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【京都幕間旅情】勝竜寺城,南北朝時代細川頼春造営城郭は織田信長上洛後京都南方防衛の要衝

2021-02-03 20:10:55 | 写真
■天王山の戦い,明智軍謎の布陣
 明智光秀と羽柴秀吉の天王山の戦いという最大の会戦を俯瞰するには現地を見てみる必要があります。その城塞の始まりの歴史は以下の通り。

 勝竜寺城を築城したのは暦応2年こと西暦1339年ごろ、南北朝時代の細川頼春によるものと考えられており、京都防衛へ造営された城郭の一つです。長岡京市というほどで平安遷都前の首都でもあったことから、古墳を流用し造営されたのではないかともいわれる。

 細川頼春が造営した城郭ですが、何しろ時代は南北朝時代の話であり細川藤孝の時代には国盗り物語とさえ呼ばれた戦国乱世、城郭は岩成友通、三好三人衆の一人により京都防衛の要衝となっていました。大きな転機となったのは、やはりといいますか、織田信長が。

 織田信長上洛に際し、永禄11年こと西暦1568年、柴田勝家、蜂屋頼隆らにより攻撃します。室町将軍足利義昭を奉じ上洛へ向かう信長は近江守護を担う六角氏の抵抗を観音寺城の戦いにより打ち破ると遂に念願の上洛を果たします。しかし、上洛した信長に脅威が。

 畿内に一大勢力を誇ると共に六角氏の盟友でもあった三好長慶の後任、三好三人衆の圧力は信長には看過できないものがあり、隷下の武将に攻撃を命じ戦いが始まりました。信長は自らは参陣せず東福寺を宿所として落城の吉報を待った勝龍寺城の戦いが始りました。

 勝龍寺城、足軽を中心とした岩成友通は打って出るも馬廻り衆という要するに騎兵戦力により散々に攪乱され籠城に転じ、二日後に信長自身5万の兵力を率い攻城に着手し攻略、続いて信長は芥川山城、越水城、高屋城、と次々城塞を攻略し畿内平定を実現するのです。

 さて一気に話題は本能寺後だ。天王山の戦い、隘路を利用せず大軍が行動しやすい地形を羽柴軍が布陣、明智軍は相当戦術が稚拙であったか、もともと戦うつもりが無かったのではないかといわざるを得ません。迎え撃つのではなく迎い入れる為の陣形とさえいえるのですね。

 もっとも、秀吉と光秀、決戦が不可避となった際の検証はまだまだ余地があるのだが。勝竜寺城に迎い入れる為に明智軍は戦う事を想定していなかったのではないか。この仮説は大変な仮説と繋がります。要するに本能寺の変に羽柴秀吉黒幕説と同義になりますから。

 本能寺の変は明智光秀と羽柴秀吉が密通していたものを、秀吉が裏切った、という構図に他ならないのですからね。やりそうだね、とドラマを見ているとそう考えてしまうのです。しかし、ドラマだからこそ成り立つ創作であり、史実というものを考えますと中々難しい。

 時間が在りながら不利な布陣、そうするともう一つ、明智軍の稚拙な布陣には可能性が生まれてきます。明智光秀は自軍の指揮官である斎藤利三や津田信春、伊勢貞夫興や松田政近といった部下の戦術技量に不安があるか、羽柴軍に合流するという危惧が在ったのでは。

 織田信長を裏切った明智光秀が、そのまま即ち部下に裏切られる不安が在ったのではないか。戦術統制に不安が在ったということですね。勝竜寺城と布陣、面白いのは布陣が稚拙ですが明智光秀は自軍のほぼ全部を自分が本陣を置いた勝竜寺城から見える位置に置いた。

 これが一つの論拠でして、要するに、勝竜寺城から隷下部隊を見張っている。秀吉共謀説は上記の通り考えにくいものでして、この視点を秀吉の中国大返し、という視点から見てみましょう。本能寺の変、戻ってくるのが早過ぎた羽柴秀吉が、実は黒幕ではないか、と。

 秀吉は備中高松城にて毛利の大軍と対峙していましたが、主君織田信長が討たれた事を知り、天王山までの230kmを一気に転進しました。ただ、これも細部を見てゆきますと兵站の観点からはそれほど難しくない事が分ります。この点は改めて見てゆく事としましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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