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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成24年度日向灘機雷戦訓練・掃海特別訓練、艦艇26隻規模で開始

2012-11-21 23:05:09 | 防衛・安全保障

◆11月20日~11月30日に日向灘にて実施

 防衛省によれば昨日20日から30日までの予定で平成24年度日向灘機雷戦訓練と掃海特別訓練が開始されたとのことです。

Img_8543m_2 訓練統裁官は掃海隊群司令德丸伸一海将補で、今回の訓練へは掃海母艦1隻、掃海艦2隻、掃海艇21隻、掃海官制艇2隻、そして航空機2~3機が参加して行われ、上記海上自衛隊の艦艇と航空機に加え、米海軍からも水中処分員数名が参加し、実施されます。米海軍からは第五機動水中処分隊ギャレットパンコウ大尉が指揮官として参加するもよう。

Img_7364 訓練の主要項目は、訓練機雷を実際に日向灘に対し敷設する機雷敷設訓練、そして特定海域の何処かに敷設された訓練機雷を掃海艇の探知器材により捜索し処分するまでの一連の流れを演練する掃海訓練、そして水中処分員による潜水訓練を行うと共に日米の相互研修を行うと発表されていました。

Bimg_7132 機雷は係留式の触発信管を備えた最も従来から使用されているものに加え、磁気や音響に反応するもの、近年には海底に設置し潜水艦を狙うものや船舶の接近に反応し魚雷を投射するものなどがあり、従来の掃海器具を曳航する掃海だけでなく、機雷処分器具という無人潜水艇を用いた機雷掃討を行わねばならない時代となっています。

Img_6148_1 このように種類が多く、そして配置されるのが海中で確認が難しいため処分に手間がかかる機雷は、別名最も効率の良い兵器とも言われるのに加えて、敷設そのものは機雷敷設艦のほか、潜水艦や航空機から投射し敷設するものがありますし、効率は落ちますが通常の船舶であっても敷設することは不可能ではありません。

Gimg_6772 我が国は先の大戦においてB-29が投下した機雷により主要港湾のほぼすべてを封鎖され、日本海や瀬戸内海の通行さえも閉塞された苦い経験があり、戦後は日本側が敷設した防御機雷の浮流機雷も発生するなど、その海上交通を長期間に渡り脅かされた経験があり、海上自衛隊も任務を機雷掃海隊として創設された、という歴史があるほどです。

Gimg_6703 海上自衛隊は掃海艇を中心とした対機雷戦艦艇の規模において世界有数の規模を有しています。これは過去の歴史に加えて加えて、東西冷戦時代においては我が国の当面の脅威となったソ連が、その海軍戦略において機雷を重視する姿勢を示し、潜水艦からの機雷敷設はもとより水上戦闘艦い対しても機雷敷設能力を付与するなど、我が国としては機雷対処能力をかなり高い水準としておく必然性がありました。

Mimg_5991 今日としては、我が国を取り巻く脅威において機雷による重大な脅威は二つあります。一つは台湾海峡有事において中台が敷設する膨大な数の機雷の一部が浮流機雷となり我が国海上交通路を破壊する危険、そしてもう一つは中東地域において重要な海上交通路であるホルムズ海峡をイランが機雷で封鎖するという脅威です。

Bimg_7579 掃海特別訓練は低位的に実施されていますが、先ほど示したように、こうした脅威に備えると共に必要であれば専守防衛の観点から重要海域を機雷封鎖し潜水艦の侵入や着上陸を阻止するという観点から機雷に対し運用と対処の面で能力を高めておく必要性は大きいといえるでしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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