■臨時情報-ウクライナ情勢
APC装甲人員輸送車という装備体系はウクライナで再評価されるのかもしれません。

M-113装甲車やそのオランダ仕様であるYPR-765装甲車、ウクライナ軍はこれらM-113系統の装甲車が欧州からの軍事援助による供与数について、一定以上の規模となった事を受け、M-113装甲車を運用する機械化師団を新編したとのことです。M-113装甲車は過去の装甲車と思われていましたが、案外、実戦では使いやすいという実情があるようです。

73式装甲車と89式装甲車の写真にて代用しますが、M-113と73式装甲車はともに、“戦場のタクシー”という発想、戦場までのせてゆくがそれ以上は戦闘に関与しない、という設計で知られています。これが時代遅れであると考えられたのは、M-113装甲車は基本的にアルミ合金製箱型車体にトラック用エンジンを搭載した装軌式車両であるためです。

89式装甲戦闘車のような車両は装甲戦闘車と呼ばれますが、これは強力なエンジンと高い防御力を有していて、戦車の機動力に随伴できると共に戦車を狙う対戦車火器に対しても一定程度の防御力がある、そして最大の違いは砲塔に機関砲を搭載している為、下車戦闘の直前まで歩兵を輸送できますが、M-113では戦場手前で降ろさなければ人も車も危ない。

しかし、M-113装甲車は幾つかの理由でウクライナで威力を発揮しています、第一に軽いこと。軽いという事は装甲が薄い事を意味しますが、同時に軟弱地形でも車体が泥に沈まない利点があります、もちろん履帯の幅を広げれば面積当たりの設置圧を下げられますので、重ければ行動できないという訳ではないのですが、M-113は自由自在に動いている。

装軌式であるのも第二の利点です、装輪装甲車としてストライカー装輪装甲車やボクサー装輪装甲車など、路上を高速で移動できるという戦略機動性が評価されていますが、装輪装甲車は車輪と云う点で支えていますので、道路上ではM-113はそれほど速度を発揮出来ませんが、車輪が埋もれる程度の地形でもM-113装甲車は活動できる事を意味している。

BMP-1、ロシア軍が多用している旧ソ連製装甲戦闘車は、しかし、ウクライナの軟弱地形で苦戦しているようで路外を運用している事例は余りありません、擱座している事例も多い。すると、路上での戦略機動性の低さや装甲の薄さという、基本設計が二世代前の装甲車も、実のところかなり有用である。日本も73式牽引車派生型の汎用装甲車を再検討すべきなのかもしれません。

M-113装甲車はウクライナにおいて、路外を経路としてロシア軍の側面等を攻撃する際の、所謂戦術マヌーバに活用されているようです。道路上を堂々と進む際には道路に沿って砲撃を受ける事は必至ですが、ウクライナ軍は森林や湿地帯などを踏破し、いわばロシア軍の想定外といえる地形に迂回し攻撃を加える際にM-113装甲車を多用しているようです。

戦車部隊と共に機動打撃を展開する際には、M-113は戦車と協同するには危険があります、機動力がそれほど高くありませんし、何より歩兵多数が乗車していますので一両でも破壊されますと人的被害が大きなものとなってしまう。しかし、歩兵機動車輛として、特に歩兵の集合と分散を迅速化させるという機械化部隊の装備としては、威力を発揮できるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
APC装甲人員輸送車という装備体系はウクライナで再評価されるのかもしれません。

M-113装甲車やそのオランダ仕様であるYPR-765装甲車、ウクライナ軍はこれらM-113系統の装甲車が欧州からの軍事援助による供与数について、一定以上の規模となった事を受け、M-113装甲車を運用する機械化師団を新編したとのことです。M-113装甲車は過去の装甲車と思われていましたが、案外、実戦では使いやすいという実情があるようです。

73式装甲車と89式装甲車の写真にて代用しますが、M-113と73式装甲車はともに、“戦場のタクシー”という発想、戦場までのせてゆくがそれ以上は戦闘に関与しない、という設計で知られています。これが時代遅れであると考えられたのは、M-113装甲車は基本的にアルミ合金製箱型車体にトラック用エンジンを搭載した装軌式車両であるためです。

89式装甲戦闘車のような車両は装甲戦闘車と呼ばれますが、これは強力なエンジンと高い防御力を有していて、戦車の機動力に随伴できると共に戦車を狙う対戦車火器に対しても一定程度の防御力がある、そして最大の違いは砲塔に機関砲を搭載している為、下車戦闘の直前まで歩兵を輸送できますが、M-113では戦場手前で降ろさなければ人も車も危ない。

しかし、M-113装甲車は幾つかの理由でウクライナで威力を発揮しています、第一に軽いこと。軽いという事は装甲が薄い事を意味しますが、同時に軟弱地形でも車体が泥に沈まない利点があります、もちろん履帯の幅を広げれば面積当たりの設置圧を下げられますので、重ければ行動できないという訳ではないのですが、M-113は自由自在に動いている。

装軌式であるのも第二の利点です、装輪装甲車としてストライカー装輪装甲車やボクサー装輪装甲車など、路上を高速で移動できるという戦略機動性が評価されていますが、装輪装甲車は車輪と云う点で支えていますので、道路上ではM-113はそれほど速度を発揮出来ませんが、車輪が埋もれる程度の地形でもM-113装甲車は活動できる事を意味している。

BMP-1、ロシア軍が多用している旧ソ連製装甲戦闘車は、しかし、ウクライナの軟弱地形で苦戦しているようで路外を運用している事例は余りありません、擱座している事例も多い。すると、路上での戦略機動性の低さや装甲の薄さという、基本設計が二世代前の装甲車も、実のところかなり有用である。日本も73式牽引車派生型の汎用装甲車を再検討すべきなのかもしれません。

M-113装甲車はウクライナにおいて、路外を経路としてロシア軍の側面等を攻撃する際の、所謂戦術マヌーバに活用されているようです。道路上を堂々と進む際には道路に沿って砲撃を受ける事は必至ですが、ウクライナ軍は森林や湿地帯などを踏破し、いわばロシア軍の想定外といえる地形に迂回し攻撃を加える際にM-113装甲車を多用しているようです。

戦車部隊と共に機動打撃を展開する際には、M-113は戦車と協同するには危険があります、機動力がそれほど高くありませんし、何より歩兵多数が乗車していますので一両でも破壊されますと人的被害が大きなものとなってしまう。しかし、歩兵機動車輛として、特に歩兵の集合と分散を迅速化させるという機械化部隊の装備としては、威力を発揮できるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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