■飛行艇そのものの危機
ロイター通信が11月6日に配信した記事に"関連企業撤退でUS-2製造費が2025年には700億円"という一文が有り、流石に驚きました。
US-3,新しい救難飛行艇が必要ではないか。これはあまりに量産数が少ないUS-2に対して、メーカーである新明和工業は製造維持を、なにしろそのための甲南工場があるのですから熱意を燃やしていますが、下請けとなります三菱重工や川崎重工がその撤退を示唆しているためです。もちろん新明和工業だけでも製造できるという。しかし驚くべき報道が。
US-2を新明和工業だけで製造した場合は、700億円になる。こういう試算が示されました。撤退は当たり前といえば当たり前で、次の受注が何年後かわからない、5年間発注がなかった時代さえあり、生産ラインはそれがあるだけで課税されますので、維持するだけでも民間企業の場合は敷地と施設に税金をかけられる、つき合っていられない、と理解できます。
P-2J哨戒機の定員、いまはP-3C哨戒機を経てP-1哨戒機の時代を迎えていますが、もともとUS-1,US-1A,そしてUS-2は外洋で運用される哨戒機が万一の事態となった際に乗員全員を担架で搬送できる輸送能力を念頭に装備されました。それはヘリコプターでの行動圏外、そして艦艇では間に合わない海域での捜索救難を念頭としていた。
シーレーン防衛、外洋での哨戒機の遭難事案をなかなか想像できない方は一定数いるようですが、哨戒機は敵対勢力には艦艇の航行位置を索敵しさらに潜水艦を駆逐する要諦といえる装備です、現段階では潜水艦には哨戒機を、一部の潜水艦はMANDPSのようなミサイルを潜望鏡に備えていますが、基本的に中高度の航空機には打つ手なしという状況で。
しかし、これが広域防空艦となりますと話が別で、実際護衛隊群対抗演習などではイージス艦による相手哨戒機の制圧、水平線上に確認でいると同時に無力化する戦闘から水上戦闘は開始されます、さらに日本が想定する脅威対象は広域防空艦のみならず、航空母艦を順次揃えており艦載機による迎撃など哨戒機への不確定要素は増すばかりとなっている。
P-1哨戒機の場合は高出力のレーダー、P-8Aよりも厳しい状況を想定してHPS-106のような規格外の強力なレーダーを搭載していますが、逆にP-8Aを運用しているアメリカ海軍などは有事の際に西太平洋地域でのP-8Aを運用できない可能性を憂慮し、F/A-18F戦闘攻撃機へソノブイやMAD磁気探知装置などを搭載する対潜運用を検討開始したほど。
日本としては、P-1は上記の通り脅威を早期に探知し回避能力を有していますので、有事の際にはP-8Aが展開できない状況に際してもさらに脅威へ近い海域まで進出する必要が、なにしろシーレーン防衛の観点から交通路安全確保を放棄することはあり得ない、故に危険を冒す必要があります。その際に救難飛行艇はまさに必須でしょう。対潜戦闘を行う限り。
F/A-18Fを自衛隊が導入し対潜哨戒、さすがにこれは考えられません、一時期ロシア海軍は同様な状況を想定し、なにしろロシアが想定する相手も膨大な航空母艦戦力を有している、並列複座のSu-32にソノブイを搭載し対潜哨戒に充てる構想がありました、富士重工がペーパープランでコンセプトを挙げたともいわれているものですが。
海上自衛隊は最低でも毎年1機を発注するべきだと考えます、飛行艇は様々なようとに使えますし、なにより外洋で発着できるのですから、現在は救難飛行艇と用途を絞っているのですけれども、護衛艦での急患輸送や遠方で展開する潜水艦への補給にも使えますし、特殊部隊の輸送にも、機雷敷設や水中無人機の母機としても有用だといえる航空機です。
FFM,もがみ型護衛艦など乗員を絞っている艦艇では、医官は基本的に乗艦していません、すると急患発生などに際しては衛生隊員が緊急避難的に遠方から通信による医官の指示を受けて治療をおこなっている事例がありますが、むらさめ型護衛艦のように165名乗っている護衛艦と、もがみ型のように50名で回している護衛艦とは違う。医療に限界が。
哨戒艦、さらに海上自衛隊は30名程度で運用する新しい艦艇を建造し、高度に自動化され将来的には無人運用さえ検討している、しかし基準排水量1900tと一昔のDE護衛艦よりも大きな水上戦闘艦を導入します。外洋で、しかも長期間運用する想定ですので、こちらも万一に備え飛行艇による支援体制はまさに必須という装備となります。
救難飛行艇としての性能の高さとともに、しかし設計された時代よりも海上自衛隊の任務は厳しさを増しており、US-2のような航空機への需要は高まっていると考えます。ただ、厳しさという視点では予算も同じ、するとUS-2そのものではなく、US-2のような航空機というものを、新型機の開発を考えるべきなのかもしれません。US-3,という新型を、ね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
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ロイター通信が11月6日に配信した記事に"関連企業撤退でUS-2製造費が2025年には700億円"という一文が有り、流石に驚きました。
US-3,新しい救難飛行艇が必要ではないか。これはあまりに量産数が少ないUS-2に対して、メーカーである新明和工業は製造維持を、なにしろそのための甲南工場があるのですから熱意を燃やしていますが、下請けとなります三菱重工や川崎重工がその撤退を示唆しているためです。もちろん新明和工業だけでも製造できるという。しかし驚くべき報道が。
US-2を新明和工業だけで製造した場合は、700億円になる。こういう試算が示されました。撤退は当たり前といえば当たり前で、次の受注が何年後かわからない、5年間発注がなかった時代さえあり、生産ラインはそれがあるだけで課税されますので、維持するだけでも民間企業の場合は敷地と施設に税金をかけられる、つき合っていられない、と理解できます。
P-2J哨戒機の定員、いまはP-3C哨戒機を経てP-1哨戒機の時代を迎えていますが、もともとUS-1,US-1A,そしてUS-2は外洋で運用される哨戒機が万一の事態となった際に乗員全員を担架で搬送できる輸送能力を念頭に装備されました。それはヘリコプターでの行動圏外、そして艦艇では間に合わない海域での捜索救難を念頭としていた。
シーレーン防衛、外洋での哨戒機の遭難事案をなかなか想像できない方は一定数いるようですが、哨戒機は敵対勢力には艦艇の航行位置を索敵しさらに潜水艦を駆逐する要諦といえる装備です、現段階では潜水艦には哨戒機を、一部の潜水艦はMANDPSのようなミサイルを潜望鏡に備えていますが、基本的に中高度の航空機には打つ手なしという状況で。
しかし、これが広域防空艦となりますと話が別で、実際護衛隊群対抗演習などではイージス艦による相手哨戒機の制圧、水平線上に確認でいると同時に無力化する戦闘から水上戦闘は開始されます、さらに日本が想定する脅威対象は広域防空艦のみならず、航空母艦を順次揃えており艦載機による迎撃など哨戒機への不確定要素は増すばかりとなっている。
P-1哨戒機の場合は高出力のレーダー、P-8Aよりも厳しい状況を想定してHPS-106のような規格外の強力なレーダーを搭載していますが、逆にP-8Aを運用しているアメリカ海軍などは有事の際に西太平洋地域でのP-8Aを運用できない可能性を憂慮し、F/A-18F戦闘攻撃機へソノブイやMAD磁気探知装置などを搭載する対潜運用を検討開始したほど。
日本としては、P-1は上記の通り脅威を早期に探知し回避能力を有していますので、有事の際にはP-8Aが展開できない状況に際してもさらに脅威へ近い海域まで進出する必要が、なにしろシーレーン防衛の観点から交通路安全確保を放棄することはあり得ない、故に危険を冒す必要があります。その際に救難飛行艇はまさに必須でしょう。対潜戦闘を行う限り。
F/A-18Fを自衛隊が導入し対潜哨戒、さすがにこれは考えられません、一時期ロシア海軍は同様な状況を想定し、なにしろロシアが想定する相手も膨大な航空母艦戦力を有している、並列複座のSu-32にソノブイを搭載し対潜哨戒に充てる構想がありました、富士重工がペーパープランでコンセプトを挙げたともいわれているものですが。
海上自衛隊は最低でも毎年1機を発注するべきだと考えます、飛行艇は様々なようとに使えますし、なにより外洋で発着できるのですから、現在は救難飛行艇と用途を絞っているのですけれども、護衛艦での急患輸送や遠方で展開する潜水艦への補給にも使えますし、特殊部隊の輸送にも、機雷敷設や水中無人機の母機としても有用だといえる航空機です。
FFM,もがみ型護衛艦など乗員を絞っている艦艇では、医官は基本的に乗艦していません、すると急患発生などに際しては衛生隊員が緊急避難的に遠方から通信による医官の指示を受けて治療をおこなっている事例がありますが、むらさめ型護衛艦のように165名乗っている護衛艦と、もがみ型のように50名で回している護衛艦とは違う。医療に限界が。
哨戒艦、さらに海上自衛隊は30名程度で運用する新しい艦艇を建造し、高度に自動化され将来的には無人運用さえ検討している、しかし基準排水量1900tと一昔のDE護衛艦よりも大きな水上戦闘艦を導入します。外洋で、しかも長期間運用する想定ですので、こちらも万一に備え飛行艇による支援体制はまさに必須という装備となります。
救難飛行艇としての性能の高さとともに、しかし設計された時代よりも海上自衛隊の任務は厳しさを増しており、US-2のような航空機への需要は高まっていると考えます。ただ、厳しさという視点では予算も同じ、するとUS-2そのものではなく、US-2のような航空機というものを、新型機の開発を考えるべきなのかもしれません。US-3,という新型を、ね。
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あの胴体の幅とハッチの大きさでは大きな貨物は入らないでしょう
また夜間あるいはそれに準ずるような視界の効かない天候では着水できないので特殊部隊輸送にもあまり向いてない