■大津駐屯地祭 2007.05.20
本日2000時からNHK総合で木曜時代劇“鞍馬天狗”がはじまるという。嵐寛寿郎の鞍馬天狗からどの程度変わってしまうか少し心配ではあるが、舞台は京都、KBS京都でも鞍馬天狗は何度も放映されており、お話は好きである。
さて、“くらま”といえば“ひえい”、比叡山といえば麓の大津市、大津市といえば大津駐屯地祭。観閲行進編から引き続き、久々に掲載したい。今回は訓練展示編である。
観閲行進の次は訓練展示である。訓練展示に備え、第二教育団共通教育中隊の隊員が整列する。
大津駐屯地祭訓練展示名物が、この自衛隊体操である。体操というと地味な響きだが、歓声を上げつつ式典会場に駆けつける。この駆けつけるところだけでも迫力がある。
参加するのは第109教育大隊、第110教育大隊の前期教育中の隊員である。
自衛隊体操とは強化版ラジオ体操というべきか、これだけの人員が参加する展示というのは案外少ない。これも中部方面隊有数の参加隊員数を誇る大津駐屯地祭ならではのものといえるのだろうか。彼ら彼女らも今頃は、中部方面隊の各部隊において後期教育を終えて活躍していることだろう。
自衛隊体操を完了し、やはり駆け足で撤収する。これだけ迫力があるのなら、訓練展示模擬戦の最終段階に鉄帽と64式小銃で大隊規模の銃剣突撃を展示、とか見てみたい。その昔、富士総合火力演習の最終場面は銃剣突撃であったというが、最近は大規模な銃剣突撃をみることは中々出来ない。
訓練展示は模擬戦に移行する。模擬戦の仮設敵が大胆にも陣地持参で会場の一部を占拠し始める。
模擬戦は、仮設敵がわが国の一部領土を占領し、防衛出動命令が発令されたとの想定。
八尾駐屯地から飛来した第3飛行隊の観測ヘリコプターOH-6Dが飛来、観測ヘリならではの軽快な運動性を駆使し、対空砲火をかわしつつ状況を偵察する。
観測ヘリの情報を元に、同じく第3飛行隊の多用途ヘリUH-1Jが飛来、信太山駐屯地から展開した第37普通科連隊の情報小隊から選抜されたレンジャー隊員が敵陣地後方にリペリング降下し、情報収集と攪乱にあたる。素早く四名が一斉に降下、そして奥深くに潜り込んで行く。
伊丹駐屯地から展開した第3偵察隊が正面から敵情を探る。斥候小隊の任務は索敵であるが、仮設敵陣地から銃火が!我が方は62式機銃を射撃し応戦する。
偵察隊に攻撃を加えたことで仮設敵はその位置を自ら銃声と発砲焔で暴露した。その仮設敵陣地に目掛け、我が機械化部隊が前進する。
普通科連隊に装備され乗車戦闘を念頭に運用される軽装甲機動車と、戦車大隊などに配備され、適宜戦車支援に用いる96式装輪装甲車の協同。本来であれば、96式も北部方面隊のように普通科連隊に多数配備されていればいいのだが、特に乗車戦闘が基本の軽装甲機動車と、降車戦闘に至るまで乗員を防護し前進できる96式装輪装甲車、これらの連携が、例えば交戦距離が極端に短くなる市街地での戦闘では必要なのだが。
敵戦車を撃破、直接照準により堅固な陣地を破砕するべく、今津駐屯地の第3戦車大隊から74式戦車が展開。
大津駐屯地の陸曹教育隊も120㍉重迫撃砲RTを展開させ、戦闘を火力支援する。
射程が長く、最前線から敵後方の火砲を攪乱射撃したり、後方陣地に配備し、長射程を活かし、野砲以上に木目細かな火力支援などを実施する。軽装甲機動車は第37普通科連隊の車両。
姫路駐屯地の第3特科隊から派遣されたFH-70榴弾砲が発砲。射程延伸弾を用いて後方の野砲陣地を充分な間合いをとって叩き潰す対砲兵戦や、敵迫撃砲の駆除、そして普通科部隊が突入する直前に火力支援を行い、仮設敵陣地の機銃などを沈黙させるなど、様々な用途に用いられる。特科隊は、特科連隊が大隊を基本単位とする編成に対して、特科隊は中隊を基幹とする編成を採っている。
74式戦車が発砲する。L7/105㍉戦車砲は、90年代に新型の装弾筒付徹甲弾を採用、火力は現用戦車にも対抗しうる能力を有し、夜戦能力や情報能力では運用の工夫が必要ながら、いまなお数では陸上自衛隊の中核を担っている戦車だ。
戦車砲の直接照準射撃により敵陣地はいよいよ沈黙、機は熟した!96式装輪装甲車から続々と普通科隊員が降車する。
秘匿された機銃陣地に備えて01式軽対戦車誘導弾が軽装甲機動車の車上から発射準備を整える。機銃陣地を迅速に撃破するには携帯対戦車ミサイルが有効であるというのが1982年のフォークランド紛争の戦訓で、2003年のイラク戦争でもこの方法が用いられた。大火力で付近にも被害を及ぼす砲迫よりも、市街地では損害を局限できるという点は重要である。
軽装甲機動車から陸曹教育隊の隊員が駆け下りて銃剣突撃に加わる。
如何に火力が発達しようとも、戦車が強力になろうとも、最後に陣地に篭った敵を引き吊りだし、占領する任務は、普通科部隊が小銃、銃剣を駆使して行う。こうして降車した普通科隊員が陣地に突入し、銃を突きつけるという展示を実施、状況は終了となった。
状況終了後、撤収する隊員。小銃や機銃、対戦車ミサイルを手に、土埃纏わりつく戦闘防弾チョッキ。こうしてみると、やはり陸上自衛隊は強そうだ。こうみえることが抑止力として重要である。
訓練展示に参加した車両は装備品展示に向け移動を開始、轟々たるエンジン音が精強さを引き立てているようだ。
HARUNA
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