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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新年防衛論集二〇二三【11】ミサイルを突き付ける反撃能力と戦闘機で敵意を見せない事で刺激しない抑止力

2023-01-05 20:23:01 | 北大路機関特別企画
■いま防衛を考えよう
 戦闘機かミサイルか、この論点は安倍ドクトリンが世界の中での協力関係を強め中国の圧力を受け流す志向であったのに対して岸田ドクトリンが大陸と国名を曖昧としつつ正面対決を志向しているようみえます。

 戦闘機の増強、百里基地の第7航空団と新田原基地の第5航空団は現在1個飛行隊のみとなっています、この補填に当てる2個飛行隊所要程度は戦闘機を増強してもよいのではないでしょうか。政府は、というよりも岸田総理は増税して戦闘機やミサイルを購入する、としています。しかし航空団は増えたものの戦闘機は増えず飛行隊は足りないのが現状だ。

 F-35戦闘機を二個飛行隊増やす、さすがにこの判断は難しいかもしれません、こういうのも現在F-35戦闘機の導入を進めているドイツ、2024年にも操縦訓練を開始するとしているドイツですが、インフレによるF-35戦闘機製造費用高等に悩まされています、インフレの影響を抑えているとされましたが、皆無という状況ではなく関連費用にも響くところで。

 F-15FX戦闘機、これも安価な戦闘機ではないのですが過去の事例からみますとF-35戦闘機では不可能であったライセンス生産の目処があります。直輸入した方が安価だ、こういう反論はあるのでしょうが、結局定期整備施設を国内に整備するか、アメリカか韓国で行う必要が生じます、そしてF-35をみればわかるとおり、これはそれほど安くなりません。

 F-35の場合はライセンス生産の見通しが立たないために比較軸としては妥当ではないという反論は受け入れましょう、しかし、1990年代の趣味雑誌などで幾度か示された、外国製戦闘機の方が安い、この構図はそれほど成り立たないのですね。ユニットコストとフライアブルコストの混同、比較された数字についても一考の余地がありました。騙しの数字だ。

 F-2でもF/A-18E/Fでも、いや国産ミサイルとの適合性を確保できるならばラファールさえ検討してもよいと考えるのですが、とにかく、2000年頃の緊張緩和の時代に削減した飛行隊の数を元に戻すのが、とにかく冷戦時代と比較しても比肩できるほどの緊張関係に北東アジア地域は置かれていますので、なによりまず、飛行隊数を戻すのが先決と考えます。

 戦闘機があれば、反撃能力に、もちろん空対地ミサイル、国産のスタンドオフミサイルを開発して配備する必要はあることにかわりありませんが、既存の運用体系の延長線上で対応できます。そして、射程2000kmのミサイルほどは周辺国を刺激しません、いやF-2戦闘機が批判されていないという事例を示すと、この論理が実証されているといえましょう。

 敵意を見せない事で刺激しないものの、必要な能力を整備したい、この点につきます。つまり地対地ミサイルで専守防衛といいますと、地対地ミサイルを本土から動かさないので隣国以外は照準していません、こう相手国に直接発言しなくとも伝えてしまうのです。しかし戦闘機ならば、航空打撃力は、機動力が高く、隣国用という訳ではない方便が成立つ。

 軍事と相手に打ち勝つ事だ、こう理解する方が居ましたらば、軍事力の最大の任務は抑止力により戦争を回避する事だ、相手に打ち勝つのは戦争であり軍事は戦争を仕掛ける事が目的ではない、こう反論します。いや、逆に考えるならば、戦争というものと防衛力というものの在り方を正面から見る事を回避したままの国民主権が歪な結果を生んだといえる。

 防衛力は重要なのですが方向性が不明確であれば機能する防衛力が育たず、理解が不十分で有れば平和への近道と勘違いして戦争への短絡線を進む、知識が不明確であれば共有知の無いままに議論が成立ちません、すると関心を持つ事、議論の手間を恐れない事、主権者として知るべきことと政治参加の時間を捻出する事、これが求められるのでしょうね。

 新年防衛論集、まとめている最中の考え方の一つをラジカルな視点で示してみました。FOIPの継承か脱却かというのは、多国間協調主義か一国平和主義かの違いとして考えるものですし、連隊の考え方についても、私は小型の普通科連隊と1佐を補職する方式で問題ないように考えるのですが、NATOや米軍と歩調を合わせる為の一つの施策として挙げた。

 ラジカルな視点を挙げたのですが、これは考え方の一例を示したものです。一方で安全保障、方向性と有り方、日本はどのように生きてゆくのかを真剣に主権者たる国民が考える必要を感じます、何故ならば1980年代の日本、世界第二位の経済大国で世界有数の経済成長力とともに経済力を背景に望めば平和を享受できる、そんな時代の日本ではないゆえ。

 経済力には限界があるが、望めむだけでは平和を享受出来なく、またグローバリゼーションの中で世界との関係を絶つ事の出来ない日本という国家は、防衛の方向性を考えねばならない、侵攻される事は勿論、経済制裁へ反発としてのミサイル攻撃、シーレーン封鎖も在り得ますし周辺事態でさえ影響は破滅的だ、故に考える事から始める必要があるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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新年防衛論集二〇二三【10】政治決定"防衛力整備法"の必要性と反撃能力としての戦闘機と航空打撃力

2023-01-05 07:00:30 | 北大路機関特別企画
■法律として防衛力を整備
 ラジカルすぎると批判があるかもしれませんが自由な論点を示すのがこの新年防衛論集です。

 防衛力整備法、ただ税金を無駄にしないというならば、全体的な視野で構成される防衛力整備を個々の削減で瓦解させる事こそが無駄であり、この当たりは折角に内閣人事局として官僚の暴走に人事で歯止めをかける枠組を構築したのですから、これを活用しない政治にも責任はあるのです。沖ノ鳥島や昭和基地に財務局を創るなど、選択肢はあります。

 理想の編成を考えても結局予算を間引きされ実現しない、中期防衛力整備計画が折角調整して成立しても年度予算の財務折衝で来年に回せの連続で整備されず未達成の連続、弱る防衛産業と募集基盤、この状況では理想の編成よりも、ケチをつけられない編成で有事の際に急にくみなおすことくらいしか出来ない現状があり、防衛力整備法が必要と思うのだ。

 しかし、防衛力整備の急展開、特に反撃能力として大量の長距離地対地ミサイルを整備するという指針への急転換は、2000年代の自衛隊と防衛政策、北大路機関が創設されたのが2003年でWeblog北大路機関創設が2005年ですので、北大路機関20年、それでも20年前には考えられなかったものです。いやそれほどにラジカル、踏み込んだものと驚きます。

 反撃能力、要するに日本をミサイルや戦闘機で攻撃する場合には、地対地ミサイルと海上からの巡航ミサイルで反撃する、という。軍事目標に限って攻撃するといいますが、飛行場は民間飛行場を転用されれば軍事施設扱いなのですが、自衛隊のミサイルで攻撃することとなる。いや、市街地から相手が移動発射装置を運用した際、ここも叩かねばならない。

 急展開過ぎる。反撃能力を整備するくらいならば、戦闘機を増やしてみてはどうなのか、と思うのです。これが少し前といいますか15年前であればF-2戦闘機を増強せよ、と主張するところなのですが、実質問題航空自衛隊が防空自衛隊、という制空戦闘第一主義である状況をみますと、むしろ対艦攻撃任務に当たるF-2を海上自衛隊へ移管してはとさえ。

 アメリカ海兵隊の海兵航空団の様にF-2戦闘機を陸上自衛隊へ移管し、地対艦ミサイル部隊と連携を撮った方がもう少し良い結果となるのではないのか、その上で敵基地攻撃能力といいますか反撃能力を陸上自衛隊航空団、いや航空集団を置いて航空打撃により反撃能力を構築した方がよいのではないか、防衛大綱に航空自衛隊作戦機上限はあるが陸はない。

 航空集団を陸上自衛隊へおいてF-2戦闘機を移管し、航空自衛隊は防空戦闘機で作戦機の枠を充足した方が、まだ良いのではないか、こんなことさえ考えてしまいます。もっともこれは極論であり、現状の防空自衛隊というべき制空戦闘機重視の体制は、航空打撃を所掌する航空自衛隊の怠慢のように見えてしまい、もう少しこの部分を考えて欲しいと思う。

 F-2戦闘機にこだわる必要はないのかもしれませんが、航空打撃力を所管できる機体があれば、反撃能力はそれほど必要無いように考えます。特に懸念するのは、三菱重工により12式地対艦誘導弾改良型を開発していますが、射程1000km規模のミサイル、その必要性は認識はしているのです、沖縄に迫る敵を九州や四国から防衛に参加できるという意味でね。

 しかし、反撃能力が目指すもの、これは本来戦闘機の任務ではないのか、と考えるのです、なぜなら目標は移動するミサイル移動式発射装置、発射した時点で目標の位置を捕捉していても、移動されては、という懸念があるのです。だからこそ、即座の目標発見と攻撃に移行できる、これが戦闘機の強みだ。もちろんMUM能力の構築は必要だとも理解します。

 MUM能力、無人機と有人機の合同というものを考えなければ成立しません、オーストラリアで開発が進むロイヤルウィングマン無人僚機や、トルコのバイラクタル社が開発している無人戦闘機のような機体が戦闘機と連携する必要はあります。もっとも、日本が今後世界水準の無人戦闘機を開発できるならば、無人機の役割は増えるでしょうが。現実は違う。

 MQ-9無人攻撃機のような、政府は陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターを無人機の方が効率的として置換える構想ですが、予算措置が不明ですので安価な使い道の限られる装備、例えば半径十数km以内でしか使えない徘徊式弾薬で戦闘行動半径500kmのAH-64Eを置き換える様な、現実を無視した施策をとりそうで心配なのですが、高性能機ならば話は別です。

 MQ-9無人攻撃機を陸上自衛隊だけで90機程度取得し、MQ-9飛行隊を全国の方面隊に配置して、有事の際に統合運用を行うならば、MQ-9の行動半径は4500kmとなりますので、反撃能力としての巡航ミサイル目標標定や、直接の対地攻撃にも寄与します。こうした施策ならば反対はしないのですけれども、こうした具体的な動きは聞こえてこないのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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