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【名著探訪】コップ一杯の戦争(小松左京/1962)未明のイラン軍イスラエルミサイル攻撃を受けてハイボール好きに捧ぐ

2024-10-02 07:00:13 | 映画
■コップ一杯の戦争
 映画の話題ではなくNHKか世にも奇妙な物語あたりで実写化してほしいなあという話題をひとつ。

 コップ一杯の戦争、というSFの大家である小松左京氏が1962年に発表した短編があります、本日未明にありましたイラン軍によるイスラエル本土ミサイル攻撃、幸い全面戦争には現時点で至っていませんが、非常に考えさせられるもので、どうしてもこの短編を思い出してしまったのですね。一読をお勧めしたい。なかなかブラックな内容だけれども。

 ハイボール好きにはたまらない短編、一読をお勧めしたいのだけれども、ちょっと内容を書きますのでネタバレはやーなのさ、という方は、この当たりで読むのをやめて頂いて、そうですね、グルメ特集の項目でハイボールの話題なんかを読んでいただければ、と思う。この作品が執筆されたのは世界が全面核戦争瀬戸際に向かったキューバ危機の直後だ。

 ツケ払ってーなコーさん。主人公は場末のスナックで呑んでいて、ちょっと酔いが回ったところでもう一杯ハイボールを注文する、おかきを肴に注文するも売り切れていてスルメかお豆さんかという場末具合のスナックには調子の悪いラジオしかなく、楽しみにしていたボクシング中継は雑音だらけ、三波春夫っぽい渋い演歌でも聴こうとダイヤルを回していると臨時ニュースが。

 なんや戦争みたいやぞ。場末のスナックにはママと主人公ともう一人の常連中年酔客しかおらず、そこにラジオがソ連よりアメリカに向けて飛翔体が発射されたと報じる、戦争や、と酔いが回っているなかで隣の常連に声を掛けるが、ラジオは三波春夫っぽい渋い演歌番組に戻る、なにが戦争やい、いんやまた兵隊に引っ張られるで、と酒場談義が始まるのですがまたニュースに。

 アメリカの報復によりソ連の弾道ミサイルは全面核戦争となり、欧州やソ連本土、アメリカ本土とアジア地域の大半が無人になる程破壊されているものの、主人公はハイボールがそろそろカラになり始めてもう一杯注文するか迷うものの、ツケが溜まっていてママさんにこれくらいにしとき、と一喝されたところで、南米発外電が米ソ停戦交渉の開始を伝えてくる。

 なんやスカみたいやな。星のきれいな夜で、日本はと問われれば臨時ニュースの合間合間に三波春夫っぽい渋い演歌番組が続いているので直撃を免れたようなのですが、核戦争が一瞬で終わる事を揶揄した短編でした。これ、橋爪功さんと北村総一朗さんと国生さゆりさんあたり、京都迷宮案内の出演者あたりでかためて短編映画化してほしいなあ、とおもうようなそんな作品だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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