■日本DDH物語二〇一八
戦後日本の空母建造計画、2017年末に報道がありましたが、あの一見は始まりでも無ければ終りでもないでしょう。2018年最初の本特集はこの視点から考えてみます。

2018年に予定される新しい防衛計画の大綱へ海上自衛隊護衛艦へのF-35B戦闘機搭載の報道が2017年末に日本を駆け抜けました。朝日新聞野読売新聞の報道と前後し、ロイター通信やAFP通信などの外電が世界にこの情報を発しています。F-35Bの自衛隊採用という報道は自民党国防部会において新しい防衛大綱への明記が検討されているとの事である。

防衛計画の大綱は防衛省が主管するものではなく、当然、防衛政策という政治問題であることから護衛艦いずも型へのF-35B搭載報道を受けての質問に対し、防衛省の小野寺大臣は自衛隊として進めている検討ではない、と大臣定例記者会見において明言しました。ただ、自衛隊法や憲法上の解釈からの航空母艦定義については慎重に避けた回答でもあった。

海上自衛隊の空母建造計画はしかし、本特集が繰り返すように幾度も検討され続けたものであり、海洋国家として資源と食料を輸入に頼る日本国家が平和的生存権を享受し続けるにはシーレーンを維持し、海洋の自由、つまり公海は全ての商船が自由に航行できる開かれた海洋を維持せねばなりません。初めに航空母艦ありきではなく、航行の自由ありき。

そのために必要な装備の筆頭に航空母艦によるシーパワーが考えられたものであり、海上自衛隊創隊前の海上警備隊時代における護衛空母供与構想、第一次防衛力整備計画における国産ヘリコプター空母建造構想、国産対潜空母建造構造、第二次防衛力整備計画におけるアメリカ海軍からのエセックス級対潜空母供与構想、と研究は連綿と続いてきました。

第三次防衛力整備計画によりヘリコプター搭載護衛艦はるな、が竣工し艦隊航空が再建、その上で海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦を主軸とする有力な対潜掃討部隊を複数整備し即応体制を維持してきました。ヘリコプター搭載護衛艦整備後にも、対潜巡洋艦とミサイル巡洋艦による巡洋艦隊構想や、ハリアー攻撃機搭載の全通飛行甲板型護衛艦構想も。

護衛艦隊の七個護衛隊群への増勢とあわせたフランス海軍方式の航空母艦への研究、戦後日本の空母建造計画は実に海上自衛隊よりも長く続いているわけです。これは厳密には危機管理であり、ソ連海軍潜水艦部隊、その技術を継承する中国海軍潜水艦部隊という第二次世界大戦時シーレーン攻撃の悪夢が亡霊の如く脅威を及ぼしているからに他なりません。

ひゅうが型護衛艦、ひゅうが、いせ。いずも型護衛艦、いずも、かが。海上自衛隊の全通飛行甲板型護衛艦へのヘリコプター搭載護衛艦世代交代という一大事業が完成すると共に、冷戦後欧州に訪れたような平和の配当は日本周辺では僅かで、ソ連崩壊の翌々年に北朝鮮が初の日本海への弾道ミサイル発射実験を実施、不安定な地域情勢を端的に示しました。

沖縄が中国軍機に狙われているといわれたのは2010年まで、それ以降はむしろ九州へ向かう国籍不明機が異常増大し、ミサイル爆撃機は山陰沖の日本海へ、2017年には紀伊半島沖の西日本へミサイル爆撃機が接近するようになり、これを通常の訓練の一環と発言した中国軍発表を見る限り、今後脅威は西日本へ一度限りではなく常態化する事を示しています。

こうした状況下で、世論全般の動静に一昔ほど防衛力強化全般、護衛艦を航空母艦運用する事も含め、国民的反発はありません。その上でF-35Bのステルス性とセンサー能力はイージス艦のSM-6ミサイルや護衛艦の艦対艦ミサイル索敵と中間指令誘導等、海上防衛に極めて重要な装備であり、遠からずその導入を真剣に検討する必要性が出てくると考えます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
戦後日本の空母建造計画、2017年末に報道がありましたが、あの一見は始まりでも無ければ終りでもないでしょう。2018年最初の本特集はこの視点から考えてみます。

2018年に予定される新しい防衛計画の大綱へ海上自衛隊護衛艦へのF-35B戦闘機搭載の報道が2017年末に日本を駆け抜けました。朝日新聞野読売新聞の報道と前後し、ロイター通信やAFP通信などの外電が世界にこの情報を発しています。F-35Bの自衛隊採用という報道は自民党国防部会において新しい防衛大綱への明記が検討されているとの事である。

防衛計画の大綱は防衛省が主管するものではなく、当然、防衛政策という政治問題であることから護衛艦いずも型へのF-35B搭載報道を受けての質問に対し、防衛省の小野寺大臣は自衛隊として進めている検討ではない、と大臣定例記者会見において明言しました。ただ、自衛隊法や憲法上の解釈からの航空母艦定義については慎重に避けた回答でもあった。

海上自衛隊の空母建造計画はしかし、本特集が繰り返すように幾度も検討され続けたものであり、海洋国家として資源と食料を輸入に頼る日本国家が平和的生存権を享受し続けるにはシーレーンを維持し、海洋の自由、つまり公海は全ての商船が自由に航行できる開かれた海洋を維持せねばなりません。初めに航空母艦ありきではなく、航行の自由ありき。

そのために必要な装備の筆頭に航空母艦によるシーパワーが考えられたものであり、海上自衛隊創隊前の海上警備隊時代における護衛空母供与構想、第一次防衛力整備計画における国産ヘリコプター空母建造構想、国産対潜空母建造構造、第二次防衛力整備計画におけるアメリカ海軍からのエセックス級対潜空母供与構想、と研究は連綿と続いてきました。

第三次防衛力整備計画によりヘリコプター搭載護衛艦はるな、が竣工し艦隊航空が再建、その上で海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦を主軸とする有力な対潜掃討部隊を複数整備し即応体制を維持してきました。ヘリコプター搭載護衛艦整備後にも、対潜巡洋艦とミサイル巡洋艦による巡洋艦隊構想や、ハリアー攻撃機搭載の全通飛行甲板型護衛艦構想も。

護衛艦隊の七個護衛隊群への増勢とあわせたフランス海軍方式の航空母艦への研究、戦後日本の空母建造計画は実に海上自衛隊よりも長く続いているわけです。これは厳密には危機管理であり、ソ連海軍潜水艦部隊、その技術を継承する中国海軍潜水艦部隊という第二次世界大戦時シーレーン攻撃の悪夢が亡霊の如く脅威を及ぼしているからに他なりません。

ひゅうが型護衛艦、ひゅうが、いせ。いずも型護衛艦、いずも、かが。海上自衛隊の全通飛行甲板型護衛艦へのヘリコプター搭載護衛艦世代交代という一大事業が完成すると共に、冷戦後欧州に訪れたような平和の配当は日本周辺では僅かで、ソ連崩壊の翌々年に北朝鮮が初の日本海への弾道ミサイル発射実験を実施、不安定な地域情勢を端的に示しました。

沖縄が中国軍機に狙われているといわれたのは2010年まで、それ以降はむしろ九州へ向かう国籍不明機が異常増大し、ミサイル爆撃機は山陰沖の日本海へ、2017年には紀伊半島沖の西日本へミサイル爆撃機が接近するようになり、これを通常の訓練の一環と発言した中国軍発表を見る限り、今後脅威は西日本へ一度限りではなく常態化する事を示しています。

こうした状況下で、世論全般の動静に一昔ほど防衛力強化全般、護衛艦を航空母艦運用する事も含め、国民的反発はありません。その上でF-35Bのステルス性とセンサー能力はイージス艦のSM-6ミサイルや護衛艦の艦対艦ミサイル索敵と中間指令誘導等、海上防衛に極めて重要な装備であり、遠からずその導入を真剣に検討する必要性が出てくると考えます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)