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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-タランタル級コルベットイワノヴェッツ,ウクライナ海軍無人艇攻撃受け撃沈

2024-02-05 07:00:59 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 第二のエイラートショックというべきでしょうか、無人艇について評価を改めるべきかもしれない重要な一例がウクライナ海軍により海軍史に刻まれた模様です。

 ロシア海軍のタランタル級コルベットイワノヴェッツがウクライナ海軍無人艇の攻撃を受け撃沈されました。ウクライナ国防省ブダノフ情報総局長の発表によればイワノヴェッツはマグラV5無人艇6隻の攻撃を受けているという。撃沈されたのは黒海北部のアゾフ海で、航行中に多方向から無人艇攻撃を受け、搭載弾薬に誘爆し撃沈されたもよう。

 タランタル級は満載排水量500tの大型ミサイル艇、艦砲と個艦防空ミサイルや対潜擲弾発射装置といった基本的な装備に加えてきわめて強力なモスキート対艦ミサイルを搭載し、哨戒任務に加え大型水上戦闘艦への水上打撃任務にも対応するもの。最大速力は41ノットと高速ですが、今回航行中に攻撃を受け、無人艇の攻撃を振り切る事は出来なかった。

 ウクライナ海軍は元々大型水上戦闘艦を殆ど保有せず、数少ない艦艇は開戦以前にクリミア半島周辺のアゾフ海などで拿捕されるなど壊滅状態にありました、他方、アゾフ海のウクライナ艦艇を国会に航行させない為にロシア側が開戦以前にクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋の橋桁を敢えて低くしたことが、現在ロシア海軍を苦しめています。

 クリミア大橋の橋脚が低い為にロシア艦艇が自らアゾフ海と黒海を自由に航行できないばかりか、クリミア大橋を狙うウクライナ海軍無人艇にとり低い橋脚は限られた爆発物でも効果を上げる事に繋がっています。今回イワノヴェッツが撃沈された背景にも、アゾフ海では浅瀬などの問題から身動きが取れず、無人艇に捕捉された可能性があるでしょう。

 ウクライナ海軍無人艇マグラV5による戦果、ウクライナ海軍は既に無人艇マグラシリーズを第五世代まで開発していますが、これまで戦果の多くは停泊中の艦艇か、航行中の目標は低速の揚陸艦や情報収集艦などに限られてきました。タランタル級は小型で高速の目標、また30mm機関砲や76mm艦砲などを備え防御力にも秀でているとされました。

 タランタル級の撃沈はマグラシリーズの能力向上を示すとともに、今後ロシア海軍は黒海において、哨戒ヘリコプター等の無人艇を早期に探知する手段なしには小型高速艦艇であっても無人艇からは逃れられない事を示唆しています。これは徘徊式魚雷というべき新しい装備体系が生まれつつあることを示し、今後各国海軍の装備体系にも影響を与えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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