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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】チェコ空軍F-35A採用決定とイスラエル軍F-35増強,ラインメタルF-35A胴体工場

2023-09-11 20:01:44 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回はF-35戦闘機に関する最新情報を集めてみました。

 イスラエル国防省はロッキードマーティンF-35戦闘機の調達を25機追加するとのこと。この増強調達は7月2日にイスラエル国防省により発表されました。イスラエル空軍におけるF-35戦闘機の愛称はアディール、追加調達費用は30億ドル規模となりますが、この調達費用にはアメリカ政府のイスラエル防衛援助基金が提供されるとのこと。

 F-35戦闘機はイスラエル空軍は50機を調達する計画で配備計画を進めてきましたが、今回の調達によりその総数は75機となり、F-35戦闘機運用国の中でも最大規模となります。もともとイスラエルは2010年の段階で開発中であったJSF計画時代のF-35導入を発表し、国際共同開発の枠組みに並び優先顧客という位置づけでF-35調達を開始しました。

 国際共同開発とともに多国間共同生産の方式を採るF-35,草創期に導入を発表したイスラエルはイスラエル国内の防衛企業がその部品生産に参加しており、また電子システムや自衛用電子線装置について独自仕様のものを搭載しれいます。イスラエルはアメリカ軍よりも早くF-35を実戦に投入しており、こうした施策がその改良開発にも反映されています。
■F-35Cオーストラリア自力展開
 イギリス空母に載っていたF-35Bも半分はアメリカ海兵隊のF-35Bでしたね。

 アメリカ海兵隊のF-35C戦闘機が初めてオーストラリアへ自力展開しました。これは第314海兵戦闘攻撃飛行隊ブラックナイツのF-35C戦闘機により実現し、カリフォルニア州からオーストラリアまで、実に7800浬を飛行し太平洋を横断した事となります。先ず展開したF-35C戦闘機は4機、6月17日にミラマー海兵航空基地を離陸しました。

 ミラマーを離陸したF-35Cはそのまま第11海兵航空群第352海兵空中給油飛行隊などのKC-130空中給油輸送機の給油支援と、そして四か所の中継点で給油と休養を行い、6月22日にオーストラリアのサウスウェールズ州ウィリアムタウン空軍基地へ到着しました。これは海兵隊戦闘機部隊が短期間で太平洋を渡る能力を実証した重要な先例でしょう。

 F-35C戦闘機による今回の展開は近年アメリカが重視するインド太平洋戦略の一環であり、特にAUKUSアメリカイギリスオーストラリア防衛協力の一環として、アメリカとイギリスにオーストラリアが採用しているF-35戦闘機、第五世代戦闘機の展開能力を誇示した点が重要で、有事の際にアメリカ本土から数日間での展開能力を示した構図です。
■チェコ空軍が導入するF-35
 中東欧地域のNATO防空が一気に強化される。

 チェコ空軍が導入するF-35戦闘機について有償軍事供与をアメリカ国務省が認可しました。これはF-35戦闘機24機と関連機材に関する最大56億2000万ドル規模の契約で、中東欧地域における防空能力の抜本的な強化に繋がります。今回チェコ空軍が導入するのはCTOL型のF-35A戦闘機で、加えて各種予備機材などについては以下の通り。

 F-35戦闘機24機、プラットアンドホイットニーF135-PW-100エンジン25基、AIM-9Xサイドワインダー空対空ミサイル50発、AIM-120C-8中距離空対空ミサイル70発、GBU-53B小口径精密誘導爆弾86発、そしてIFF敵味方識別装置や無線機及び暗号化装置と対電子戦対応型無線機、教育関連支援及び整備補給支援などもろもろを含む。

 チェコ空軍は現在JAS-39戦闘機を運用しており、これはスウェーデン空軍からのリースという方式で12機を運用しています。空軍の戦闘機はこのほか、練習機転用のL-159A軽戦闘機のみであり、2027年に予定されるJAS-39戦闘機のリース期間終了後の後継機として2022年7月にF-35戦闘機を選定、今回導入がアメリカ国務省に認可されました。
■F-35A戦闘機胴体工場
 F-35A戦闘機胴体工場が一つ増えるかもしれません。

 ドイツのラインメタル社はドイツ国内にF-35A戦闘機胴体工場建設を計画しています。これはロッキードマーティン社及びノースロップグラマン社とともにドイツの安全保障協力枠組み強化の一環として生産国際分業を担う検討を進めているもので、構想ではノルトラインヴェストファーレン州のクレーフェ市ヴェーツェに建設を検討中という。

 F-35戦闘機について、2022年までドイツ政府はフランスとの次世代戦闘機開発に注力するために空軍は敢えてF-35戦闘機など第六世代戦闘機を選定しませんでした。しかし、メルケル政権がショルツ政権に交代するとともに喫緊の課題としてステルス性を有する第五世代戦闘機導入の方針が画定、急遽F-35戦闘機の導入に方針転換しました。

 胴体工場について、ドイツ空軍が導入するF-35の部分生産を担うとともに、現在F-35戦闘機はロッキードマーティン社の生産能力を超えた受注を背景に遅延気味となっており、ラインメタル社に下請け生産を行う調整により生産能力を強化したい模様で、工場は2025年完成、ドイツ友好国向けなど400機分のF-35A胴体を生産する構想です。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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