◆主力330名・支援40名、車両160両を派遣
防衛省によれば陸上自衛隊スーダン派遣の概要は人員330名と支援要員40名、車両160両という規模になるとのことです。
第一次派遣部隊は中央即応集団を基幹として編制され、続いて全国の部隊が持ち回りで任務に当たります。派遣部隊は来年2012年1月11日に先遣隊十数名の規模で日本を出発、その後の第一次派遣部隊が一月下旬に出発を開始し三月上旬までにすべてが移動、宿営地建設を実施し本隊による活動の準備とします。
部隊は民間旅客機によりまず隣国ウガンダのエンデべ空港へ向かい、エンデべ空港まで前進している航空自衛隊のC-130H輸送機に乗り換え、任務地に近い南スーダンのジュバに向かうという計画で、重装備などは海上自衛隊の輸送艦により輸送されることとなっています。重装備とは、軽装甲機動車、輸送車両、施設車両などで160両が派遣されることとなりました。
今回の任務へは輸送艦に加え、航空自衛隊よりC-130H輸送機四機、KC-767空中給油輸送機一機、B-747政府専用機一機が輸送支援へ派遣され、支援要員40名はウガンダのエンデべ、ケニアのナイロビに調整班を展開させ、現地支援調整所としての機能を行うとのこと。
派遣部隊は四月中旬頃から道路復旧任務などにあたるとのことで、UNMISSは2012年7月9日までの任務が見込まれていますが、自衛隊派遣任務はUNMISS完了後の撤収期間を含め派遣期間を10月31日まで、ということとしたようです。今回、国連から強く要望されていたヘリコプターの派遣は行われません。
派遣期間は当初数年という話でゃありましたがUNMISS派遣、というかたちですので、一定の期間とすることが出来たようです。しかし、ハイチ復興人道支援任務やソマリア沖海賊対処任務という長期化している任務を見ますと、自衛隊の任務は復興ではなく復興支援としての復旧、というところを忘れないでほしいですね。
当初はかなりの懸案であった派遣部隊支援のための補給維持ですが、輸送機を主力として用いることで、道路状況が悪い区間を1000kmにわたり維持する、という難題は解決されるようです。加えて、車両の派遣は全て輸送機、というわけにはいきませんが、派遣までの期間に余裕がるため、対応は可能、ということでしょう。
ただ、現地情勢を判断してとの事でしょうが、武装勢力は存在するとのことですから写真の87式偵察警戒車のような火力装備を派遣せずして大丈夫なのでしょうか、軽装甲機動車と小銃に機関銃、と派遣装備は明示されていますので96式装輪装甲車や無反動砲まで持ち込んだイラク派遣と比べると、どうしても軽装備という印象が否めないのですが、どうなのですかね。
また、緊急時の離脱の能力模索は必要ないのか、と過去に記載したのですが、MCH-101であれば人員だけならば延べ11機で輸送できますから、沖合にヘリコプター搭載護衛艦などを常時遊弋、とまではいかずとも情勢が緊迫した状態には派遣できるような体制は欲しいものです。HSS-2を運用できる水上戦闘艦には搭載可能、というAW-101が原型ですから、海上自衛隊のジブチ航空拠点に展開させ、緊急時に海賊対処任務にあたる護衛艦に搭載させて急行させられれば、と思ったりはします。
こうして派遣される運びとなったのですが、返す返すも、もっと輸送艦があれば、とおもいますし、C-2輸送機が完成していれば、派遣はもう少し難易度が下がったのだろうなあ、と思います。もともと戦略展開能力を考えていない自衛隊に、日本からはるか離れたアフリカへの任務が命じられたのですから、ね。
北大路機関:はるな
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