弱な空・海戦力でなく、陸上戦力を主体に担うべきだと言う点では、陸自よりも空自・海自を増強すべきと言う意見が主流だった日本のミリオタども(俺とかw)よりは半歩先を行く現実的な考えと言えるでしょう。
 この場合の陸上戦力には日本だと空自に所属する防空ミサイル部隊(パトリオット)も含まれるわけですが、敵はその防空ミサイルにおいてもパトリオットや03式SAMに射程で遥かに優るS300を装備し、更にはS400も導入予定です。なんかもう、全てで負けてますね。
 日本政府は対処療法的に航空戦力の補強を予定してますが(これはこれで必要だと思います)、それだけでは不十分です。戦闘機の数なら戦闘機増勢、イスラエルを見習って稼働率を上げるならパイロットの増勢、SAMを増強ならSAMの増勢やSAMの射程の増大、電子戦で数の劣勢を補うなら電子戦機の導入、いずれにせよ「オフセット」出来るような戦略的な対策を立てて、そこに戦略的な投資を新たにする必要があるでしょう。予算を増やさずに、と言うのは無理です。
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平和国民2 (反戦なのに共産党とはこれいかに)
2015-08-01 09:04:27
なぜか反戦と述べる方は20世紀に一億人以上が犠牲になった共産党や共産主義を支持する方が多いのは本当に不思議です。
人類史上大量虐殺者上位三名は毛沢東、スターリン、ポルポトです。共通点は皆共産党及び東側といわれた国々の独裁者です。平和や反戦と叫ぶ人たちは皆共産党を支持します。もちろんこれらの人々はベトナム戦争中に反米反戦運動は起こしても、北ベトナムを支援していたソ連や中共に抗議している姿は見た事がありません。いま反戦運動をしている輩も同じですね、なぜ中共の南シナ海での侵略行動や凄まじい勢いでの軍拡に反対しないのでしょうか?見て見ぬ振りですか?それとも「確信犯」ですか?オスプレイが配備されると中共の侵略にはとても都合が悪いからオスプレイばかり叩いているんですよね?あまり日本人を舐めないほうがいいですよ.あなた達の魂胆にはみんなもう気付いています、あなた達は本当の意味で戦争を誘致する人類全員の敵です。
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本特集の主眼が航空団改編による抜本強化 (はるな)
2015-08-13 20:08:48
平和国民 様 こんばんは

実はこの連続記事、航空団の抜本的改編による航空機数を限定数か若干の戦闘機数縮小を込みで可能な防空能力の増強を提示するものとなっています

もちろん、戦闘機数、ですので、運用をどう変革するのか、航空打撃への構想、基地機能、等の視点から強力な航空作戦能力を提示するもの、ご期待ください

その背景、間もなく掲載しますが、航空自衛隊の戦闘機定数は現在のNATO諸国と比較すると必ずしも過小ではないのですよね、そして第三次中東戦争におけるイスラエル空軍の事例の様に、運用方法を強化する事で出撃回数等を強化する方策もある、この点を順次掲載してゆきます
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