北大路機関

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北朝鮮-平安南道温泉から巡航ミサイル2発を黄海へ発射実験,ミサイル脅威の多層化へ日本はどう対応するか

2022-08-18 07:00:57 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北朝鮮ミサイル
 北朝鮮が昨日早朝にミサイル実験を実施しました。

 韓国国防省の発表によれば、北朝鮮が17日、北朝鮮西岸から黄海に向け巡航ミサイルの発射実験を行ったと発表しました、実験では2発の巡航ミサイルが17日早朝に平安南道温泉から発射され、韓国国防省は在韓米軍とともに発射された巡航ミサイルの飛距離などの詳細を分析中としています。ただ、黄海の中国側排他的経済水域に落下の情報はありません。

 北朝鮮は弾道ミサイル開発と同時に巡航ミサイル開発を進めており2021年9月には日本海に向けての巡航ミサイル発射試験を実施しています。巡航ミサイルは対航空機用防空システムの射程圏内を飛翔すれば撃墜は容易ですが、機種によっては20m程度の超低空を飛翔する為に早期警戒機等による警戒が必要であり、弾道ミサイルとは別の迎撃難易度がある。

 弾道ミサイルは発射と共に高高度に上昇し、その宇宙空間を含む高高度から落下してくるため、落下速度の大きさとともに落下するものを迎撃しても落ちるのは同じという事情から空中で爆散させるべく迎撃ミサイルを直撃させ弾頭を作動不能とする必要がありますが、巡航ミサイルは固定レーダーによる警戒の場合、数十kmに近づくまで発見できません。

 しかし、もう一つの難しい論点は北朝鮮が極超音速滑空兵器の開発を進めており、日本に対するミサイル脅威の多層化という問題があるのです、弾道ミサイルと巡航ミサイルを同時に着弾する様に発射された場合、片方に忙殺される最中にもう一方が命中する懸念があり、弾道ミサイル、巡航ミサイル、そして極超音速滑空兵器という三種類が想定できます。

 極超音速滑空兵器は北朝鮮において実際に開発が進められています。中には例えば、弾道ミサイルを改造した試験、幾つかは当初上昇段階で失敗したと誤解された、弾道ミサイルを転用し弾頭形状をサーフボード状とし、巡航ミサイルよりも遥か非早く弾道ミサイルよりも非常に低い高度を飛翔する装備の開発を通じ、打撃力の多層化を進めている最中です。

 GPI滑空段階迎撃構想、アメリカでは従来の弾道ミサイル防衛システムの間隙を狙う極超音速滑空兵器の迎撃へ、THAAD終末段階高高度迎撃兵器を改造する案や、海上自衛隊も装備しているスタンダードSM-3迎撃ミサイルを現在想定していない中層以下の高度に対応させる改造型の開発などが構想されていますが、ミサイル防衛、日本も仕切り直しが必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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