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F-22航空自衛隊F-Xの可能性? 1機247億円、日本政府へ書簡

2009-06-06 23:44:56 | 防衛・安全保障

◆しかし情報開示・生産中止撤回という障壁

 Dデイの衝撃というべきか、本日六月六日は連合国軍がノルマンディに上陸したオーバーロード(大君主)作戦より65周年を迎えるこの日、日経新聞が興味深い記事を掲載した。

Img_1741  本文を以下に引用する。F22売却なら1機247億円 米議員、対日輸出の解禁支持
 ロイター通信は5日、米最新鋭戦闘機F22を日本に売却する場合、金額は1機当たり2億5000万ドル(約247億円)になるとの見積もりを米空軍がまとめたと伝えた。F22は日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補ながら生産が中止される見通し。日本向けに売却する可能性があるのかが焦点となる。

Img_1195  日本はFX選定にあたってF22を主力候補のひとつとして検討してきた。しかし高度な軍事技術のため、対外的な情報開示や輸出を禁じる米国内法(オビー修正条項)があり、現状では日本が調達することはできない。さらに、ゲーツ米国防長官は4月にF22の新規発注の停止を決めており、生産中止の可能性が濃厚になっている。
 ロイター通信によると、米上院歳出委員長のダニエル・イノウエ議員がF22を売却する場合の見積もりを日本政府に書簡で送付した。同議員は輸出解禁を支持しているという。日本への売却には法改正が必要で、米議会の動きが焦点となる。(ワシントン=弟子丸幸子) (11:03)
 引用ここまで。ttp://www.nikkei.co.jp/news/main/20090606AT2M0601506062009.html

Img_7401  豪州空軍が次期戦闘機としてF-22の導入を米国政府に要望した際に、アメリカははっきりと、輸出は不可能である、との回答を示したが、日本政府に対しては、導入に伴う資料は防衛省や航空自衛隊次期戦闘機調査団からの要望に際して対応する程度で、明確に日本政府から導入の打診というかたちはとられてこなかったため、正式な解答での、輸出不可、という反応は無かったものの、防衛相会談などで、輸出は難しいとの回答は寄せられていた。しかし、先日の日米防衛相会談の後、様々な障壁はあるものの、米上院歳出委員長の発言として、輸出型開発の可能性を空軍へ検討するよう提言する可能性について触れたことは唯一の前進であった。

Img_1267  1機2億5000万ドル。当初では、この二倍程度になるのだろうとされた。しかも、数字では無視されやすい初度調達品や整備機材、教育訓練費用を含めれば導入への一機当たりのコストは、むらさめ型護衛艦の建造費以上、700億円程度となる覚悟も必要であったのだが、もちろん、こうした見積もりは往々にして超過してしまうという前提もあるにしても、F-2支援戦闘機の初期調達費用の二倍程度に収まっており、やや驚いた次第。

Img_7300  F-4の後継機としてみた場合、恐らくF-22、F-35,F-15SEは間に合わない。また、航空自衛隊が運用する要撃機としてF-22が妥当であるかと問われれば、F-15Jのように、20XX年の小松基地航空祭でF-22がズラリと地上展示で並んでいるという様子は想像が難しい。他方で、戦略予備として少数機を運用するのであれば、F-22は有力な抑止力となり得る。また、F-35と比べF-22は期待そのものが大きいということもあり、単純な話将来発展性も内包している。他方、防衛機密保持のための法整備や、則った運用体制など、解決すべき問題も多く、導入はこれまでの戦闘機のようにできるものではない。ともあれ、F-22、具体的数字が出たといういみでは、何か前進なのかもしれない。

HARUNA

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こんばんは。 (ウルトラマン)
2009-06-07 00:13:34
こんばんは。
前の記事でも書かせてもらいましたが、F-15SEがF-22と同等のステルス性を備えるという記事の信憑性はどう思いますか?何かこれだけ艦船にも航空機にもステルス性能が高いものができてきたらステルスを破るレーダーが出てきてもおかしくないのではないかと思えてしかたがないのですがね。アメリカあたりはそれがわかってきたから・・・・考えすぎですかね。効果があるうちに金儲け。はははは。
返信する
 はるなさん、こんばんわ。 (闇部長)
2009-06-07 00:23:37
 はるなさん、こんばんわ。
 具体的な額が出てきましたね。同時に ”納入には
7~9年...”というのも...
 額はこんなものかな!?って、感じですが、納入時期が
F-35の量産時期まで被りそうな勢いですね(^^;)
 私は当初予算委員会の話が出てきたときも
”F-22も検討対象になりますよ”→”色々やってみましたが
(輸出の規制解除やら輸出モデル検討)ダメでした”
→”では、替わりにリーズナブルなF-35(F-15SE)は
いかがですか!?”と、話を持ってくる為の前振りでは!?
と、思ったぐらいでしたので...
 確かに日本に侵攻させるのを躊躇わせる戦力としての
F-22は有効だと思います。物のたとえですが、私などは
相手に刀(銃)を抜かせないで、押さえるこめるのが
より良い方法と考えるので...
 同じように考える人が居て、”どうしてもF-22!”と
いう話が根強いのかもしれませんね。
返信する
ウルトラマン 様 (はるな)
2009-06-07 22:57:50
ウルトラマン 様
 ううむ、F-15SEと同じくらいまでF-22はスペックダウンされるということなのか、ある角度によれば、F-15SEはF-22と同程度に限定的ではありますがレーダーに映りにくい、という意味なのでしょうか。

闇部長 様
 F-22で焦らして時間を稼ぎ、その間にF-35を実用化して売り付け、ということでしょうか。しかし、果たしてF-35自体、米国仕様のF-35と協力国に供給されるF-35,どの程度格差が出ているのかがきになったりします。
 それにしても、今回のF-X選定、どの機体が妥当かを巡り過去にないほど揺れますね。
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