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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

二〇二一年大晦日,非常時継続強いたコロナ禍と杞憂の社会基盤崩壊,そして明日への淡い安心感

2021-12-31 20:10:59 | 北大路機関特別企画
■二年目のコロナ禍を越えて
 東日本大震災十周年と二年目のコロナ禍が続きましたが大晦日を今年も無事迎える事が出来ました。

 COVID-19との戦いに明け暮れたともいえる2021年もいよいよ大晦日、みなさま如何お過ごしでしょうか。世界はオミクロン株の大津波とさえ評される規模の感染拡大に曝され、また膨大な死者数を重ねた諸国では戦々恐々という状況が続いています。2020年のコロナ禍は2021年内に終息を踏んでいましたが、来たのは変異株の集束、クラスターでした。

 日本はうまくやっている、実のところこの認識です。いや2021年夏の感染拡大は、コロナウィルスが季節性感染症であり冬の乾燥した空気とともに拡大する感染症であることを考えますと、いよいよ観念というものを考えさせられたものだと正直に白状します、しかし、驚いた事ですが、東京五輪とパラリンピックの閉幕とともに嘘のように感染は縮小します。

 オリンピックとともに縮小した感染、これは一日100万接種という、当初は無謀とさえいわれた全国規模のワクチン接種躍進により物理的に追い込んだ構図が一つ挙げられるのと、もう一つは、単一民族国家、こう揶揄さえされるほど防災や平和と人命尊重への基本的な価値観の共有が、感染対策としての自粛で不思議な程に、一致した点が挙げられましょう。

 オミクロン株、この出現さえなければ、2022年はもう少し安穏として、例えば九州や東京にくらいは物見遊山や買い物に出かけられたほどに収束していたのではないかとおもいました。もちろん水際対策があっての前提ですが。そして現在も重ねて厳重を極めすぎた水際対策、WHO世界保健機関から行き過ぎを指摘された水際対策は一定の効果がありました。

 感染対策の勝利、いまはまだ暫定的なものですが、2020年も2021年も、人口一億あたりの年間死者数は一万を越えていません、この勝利といえる状況はどのようなものがあるのでしょうか。不思議と日本の感染対策は自粛頼り、都市封鎖やマスク着用法的義務、ワクチン強制接種や強制入院措置を執らずして、感染抑制は何故かなんとかなっているという。

 強権国家への変貌。実のところCOVID-19による感染拡大は脅威でしたが、これを機に日本が強権国家へ変貌する事への支持、感染対策を考えれば強権を国家に付託する必要へと追い込まれる構造が醸成されることを危惧していました、もっとも、COVID-19は致死率2%という、数字で50名の感染者の内5名が重症化し1名が死亡する危険なものでしたが。

 国家が必要な決断を結果へとつなげる際に、もちろん強権というものはある程度必要だとは認識しています、しかしそのためには準備と議論を積むべきものであり、拙速よりも決断を重視し、ともすれば1925年治安維持法のような法整備を、政府が行うのではなく国民がこれ以外手段のない状態へ追い込まれ、厳しい措置が法整備される可能性もありました。

 結果としては強権でない故に成功した部分がある。諸外国の封鎖措置や強制隔離と移動制限は、結果として反発を招き、ミニマムアクセスというべき、政府が規制しているが厳しい規制の中で許されることは最大限行うという主権者の刹那的とさえいえる反発、これが拡大の下地を醸成し、却って感染拡大の温床を醸成したように思える。日本と逆に。

 自粛主体の強制措置は、ある意味で強制力は持たないが、ここに自己責任論、感染対策の主役は国民一人一人なのだという変な国民主権主義を強い、飲食店店主や事業所長や経営者一人一人にアメリカのCDC長官並の権限を授権させたことは、却って日本全体での感染対策に成功したといえるのかもしれません。それも初期の感染抑制という成果所以ですが。

 500万以上の死者。世界をみますと日本の成功は例外的です、辛い犠牲。実のところ単一民族国家という揶揄は、民族学的には誤りであっても、空気を読める人間の社会総体という意味でみれば、日本の成功に繋がったのかもしれません。それほどに大規模な感染拡大を、経済的に制御可能な余地がありながら許した諸国の構図には散見できるよう思うのです。

 政治は権力を欲するという性悪説ではなく、国民の支持により成り立つ性善説に依拠してなお、その国民を守るためには強権を発動するほか内として、民主国家であり自由な諸国であった西欧や北米の諸国家が、並ぶようにコロナ対策の名の下に強権を発動し、しかしかえって逆効果である様子は、海外報道に偽り無く示されています。悲劇的とさえ云えた。

 有事法制。実のところ日本は危機に曝されていない状況での危機管理への議論に政治的禁忌というほどではありませんが冷淡といいますか消極的な部分があります。実は危機管理というものは余裕のある平時にこそ研究すべき命題なのですが、先読みの拙さか果たして建前本音の論争は平時に抜けられないのか、モラトリアム主義なのか、まだわかりません。

 緊急事態法制というものはこうした時節に討議すべき命題であったのかもしれませんが、これに準じて超法規的措置というものを制度、こちらは官僚機構が、嫌うためにどうしても場当たり的な特別措置法が制定されるか、有事の際を想定していない平時的な有事法制を整備するにとどめる、ある種の悪弊があります。危機に際して急に整備するのだから。

 危機に際しては、平時にないのであれば場当たり的な特別措置法が取って代わるものですが、何しろ緊急立法措置に近いものを強いられ、そしてもともと必要なものが存在しなかった故に制定されるために特別措置法が後の法整備への基礎として存続してしまいます。この構図が、COVID-19に際しても踏襲されることを実は懸念していたのが率直な印象だ。

 緊急事態法制は必要なものであっても、場当たり的に制定されてしまっては、それこそ現行憲法下に連綿と構築してきました戦後日本での価値観の基盤が破綻してしまいます、そして自粛という強制措置を有さない緊急事態宣言が昨年発令された際、その危機が具現化しつつあるのではないかという懸念が実のところあり、それは今年の夏も同じでした、が。

 幸いにしてこの懸念は杞憂ともなりました。ただ、これが新しいモラトリアムの続きとなったのが現状です。このままでは良いとも思わないのですが、強権主義への行き過ぎと反発という、不可逆的な価値観の総転に繋がらなかったことは僥倖でもあり、だからこそ落ち着いた緊急事態法制への広い議論というものに繋がれば、とも緩く期待する次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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二〇二一年大晦日,防衛情報と榛名防備録-Weblog北大路機関の一年間を振り返る

2021-12-31 14:41:41 | 北大路機関特別企画
■北大路機関の大晦日
 みなさま、やってまいりました年末の大晦日と新年迎える幕間のひとときをいかがお過ごしでしょうか。

 2021年のWeblog北大路機関を振り返りますと、中旬と下旬にて時間はかかりましたが、COVID-19にあわせた改編を漸く完了することが出来ました。昨年からは自衛隊行事が全面見合わせとなりましたことを背景に、もともとは第二北大路機関記事として作成していました防衛関連の時事情報を防衛情報としてまとめて、掲載を継続しているところです。

 第二北大路機関のほうは平常運転といいますか、もう写真は凄いことになっていますが、朝一番に防衛時事を、夜には旅の特集を、旅の特集は文章のみ北大路機関に掲載したものを再編集するという方式で、Weblog北大路機関と第二北大路機関の相互補完を行い、また補助的に2019年より開始した第52北大路機関についても運用を継続、確立しました。

 防衛情報は、しかし第二北大路機関に掲載したものを論題に沿って再度編集し掲載していましたので、月刊誌なみに北大路機関への掲載は遅れてしまい、第二北大路機関の掲載を経ずして北大路機関へ時事情報を一つの特集として掲載、これはもともと自衛隊以外の特集としてまとめていました北大路機関記事を、表題で防衛情報へ統合したものなのですが。

 月曜日と火曜日、一週間のうちの二日間を防衛情報が占める、結果としてこうした構図となったのですね。そこで従来の伝統的な北大路機関の重箱の隅をつつくような話題を土曜日の午後に掲載するという、ちょっと執筆能力的には綱渡りとも考えたのですが、熟慮の結果です。そして現在の北大路機関記事、9写真記事12写真記事前への回帰も行いました。

 日曜日の夕方に草創期の北大路機関のような、長くはないが毎日掲載という、模索の段階の北大路機関が数多く掲載した短文的な記事を主として鉄道の話題、そしてもう一つグルメや映画の話題として掲載しています。このあたりは記事として需要はあるのですが、防衛関係の話題への需要ほどではない、そこで思い切って日曜日夕方へとに移管したかたち。

 日曜特集と土曜詳報という二つの写真記事を掲載するなか第二記事、この位置づけは、しかし案外とアクセス数も多く、もちろん執筆量が多くなりますので負担が多く、言い換えればいつまで継続できるのか、第二記事の文字数で本記事に置き換わることもあり得るのですが、COVID-19の影響下で行事が行われない間、その分を記事作成に充てられます。

 京都幕間旅情を水曜日に限定し、木曜日を連載記事掲載に充てる。2021年紅葉の季節から、これは試験的な取り組みとして開始しました。北大路機関の原点ともいえる、近所の散歩で撮ったスナップ、これが京都幕間旅情の源流です。ただ、これも水曜日と木曜日の二日間にに掲載しますと、防衛情報とともに一週間の記事一覧の大半を占めてしまうのですね。

 連載記事を木曜日に、この区分けも2021年の新しい試みです。北大路機関は一度に10記事を表示できる設定としています、現在は土曜日と日曜日に2記事を載せ、水曜日に概ね2記事を掲載していますので、一週間で10記事という循環、これは2021年に開始しました新しい掲載様式です。また一週間7記事へ回帰する事もあり得ますが、当面の指針です。

 2022年も日本と世界はCOVID-19、特にオミクロン株と向き合ってゆかねばなりません、ただ、こうした中でも夜の仕事上がりに日常の一幕に、ふとWebを閲覧した際なにかこう、ほう、と思えるような写真と記事にて話題を提供できる一要素に、Weblog北大路機関が加わることが出来れば、幸いです。それではみなさま、残る2021年大晦日を、良いお年を。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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