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【京都幕間旅情】寶塔寺,三宝尊と京都最古多宝塔迎える寺院は藤原基経と日像上人の千年を超える祈りの御山

2022-08-17 20:00:30 | 写真
■深草山宝塔寺
 京阪線で深草界隈を散策していますと路地を巡った先に寶塔寺と山門に記されていますここは深草山宝塔寺です。

 京都散歩の際に不思議に思うのは、確かに観光客が多い、この数年は乱高下が凄いのは別として、観光客は多いのですけれども、日本人的な右へ倣え、その発想で散策しているのではないか、若しくは修学旅行の名所を二番煎じしているだけではないか、ということ。

 千本釈迦堂とここ宝塔寺、実のところ京都散歩にはどうしても欠かせられない場所のようにも思うものの、不思議な程にここは静かなのです。なにかわざとらしいような禁忌も感じません、云われてみればバスが停まれない駐車場事情はあるも、それは人が来ないから。

 宝塔寺、伏見区深草宝塔寺山町の京阪線から少し勾配を上ったところにありまして、山門から歴史の深みを感じさせるような石階段が続き、その周りを塔頭寺院が固めるという重厚さ、実は電線だけはどうにかならないか思うのですが、その奥に朱色の仁王門が際立つ。

 藤原基経が嘉祥年間の西暦850年に発願しました真言宗極楽寺がこのお寺の始まりといわれています、藤原基経は歴史上初めて、関白、この地位を任じられ、摂政に代わる日本政治の高官となる。そして清和天皇と陽成天皇に光孝天皇そして宇多天皇に仕えた高官です。

 多宝塔、京都散歩でもう少し定番だろうと思うのはここ寶塔寺の多宝塔は府下最古、京都で一番古い多宝塔なのです、石階段を上りましたその先に仁王門へと先ず至るのですが寺町を構成する寺院は京都に多いものの、石段とともに広がる情景はなにか勇壮ともおもう。

 西之大坊大雲寺、寺町という風情を醸す数多塔頭寺院で現存する最古のものは天文5年こと西暦1536年に建立されました大雲寺でして。霊光寺は天正13年こと西暦1585年に再建された塔頭で、自得院は文禄3年の安土桃山時代に1594年開山となりました寺院です。

 圓妙院は慶長2年こと西暦1597年に建立された寺院であり、直勝寺は江戸時代の慶安4年こと西暦1648年に創建、そして慈雲院は明暦3年こと西暦1657年に創建された塔頭寺院、玉泉院という塔頭寺院も在ったそうですがここは、近年に合併され今日にいたるという。

 深草山宝塔寺という山号の御寺は、本尊に三宝尊を奉じます。この三宝尊といいますのは、仏の第一を釈迦如来であり讃え、法の第一を法華経として崇め、僧の第一を日蓮として慕うというものです。すると気付かれるでしょうか、真言宗極楽寺との違いというものを。

 三宝尊を奉じます寶塔寺は、鎌倉時代に真言宗寺院から転換しているのですね。日像が鎌倉時代末期に此処を訪れたという。日像は日蓮の遺命を受け日蓮宗の布教に尽力、いや文字通り懸命で行脚した高僧で、極楽寺は当時の住持良桂と法論を交わしたとされている。

 日蓮の遺命を受け日蓮宗の布教に尽力しました日像、この関係もありまして寶塔寺は旧本山として大本山妙顕寺を冠していました、ここは上京区の堀川通りから少し静かな立地に佇む、妙顕寺上京区寺之内通新町西入妙顕寺前町、北大路堀川からも近い御寺なのですね。

 妙顕寺は、日像が後醍醐天皇より寺領を賜り当時今小路に開かれた寺院で、ただし豊臣秀吉の京都大改造に際し妙顕寺跡地に二条第妙顕寺城が造営される事になり移転、移転先が天明8年こと西暦1788年天明大火にて全焼した歴史があります、寶塔寺の方が残った。

 日像は妙顕寺にて没しましたが遺言で荼毘にふされたのはここ寶塔寺であり、密教寺院からはじまったお寺はこうした複雑な歴史を辿った訳です。有る趣向運が有り、応仁の乱では攻撃を受けるも多宝塔だけは戦災を免れ、室町時代の情景を今日に伝えているのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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