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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

現代日本と巡洋艦(第十一回):日本に必要な巡洋艦案と新時代の長射程艦砲技術

2015-07-06 21:49:11 | 防衛・安全保障
■新技術の長射程艦砲
前回、巡洋艦に搭載すべき装備についての視点で艦砲を扱いました、近年はロケット補助推進方式の長射程艦砲が開発されている、と。

しかし、現代にはロケット補助推進方式ではなく、従来型砲弾に新しい潮流が形成されつつあります。こんごう型ミサイル護衛艦、たかなみ型護衛艦が搭載するOTOメララ127mm単装砲は、新型砲弾としてボルケーノ射程延伸弾が開発されていまして、これは戦車砲のAPFSDS弾の方式を応用したもの。

APFSDS弾のように装弾筒を着用し投射することで、射程を120kmと従来の艦対艦ミサイルなみに大きく向上させたものがあります。ボルケーノ射程延伸弾は、GPS誘導弾頭と赤外線誘導弾頭が開発中で、GPS誘導弾頭は海上からの連続発射により高度な対地攻撃能力を発揮させます。

特筆すべきはAPFSDS弾と同様に127mm砲弾の口径に比して、弾体が小型化されている点でして、これは威力を低下させます、威力低下は負の要素とうけとめられがちですが、付随被害の局限に寄与するという点を忘れてはなりません。赤外線誘導弾頭を装備するボルケーノ砲弾は、対艦用として開発されました。

弾速が初速で音速の三倍程度、さらに弾体が非常に小型ですので、どの程度誘導できるのか、捜索範囲はどの程度の海域なのかについての赤外線誘導精度が大きく性能を左右することとなるでしょうが、小型は即ちレーダー反射面積の低減を意味しますので、射撃前の目標位置情報という命題は残りますが、対水上戦闘を大きく変革する可能性をもつもの。

AGS155mm、ズムウォルト級駆逐艦用に開発された新型砲で、対地攻撃を重視したものです。かなりコストが大きくなるもので、重量は106t、非常に重い砲であるとともに最新型ですので有償供与が実現するかは難しいところですが、軽量型のAGSーLは51t、AGSは毎分10発の射撃能力にたいしAGS-Lは毎分6発と、低く対空戦闘能力には対応できません、が。

AGS-Lのマウント重量51tは、確かに重いですが、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型、しらね型のMk42/73式127mm単装砲のマウント重量は58tですから、これよりは若干軽く、実際AGS-Lは対地攻撃能力向上の一環としましてアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のMk45/127mm砲の代替として改修のさいに搭載する検討はなされています。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (1)
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