◆ロックリア海軍大将が後任
アメリカ太平洋軍司令官ロバート・F・ウィラード海軍大将が退任しました。
明日で東日本大震災発災から一年を迎えますが、こうしたなか9日、アメリカ太平洋軍司令官として2009年から任務に就いていたウィラード大将が任務を満了し、退任したとのことです。退任式典はハワイ州ホノルルのキャンプスミスにおいて実施、ワシントンDCからパネッタ国防長官が執行に参加、任務の満了を労いました。
太平洋軍は太平洋艦隊隷下の第七艦隊及び第三艦隊、太平洋陸軍隷下の第一軍団及び第九戦域支援軍団、太平洋海兵隊の第一海兵遠征軍と第三海兵遠征軍、太平洋空軍隷下の第五空軍及び第七空軍加えて第十一空軍と第十三空軍が配置され、太平洋全域及び東インド洋、そしてユーラシア大陸東半分を担当する重要な部隊です。
ウィラード大将の退任式においてパネッタ国防長官は祝辞において特に東日本大震災を契機とした米軍による日本支援任務トモダチ作戦について触れ、最良の同盟国の危機的状況に際して即座に必要な支援を実施できたことは幸いであった、と発言、災害派遣としての米軍の行動は空前の規模であったこと共に述べています。
パネッタ国防長官は、太平洋軍司令部が真の友人を窮地から救った活動は、全てのアメリカ国民にとっての誇りである、最上級の賛辞を送っています。米軍による空輸支援と艦船合航空機からの情報支援、余り公にはされていませんが、ここに救われた部分は大きかったと考えるしだい。
米軍の活動は、20000名の人員に対して、そこまで目立つことはありませんでした。しかし、空輸支援が無ければ自衛隊の日本前一からの被災地への展開は制約がありましたし、情報支援などが無ければどういった部隊運用を行うのかが不明瞭となるところだったでしょう。米軍は敢えて自衛隊を正面に立たせることで日本の顔をたてさせようとしたとも。
特に東日本大震災に際してはその第一報に接すると共にこの被害は相当規模になるとの判断から、太平洋上及びインド洋に展開する米海軍艦艇の日本周辺海域への緊急展開を独自の権限で決定し、米軍の任務、トモダチ作戦としての実施を支える部隊基盤を構築していました。
トモダチ作戦、重要なのは極東地域という非常に政治的配慮が必要と成るこの地域において、特に日本の防衛を担う自衛隊が災害派遣において忙殺されている期間中に強大な米軍の部隊を投入し政治的な支援を明示すると共に軍事的な抑止力を強く提示した、ということは特筆されなければなりません。
ウィラード大将の後任には、ロックリア大将が着任しました。ロックリア大将はウィラード対象と同じ海軍大将で、昨年のリビア内戦への民主化勢力への支援任務において米軍部隊の指揮を行いました。太平洋軍は、その正面に重大な脅威を構え、他方TPPに示されるようにアメリカの今後を左右させる重要な地域、この地域の平和と安定に抑止力の維持を継続させることが期待したいですね。
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