北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

US-2を増強せよ-2.5,飛行艇を維持するならば相応の調達と製造能力維持を,不要ならば代替装備取得を

2022-10-31 07:01:41 | 日記
■防衛産業の視点から
 今朝は頂きましたコメントへの御返事という形で補足的な話題を。

 US-2を増強せよ、この主眼は便利だから残すべき、こういう論調にもなっていますが、最も重要なのは"救難飛行艇を残すならば製造ラインが維持できる数を発注すべき"であり"製造ラインを残す数を発注しないのならば部隊を解散して別の手段で救難体制を確立しなければならない"という。現状は若干機必要、新明和の苦労は知りません、といわんばかり。

 製造ラインを維持できる数としては、毎年1機か3年間で2機で中期防あたり4機の継続的発注、中期防あたり3機では製造ラインを維持できないし、現状として部品メーカーの撤退が相次いでいる為にこのままの維持では残り若干機を製造してそのまま製造終了となり海上自衛隊から飛行艇という装備が消える。これを防衛省も認識しているはずですがね。

 対潜支援任務や情報収集などの用途を挙げましたが、救難用として外洋に発着できる飛行艇があることで本土から遙かに離れた海域で例えばP-1哨戒機などの遭難事案に対応することが目的ですので、単純に救難飛行艇に新しい用途を見いださずとも、もう一つ飛行隊を例えば那覇航空基地に新編するだけでも良いのです、調達数は増えるから最善ではある。

 OH-6観測ヘリコプターにAH-1S対戦車ヘリコプターとRF-4戦術偵察機、防衛省は後継機調達に失敗してそのまま自然死のようなかたちで形式消滅している機体が幾つもある、しかし、OH-1観測ヘリコプターにAH-64D戦闘ヘリコプターやRF-15戦術偵察機を必要数調達を計画していた以上、元々必要ではなかった航空機ではないのです、正に自然死だ。

 US-2救難飛行艇、外洋で発着できるいまのところ唯一の飛行艇で、特に自衛隊、というよりも政府が南シナ海に防衛力の関心を向ける以上、日本の洋上での航空運用は欠かせない、こうした航空部隊を運用する以上は事故に備える必要がある、事故がないことに越したことはないが福島第一原発のようにそれがあったときに打つ手なしは困る。対策は要ります。

 V-22オスプレイとKC-130空中給油機を海上自衛隊が必要数揃えるならばUS-2救難飛行艇などを置き換えることはできるかもしれません、絶対にUS-2を揃えなくとも、予算さえ気にしなければ代替装備は揃えられます、ただ、US-2はこの滅茶苦茶な調達計画でも170億円に抑えており、V-22とした場合は遠くない将来の生産終了を見越す必要が出てくる。

 部隊を維持するならば製造も維持しなければならない、製造を維持するならば製造ラインを維持できる調達を行わなければならない、考えてほしいのは逆であっては駄目だろうという事です、つまり人員がいない装備は使えないということであり、募集難の現在に防衛省はこれを認識している筈なのに、装備と人、逆転の視点でなぜ見られないのか、という。

 新明和工業は努力している、ならば防衛省もUS-2を増やす努力をすべきでがんばっている防衛産業をこれ以上苦しめる施策を続けるべきではないのです。もっとも、部隊を増やさずともかつて潜水艦を16年で退役させていたように、毎年1機調達し数年で退役させ、中古機を輸出するという選択しもあるのですが、なんとなれ防衛省も努力が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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