■いずも型2隻の負担集中
北大路機関では毎年八月八日を88艦隊の日と位置づけ、イージス艦8隻とヘリコプター搭載護衛艦8隻の88艦隊整備を提唱していますがこの視点を新年防衛論集でも考えてみましょう。

いずも型護衛艦のF-35B搭載能力付与、実のところDDHヘリコプター搭載護衛艦の増強は喫緊の課題といえます、それは海上自衛隊のプレゼンスオペレーションの拡大によりF-35B戦闘機を運用できる護衛艦の任務はインド洋や果ては欧州地域まで、はるな、くらま、の時代とは比較にならないほどの任務があります、負担は現状2隻に集中する構図だ。

シーマンシップ、どうがんばりましても結局は人が運用している。ここで思い出すのは現在、ニュージーランド海軍の哨戒艦が三分の一の艦で無期限出航不能となっていることです、理由は人員不足、ニュージーランド政府はCOVID-19感染拡大対策を世界でもっとも厳格に実施したことで知られますが、そのための対策施設の運営要員は不足していました。

ニュージーランドでは不要不急の人材として海軍の水上艦艇要員をコロナ患者隔離施設運営に転用したのですが、あまりに勤務環境が苛烈であり、かなりの数が海軍を離職してしまった、その結果艦艇が無期限出航不能となっています。いや、募集をかけて人員を集めて一から教育すれば良いのですが、それとて時間がかかる、そんな現状があるのですね。

DDHヘリコプター搭載護衛艦、ひゅうが型護衛艦へF-35戦闘機運用能力を付与することも重要ですが、あわせて8個ある護衛隊の任務遂行能力を平準化することができれば、負担というものは海上自衛隊全体で大きくとも、一隻あたり、一部隊あたりではかなり低減するのではないでしょうか、これは発着訓練を行うF-35B部隊にとっても重要なのです。

航空自衛隊のF-35B戦闘機、しかし将来的には海上自衛隊が独自のF-35Bを導入するのか、ということも考えなければならないかもしれません。統合運用を進めておかなければ、当然障壁となる問題です、それは航空自衛隊がF-35B戦闘機を島嶼部防衛に活用しようという、陸上自衛隊的な発想であり、グローバルな機動運用をそれほど考えていないためです。

代替滑走路、ヘリコプター搭載護衛艦の全通飛行甲板は南西諸島の数多ある代替滑走路の一つにすぎない、こうした構図です。実際そうでしょう、F-35B戦闘機は宮崎県の新田原基地に配備される、これは南九州から南西諸島北部を防衛管区とする飛行隊、中国爆撃機の太平洋進出を阻むための要衝に配備されている、つまり南西諸島から動かせません。

イタリア空軍とイタリア海軍でにたような問題が発生しています、イタリアは30機のF-35B戦闘機を導入しますが、結局どこが所管するのかを明確にできず、15機を海軍航空隊が、15機を空軍が配備することとなりました。それも二つの基地は200kmほど離れていまして、日本でいえばこの距離は概ね厚木航空基地と浜松基地、という距離感という。

カブール、イタリア海軍は空母カブールを運用していますので、その艦載機としてF-35Bは必要なのですが、すると30機すべてを海軍が所管すればよいと思う、これは海軍の視点でしょう、しかし一方で空軍はAMX軽攻撃機とC-27輸送機により構成される遠征航空部隊へAMX軽攻撃機の後継にF-35Bを充てる構想で、海軍には一機も渡せないとしました。

トリエステ、イタリア海軍は新たに強襲揚陸艦トリエステを配備しますが、こちらは満載排水量が40000tを越えていて、空母カブールよりも大きい、そしてトリエステもF-35B運用能力を有しています、つまり海軍航空隊はもっと多くのF-35Bを必要としているのですが、空軍は艦上に派遣することはできるとしつつも、海軍への管理替えはしません。

海軍と空軍で同床異夢のような状況があった、ということなのですが、この状況、新田原基地にF-35Bを配備する航空自衛隊と海上自衛隊にも同じような状況はないのか、航空自衛隊が仮に海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦運用に理解を示したとしても、新田原基地から遙か遠いインド洋や大西洋へ派遣することへ航空自衛隊が理解を示すのか、とも。

新田原基地へF-35B戦闘機以外にも、海上自衛隊の運用とは別個の機種といえる機体を増強しなければ、イタリア海軍のような問題が生じるだろう、こうおもうのですね。一方で海上自衛隊へF-35Bの管理替えも必要となるのかもしれませんが、しかし忘れてはならないのは海上自衛隊に練習機はT-5練習機、P-3Cなどプロペラの練習機のみということ。

P-3C哨戒機も練習機に用いられていますが、確実にいえるのは海上自衛隊にF-35B戦闘機の搭乗員を養成する能力といいますか、適合する練習機の機種がありません、いや、T-7Aレッドホークとホーク練習機を購入すればよいとも、アメリカに全部留学するという手段もあるのですが、なんとなれ海上自衛隊に操縦士を養成する方法が現状無いのは確かだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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北大路機関では毎年八月八日を88艦隊の日と位置づけ、イージス艦8隻とヘリコプター搭載護衛艦8隻の88艦隊整備を提唱していますがこの視点を新年防衛論集でも考えてみましょう。

いずも型護衛艦のF-35B搭載能力付与、実のところDDHヘリコプター搭載護衛艦の増強は喫緊の課題といえます、それは海上自衛隊のプレゼンスオペレーションの拡大によりF-35B戦闘機を運用できる護衛艦の任務はインド洋や果ては欧州地域まで、はるな、くらま、の時代とは比較にならないほどの任務があります、負担は現状2隻に集中する構図だ。

シーマンシップ、どうがんばりましても結局は人が運用している。ここで思い出すのは現在、ニュージーランド海軍の哨戒艦が三分の一の艦で無期限出航不能となっていることです、理由は人員不足、ニュージーランド政府はCOVID-19感染拡大対策を世界でもっとも厳格に実施したことで知られますが、そのための対策施設の運営要員は不足していました。

ニュージーランドでは不要不急の人材として海軍の水上艦艇要員をコロナ患者隔離施設運営に転用したのですが、あまりに勤務環境が苛烈であり、かなりの数が海軍を離職してしまった、その結果艦艇が無期限出航不能となっています。いや、募集をかけて人員を集めて一から教育すれば良いのですが、それとて時間がかかる、そんな現状があるのですね。

DDHヘリコプター搭載護衛艦、ひゅうが型護衛艦へF-35戦闘機運用能力を付与することも重要ですが、あわせて8個ある護衛隊の任務遂行能力を平準化することができれば、負担というものは海上自衛隊全体で大きくとも、一隻あたり、一部隊あたりではかなり低減するのではないでしょうか、これは発着訓練を行うF-35B部隊にとっても重要なのです。

航空自衛隊のF-35B戦闘機、しかし将来的には海上自衛隊が独自のF-35Bを導入するのか、ということも考えなければならないかもしれません。統合運用を進めておかなければ、当然障壁となる問題です、それは航空自衛隊がF-35B戦闘機を島嶼部防衛に活用しようという、陸上自衛隊的な発想であり、グローバルな機動運用をそれほど考えていないためです。

代替滑走路、ヘリコプター搭載護衛艦の全通飛行甲板は南西諸島の数多ある代替滑走路の一つにすぎない、こうした構図です。実際そうでしょう、F-35B戦闘機は宮崎県の新田原基地に配備される、これは南九州から南西諸島北部を防衛管区とする飛行隊、中国爆撃機の太平洋進出を阻むための要衝に配備されている、つまり南西諸島から動かせません。

イタリア空軍とイタリア海軍でにたような問題が発生しています、イタリアは30機のF-35B戦闘機を導入しますが、結局どこが所管するのかを明確にできず、15機を海軍航空隊が、15機を空軍が配備することとなりました。それも二つの基地は200kmほど離れていまして、日本でいえばこの距離は概ね厚木航空基地と浜松基地、という距離感という。

カブール、イタリア海軍は空母カブールを運用していますので、その艦載機としてF-35Bは必要なのですが、すると30機すべてを海軍が所管すればよいと思う、これは海軍の視点でしょう、しかし一方で空軍はAMX軽攻撃機とC-27輸送機により構成される遠征航空部隊へAMX軽攻撃機の後継にF-35Bを充てる構想で、海軍には一機も渡せないとしました。

トリエステ、イタリア海軍は新たに強襲揚陸艦トリエステを配備しますが、こちらは満載排水量が40000tを越えていて、空母カブールよりも大きい、そしてトリエステもF-35B運用能力を有しています、つまり海軍航空隊はもっと多くのF-35Bを必要としているのですが、空軍は艦上に派遣することはできるとしつつも、海軍への管理替えはしません。

海軍と空軍で同床異夢のような状況があった、ということなのですが、この状況、新田原基地にF-35Bを配備する航空自衛隊と海上自衛隊にも同じような状況はないのか、航空自衛隊が仮に海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦運用に理解を示したとしても、新田原基地から遙か遠いインド洋や大西洋へ派遣することへ航空自衛隊が理解を示すのか、とも。

新田原基地へF-35B戦闘機以外にも、海上自衛隊の運用とは別個の機種といえる機体を増強しなければ、イタリア海軍のような問題が生じるだろう、こうおもうのですね。一方で海上自衛隊へF-35Bの管理替えも必要となるのかもしれませんが、しかし忘れてはならないのは海上自衛隊に練習機はT-5練習機、P-3Cなどプロペラの練習機のみということ。

P-3C哨戒機も練習機に用いられていますが、確実にいえるのは海上自衛隊にF-35B戦闘機の搭乗員を養成する能力といいますか、適合する練習機の機種がありません、いや、T-7Aレッドホークとホーク練習機を購入すればよいとも、アメリカに全部留学するという手段もあるのですが、なんとなれ海上自衛隊に操縦士を養成する方法が現状無いのは確かだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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