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西日本豪雨(平成三〇年度七月豪雨)特定非常災害!気象庁特別警報発令と災害派遣要請の課題

2018-07-14 20:05:40 | 防災・災害派遣
■北海道南西沖沖地震上回る被害
 京都は祇園祭前祭宵山の宵宵宵山を迎えましたが、本日、西日本豪雨が政府により特定非常災害に指定されました、豪雨災害での特定非常災害指定は指定は初という。

 西日本豪雨の犠牲者は本日1700時のNHK報道では死者201名と心肺停止3名に33名が安否不明、平成時代に入り2011年東北地方太平洋沖地震東日本大震災、1995年兵庫県南部地震阪神大震災、1993年北海道南西沖地震、災害がありましたが今回の西日本豪雨は25年と2日前に発生しました北海道南西沖地震の犠牲者を上回る被害となるように思われる。

 気象庁は特別警報発令と共に通常の気象警報以上の即座の対応を求めていますが、最大の問題は市町村単位で全域避難指示発令となった場合の大量の避難民移動や避難所収容能力で、例えば千人単位の避難者を確実に収容でき、且つ二次災害の懸念を局限化できる安全な公共施設が各地に十分確保されているのか、という防災政策上の問題があるでしょう。

 西日本豪雨災害、今回の豪雨被害は土砂災害やダムの緊急放流等に際し避難勧告が示されるのみで避難指示が発令されるまで時間を要した事が批判されています。しかし、今回の豪雨災害、平成最大の豪雨災害を前に教訓として豪雨災害が見込まれる際には、かなり早い時期に避難指示が発令すべく転換するのではないかと考えられます、早い方が良い、と。

 避難所の確保の課題、2011年台風15号に際し名古屋市108万名避難勧告、避難所の観点で思い出すのは名古屋市内を流れる庄内川が同市守山区志段味で氾濫、名古屋市は守山区と北区の8万名に避難指示を出すと共に市内12区100万名に避難勧告を発令し、そもそも名古屋市内に108万人も避難者を収容可能な公共施設があるのか、と考えさせられました。

 広域避難、平成27年9月関東-東北豪雨、2015年に発生し鬼怒川堤防が決壊した事で茨城県常総市等が大規模に浸水した際に、市外への広域避難、という概念が識者により大きく採り上げられました。水害被害は常総市全域に及ぶ懸念があり、実際決壊地点から11kmを隔てた常総市役所が一階床上浸水の被害を受けており、市内に安全な場所が無かったため。

 しかし、名古屋市108万名避難勧告の避難所収容能力の問題と同様に常総市広域避難の命題は道路交通量の上限、広域避難を行うのに徒歩で特別警報下の豪雨の中で氾濫する鬼怒川橋梁を渡る事は非現実的である為に自動車を用いる必要がありますが、現実的に一つの市町村が丸々避難する場合の交通量を受け入れる程、冗長性のある道路は中々考えにくい。

 加えて、避難用自動車をどのように収容するのか、という点も重要な問題です。避難所に充分な避難者収容能力があるとしても、避難者が自動車で避難する場合、避難所周辺が大量の自動車により交通マヒとなる可能性は否めず、現実的な問題として、2011年の東日本大震災では大津波警報下にて自動車渋滞が多くの避難者の生命を左右する事となりました。

 浸水地域に孤立する懸念を踏まえれば、広域避難の必要性は当然ともいえるのですが、反面、現実的に可能なのか、特に広域避難を行った隣町が被災地にという懸念も払拭できません、避難指示を行うにも限度があるのではないか、寧ろ一定以上の危険性が生じた場合には避難指示の上に外出禁止指示を設定、無理な避難を回避する事の方が重要ではないか。

 拠点避難所を孤立が想定される地域であっても確保しておく。例えば今回活躍した総務省岡崎消防配備の水陸両用車レッドサラマンダーのような両用車輌をもう少し広範に配備する、自衛隊にもBV-206全地形車両のような車輌を現在の航空自衛隊への一部への限定配備に代えて広範配備する等、無理な避難ではなく避難所を救助する体制も考えられましょう。

 防災設備強化、堤防の際限なき強化はもちろん必要ですし、大規模災害を考えるならば防災道路として幅広い道路網と橋梁整備は必要です。しかし、公共事業を行うにも限度があり、一辺倒に避難所退避を促し渋滞や路上での冠水に見舞われる懸念も留意しつつ、垂直避難として浸水に耐える中層建築物の指定制度と救助能力強化へ転換すべきとも考えます。

 自衛隊災害派遣について、京都市水害に関する京都府の災害派遣に疑問が残る点を一つ付け加えます。京都府は京都市水防に関する災害派遣として福知山駐屯地の第7普通科連隊に対し災害派遣を要請、深夜一時過ぎながら初動部隊は一時間で出発、続いて連隊主力の第一陣一個中隊を派遣した後、水位が低下したとして京都府が撤収要請を出していました。

 第7普通科連隊の災害派遣主力第一陣はそのまま駐屯地に引き返したものの、京都市はその後再度水位が上昇としたとして再度災害派遣要請を出しています。京都市は確実な情報収集を実施していたのか、活動内容は土嚢作成と構築であり水防団で対応出来なかったのか、そもそも派遣要請を出した京都府知事は府内福知山駐屯地の位置を理解していたのか。

 京都府内では綾部市や園部町に舞鶴市と次々に災害派遣要請を出す非常事態となりましたが、京都府の警備隊区としている部隊は第7普通科連隊のみ、本部管理中隊と五個普通科中隊に重迫撃砲中隊から、要員を抽出し災害派遣を行います。勿論、桂駐屯地の中部方面後方支援隊と大久保駐屯地の第4施設団はありますが、方面隊隷下で全般支援が任務です。

 水防団の拡充を含め、京都市はもう少し本格的な防災対策を考えるべきではないのか、第7普通科連隊への災害派遣の二転三転、そして水防という災害派遣内容の中の数百個の土嚢配置等は、災害派遣を要請する水準の災害であったのか、直後の福知山や園部と綾部での災害へ、当然連隊の人員には上限があり、京都市内派遣による初動への影響は否めません。

 自衛隊の規模には限りがあり、陸上自衛隊が18万名であった時代は1990年代に、つまり20年前に終わっており現在は13万名規模でしかありません。災害派遣を行うにも、もう少し計画的に行う事は出来ないか、土木系公務員の拡充や消防及び水防団の機能強化、都道府県単位で危機管理機構を、知事に助言する幕僚機構の拡充が求められるように思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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7 コメント

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Unknown (人民の目)
2018-07-15 00:38:04
今回の災害では安倍首相はじめ政府の主要閣僚が酒に興じ、災害などお構いなしで遊んでおりました。自民党議員がUPした画像は衝撃的であり、被災地はじめ多くの市民が怒りを感じたのではないでしょうか。
特に非難されるべきは小野寺防衛大臣です。完全に酔っ払った姿を見た時、私は、彼が腹を切って辞職するべきだと思いました。
文民統制への信頼をも損ねる今回の不祥事。安倍内閣は総辞職して市民に謝罪すべきです。そのうえでの災害復興であり、消防、自衛隊の貢献を考えるべきであると。
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Unknown (流線形)
2018-07-15 18:25:02
災害時の初動は、地方自治体の責務なので、国が勝手に動く事は出来ません。
国は、基本的には、地方自治体の要請に基づき、行動を起こします。

で、呑んでいたのがダメとか仰っているが、そもそも、その時点で各自治体から自衛隊の派遣要請以外に何か依頼が出ていたのでしょうか?

それから、同じ日の同じ時間帯に立憲民主党も幹部が出席してのパーティーを開催していたそうですが、そちらは問題じゃないという理屈が理解できないですね。

人民の目様、貴見をより掘り下げてご高説下さるといいのですが、如何ですか?
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Unknown (家事オヤジ)
2018-07-17 06:07:09
エッ?何で桂や大久保でなく福知山?
当初そう思いましたが。改めて調べてみると、2013年台風18号の水害の時も、福知山から部隊が派遣されています。
推測ですが、災害時の福知山の担当エリアに京都市が含まれているのではないか?
桂と大久保で、山城南部・近江南部・北摂・奈良北部といったところか?
要するに“マニュアル通り”の対応だったのではないか?
京都府の対応もマニュアル通り?
しかし、あまりにも杓子定規な対応ではあるまいか?
当時、京都縦貫道は通行止め。国道9号線も一部寸断だった模様。
天気予報を見れば、その後も雨が降り続くのが明白であるにも関わらず。自衛隊に対し、水位が下がったので即撤収要請ってのもどうかと思われる。
やはり防災の主体は各自治体にあり、自治体の長の適切かつ、臨機応変の対応が望まれる次第であります。
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Unknown (人民の目)
2018-07-19 05:33:40
災害ボランティアに行った知り合いに色々聞きました。現地の被害は甚大との事です。ゴミや泥の撤去に注力しているそうですが、長期的には、ボランティア同士でもこの災害復興をどうすべきか議論が起きているそうです。
災害復興を考えた際に、防衛費の一部を災害復興費用に充てる事を検討願いたい。
来年以降のイージスアショアやオスプレイ、F-35等の購入を止めて、とりあえず1兆円を回すべきと。
自国民の復興すら助けようとしないで国防とは本末転倒。安倍内閣には熟慮を求めたい。
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Unknown (Unknown)
2018-07-19 20:17:23
人民の目 とやら

人の不幸に漬け込み
この機会にとばかりにと
洗脳された思想と勝手な言い分を主張する
機会に利用する
相変わらず最低の人間ですな。
君の国では普通なのででしょうが。
可哀想な人ですね。
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Unknown (ドナルド)
2018-07-19 22:43:43
人民の目さま

災害復興であれば、臨時増税が良いと思います。東日本大震災の時にしたやつです。

それでなくとも日本の税金は異常に低く、毎年何十兆円も借金をしているのですから、国民みんなでサポートする形の増税が一番良いかと。

防衛費の削減は是非したいところですが、周辺の安全保障環境が決めることなので、どうにもなりません。一方的に防衛費を削減して、平和が訪れた例は古今なく、戦争になった例の方が多いです。

返信する
Unknown (流線形)
2018-07-19 23:02:34
人民の目 様

1兆円と仰るが、その様なニーズが具体性をもって、各自治体から総務省に提示されているのでしょうか?憲法により定められている“地方自治の原則”があるので、国が、勝手に地方自治体の役割を担う事は出来ません。
また、国民の代表者たる国会議員により、国会で審議されているのでしょうか?
野党による各委員会委員長への不信任決議案の提出、参議院議長への不信任決議案提出などで、審議は停滞している様ですね。
国の行政機関は、国会により認められた予算に基づき、それを執行しますので、国会での決議が執行に先立って必要となります。

纏めますと、そもそも各地方自治体側のニーズが不明であり、必要とする予算も不明である。もし、予算案が国会に提出されていたとしても、野党の国会戦術により審議が進む状況にはございません。

よって、貴見は現況に対して、全く意味をなさない提案、意見であると思います。

今、行政面で国が支援出来る事は、総務省や国土交通省の担当官を各自治体へ派遣し、各自治体のニーズを明らかにする事です。
ニーズが明らかであったとしても、即効性のある対策を国が実施する事は、法的枠組が無い為、実施出来ません。
また、国が、個人財産の補填にまで手を貸すとなると莫大な費用が必要であるだけではなく、憲法上の法の下の平等にも反する事なるので、それは不可能です。

余談ですが、人民の目様は、実は憲法改正論者なんじゃないかと思わせる提案が多いなあと思う次第です。
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