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【京都幕間旅情】壬生寺(壬生延命地蔵尊)母想う律宗大本山と壬生浪士新撰組の誠旗揚げの地

2019-09-04 20:06:40 | 写真
■平安江戸,壮大歴史浪漫の聖地
 壬生寺、壬生延命地蔵尊は街中の大通りから少し下った静かな地に信仰の場を広げています。

 歴史とは長い流れの大河の如く、というところですが京都の街並みと共に古い寺院を巡りますと、成程大河に浮かぶ寺院に歴史が描かれているよう。この壬生寺も始まりは母想う僧侶の願いから果ては国願う若者たちの血潮の舞台、千年以上の歴史を受け継いでいます。

 壬生寺、京都中京区は阪急大宮駅からほど近い律宗大本山の寺院です。律宗とは、と長々説明するよりも壬生寺とは新撰組ゆかりの地、と説明するだけでもその名前は広く知られているでしょう。そう幕末の京都を舞台に古いものを守り抜こうとした若者たちの聖地だ。

 新撰組、壬生浪士組と新編時に掲げられた“誠”の御旗は文久年間は1863年に江戸を京都へ向かい、この地にて京都守護職会津藩預かりの浪人農民武士を含む壬生浪士組24名として旗揚げされました。爾後明治初期まで転進転地を重ねつつ戊辰戦争まで誠と戦い続ける。

 洛陽三十三所観音霊場28番札所として、また京都十二薬師霊場4番札所として崇敬を集めるこの寺院は四条通を僅かに下り嵐電が釣掛車の力強い駆動音を響かせる踏切を少し下った立地に広がる。御堂は新しく見えますが、昭和中期の不幸な歴史により再建したもの。

 律宗大本山とは、奈良は鑑真が開いた唐招提寺の流れをくむ寺院です、南都六宗一角を占める宗派であり、中国東晋代にインドより十誦律と四分律に摩訶僧祇律が伝えられると唐代の高僧道宣により体系化され、その弟子鑑真により奈良時代の我が国へ伝えられました。

 平安遷都、千年を超える昔の平安京京都造営について、歴史的経緯を思い出しますと南都六宗の京都寺院建立は不思議な感覚を以て見上げるのですが、その歴史は正暦年間991年と古く、壬生寺の由縁は琵琶湖を眼下に収める大津は園城寺三井寺に遡る事ができます。

 園城寺三井寺、その高層快賢が仏道の修行修験に邁進する中の正暦年間991年、自身の御母堂の不幸を知ります。こうして仏僧の親孝行として寺院建立を思い立ち寛弘年間1005年には堂供養に至ります、こうした由来を有する壬生寺、建立当初の寺院は小三井寺という。

 地蔵院との寺号を冠せられた小三井寺、平安朝末期にここ御堂は親しく白河天皇の行幸の機会があり、御本尊に地蔵菩薩を奉じていた事から白河天皇により寺号地蔵院を贈られました。鎌倉時代に一時衰退しますが正安年間の1300年、円覚上人により再興される事に。

 円覚上人は仏教の哲学観を鉦や太鼓に御笛の囃子と共に示して舞う狂言を大成させます。壬生狂言というこの演舞は実に七百年を超える歴史を湛える事から重要無形民俗文化財へ指定されていまして、節分会に新緑の大念仏会と秋に公演が在り、最中皿が千枚ほど舞う。

 千体仏塔は旧海軍の戦艦艦橋の様な仏塔に千体の石仏を配した立地で壬生寺は御本堂の隣のこの情景が印象的です、大念仏堂に一夜天神堂と阿弥陀堂とそして弁天堂に六角堂が並びまして、そしてひっそりと近藤勇銅像に義士達を祀り後世に伝える壬生塚が磨かれています。

 木造地蔵菩薩半跏像、鎌倉時代の重要文化財がかつて御本尊に奉じられていました、しかし昭和中期の不幸な歴史で消失する、1962年にここ壬生寺の本堂は不心得者の放火により消失してしまいました。現在の御堂は1967年、再建されたもの、御本尊も唐招提寺のもの。

 八木邸、新撰組屯所として歴史の残る邸宅はこの壬生寺に指呼の距離にある。興味深いのは新撰組が戦力を拡大すると共に屯所を西本願寺へ移駐しますが、刀稽古は兎も角仏式軍事教練として火砲空包訓練を行った事で西本願寺の仏の顔にも限度があり、此処へ戻る。

 幕末の動乱期、新撰組は小銃や火砲という洋式軍備を整えると壬生寺にて空包射撃訓練、一説には実弾射撃も、行ったと伝わり実は寺も一部破損したという。少々昨今信じられない話題ではありますが、其処がこの地、考えると真新しい本堂も感慨深く見えてきますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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