北大路機関

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【G7X撮影速報】中部方面隊創設58周年記念伊丹駐屯地祭.“生々躍動”の姿(2018-10-07)

2018-10-25 20:09:08 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■74式戦車&16式機動戦闘車
 中部方面隊創設58周年記念伊丹駐屯地祭、後半の様子を少々遅くなりましたが紹介しましょう。

 16式機動戦闘車と74式戦車、中部方面隊の将来を担う装備の交代劇、というところでしょうか。16式機動戦闘車と74式戦車は今年度の富士学校創設記念行事では訓練展示において仮設敵と攻撃部隊とで参加しましたが、中部方面隊創設記念行事模擬戦では協同しました。

 発砲焔が74式戦車並に迫力ある16式機動戦闘車は、最新鋭車両という事で注目度が大きく、ただ、二両参加した内で空包射撃を行ったのは奥の一両のみ、74式戦車は両方とも空包射撃を展示しましたので、発砲焔を撮影を志す写真愛好家の面々は一寸残念でしたね。

 105mm砲を搭載する16式機動戦闘車は、今年度の富士総合火力演習において実弾射撃が初公開され、その初速は低圧砲ではなく高初速砲である事が示されています。ただ、低圧砲を採用する諸外国のこの種の車両、近年第三世代戦車への対抗能力に限外も指摘される。

 74式戦車は第二世代戦車にあたり、戦車の三要素である打撃力機動力防御力の内、防御力をある程度断念した設計です。第三世代へ軽量且つ強靭な複合装甲が開発されるまで、第二世代戦車は上記三要素の内、二要素しか充分に設計に盛り込むことが出来ませんでした。

 機動砲、というべき装備は16式機動戦闘車のような装輪装甲車に105mm砲などの同世代戦車に匹敵する大口径火砲を搭載する車両として第一世代戦車と同時期から開発されています。その任務は防御力を断念した戦車駆逐車であり火力支援車、装甲偵察車というもの。

 40mmCTA機関砲が、世界を見ますと機動砲の先駆者で先進国というべきフランス軍では機動砲の後継に位置付けられている様で、スフィンクス/ジャガー装甲偵察車として40mmCTA機関砲と対戦車ミサイルを搭載した新装甲偵察車が開発されています。CTA機関砲、特殊な弾薬と構造により連射速度を高めた設計です。

 16式機動戦闘車は2016年に制式化されましたが、フランス軍は四輪装甲車に90mm砲を搭載したAML-90を1950年代から大量配備しており、その後継として105mm砲を搭載したAMX-10RC装甲偵察車と空挺用の90mm砲を搭載したERC-90機動砲を運用している。

 第三世代戦車の強靭な正面装甲に105mm砲がどの程度威力を発揮するのか、この種の装備ではイタリア製のチェンタウロ装甲偵察車がそのまま活用されていますので時代遅れではありませんが、フランス軍はAMX-10RCとERC-90,そして機械化歩兵部隊のVAB自走対戦車ミサイルの後継にスフィンクス/ジャガーERCを開発、砲塔やミサイルを積む三種類の装甲車両を統合する計画です。

 火力支援任務を考えた場合、フランスが選んだ40mmCTA機関砲の威力は105mmMP弾のような多目的榴弾を置き換える事は可能なのか、と素朴な疑問がありますが、発射速度がCTA機関砲は段違いに大きく、必要な火力指数は発揮し得る、という事なのでしょうか。

 16式機動戦闘車について重ねて考えますと、先ず、AMX-10RCが開発されたのは1976年ですので、根本的に新しく、特に火器管制装置と連動した車体技術から行進間射撃が可能となっています。この為、むしろフランスに提案したい程の高性能ではあるのですが、ね。

 即応機動連隊から戦闘偵察大隊まで、陸上自衛隊では16式機動戦闘車を本州四国における74式戦車の後継として運用する事となります。ただ、防御力では雲泥の差がありますし、車体構造がそれ程強靭な増加装甲を受け入れられるとは考えられません。この点きになる。

 戦闘偵察大隊は戦車大隊と偵察隊を統合し新編される部隊という事ですので、16式機動戦闘車が陸上自衛隊の装備体系や運用体系にどう内部化されるのか、自動迫撃砲搭載の火力支援車やCTA機関砲搭載の装甲戦闘車へ発展するのかを含め、長く見守ってゆきたいです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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