北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

JDAM搭載試験進む 航空自衛隊岐阜基地飛行開発実験団の銀翼

2007-04-06 15:59:26 | 航空自衛隊 装備名鑑

■岐阜基地撮影紀行

 新年度最初の展開先として、航空自衛隊岐阜基地へカメラとともに展開した。明野駐屯地展開も考えたが、諸般の事情により起床が遅れ、岐阜基地展開となった。

Img_8214  航空自衛隊岐阜基地へは、岐阜基地航空祭2006以降も、2007年2月6日(OH-1初号機などを撮影)、2006年12月14日に展開している。そろそろではないかという情報が飛びかう中で、岐阜基地におけるT-3ラストフライトはまだのようで、もうしばらく飛行するとのでは、という専門誌記事もあった為、展開となった。今回の主眼は、T-3以上に、岐阜では縁の無いF-15Jの撮影である。

Img_8035  航空自衛隊における各種評価試験を担当する飛行開発実験団には、F-15J、F-15DJ、F-2A、F-2B、F-4EJ、F-4EJ改、C-1、T-4、T-3といった各種航空機が配備されており、この他川崎重工に着陸する機体、また他の基地からのリモート機を撮影することが出来る。

Img_8048  入間基地の航空開発実験集団の隷下には、岐阜基地の飛行開発実験団の他、入間基地の電子開発実験団、入間と立川の航空医療実験隊があるが、航空機を運用するのは飛行開発実験団が中心となり展開されている(この二枚のT-4練習機は浜松基地第一航空団第31飛行隊の機体)。

Img_8050_1 T-4の後方よりC-1が近付く。C-1のような比較的大型の機体は犬山城付近から基地へ進入するようだ。岐阜基地は隣接する三井山公園展望台を除けば基地を一望できる場所が無く、動きのある写真に仕立てるには他の機体と併せるのが理想である。

Img_8067  飛行開発実験団のC-1輸送機、機首に002とあるが、この他犬山城で油断して撮り逃した001が飛行開発実験団で運用されており、その後継機であるC-Xは技術研究本部と川崎重工岐阜工場において開発が進められている。

Img_8087_2  飛行開発実験団所属のT-4練習機。第一航空団の機体と比べると端的に現れているが、機首には各種試験のデータ収集用にかなり大型のピトー管が搭載されている。胴体中心部と主翼左右に各一のハードポイントが設置されているが、主翼外側が補強されており、新たに左右合計二箇所のハードポイントの増設が可能という(しかし、操縦席の表示灯は試作機を除いて量産機には三箇所分のみである)。

Img_8110 少々確認しづらいが、T-4の着陸の合間にBK-117が飛行している。BK-117は川崎重工とユーロコプター社が共同開発した機体で、日本ではドクターヘリや防災ヘリなどに多数が運用されている。また、軍用型のBK-117A-3Mが1985年のパリ航空ショーで公開された。

Img_8104 先に掲載したT-4とは別の機体、こちらも飛行開発実験団の機体である。ピトー管の他、コックピットと機首の中間部分にもアンテナが増設されているのがわかる。本論とは関係無いが、このT-4は、急降下するとマッハ1を越えるとのことだ(しかしマッハ0.86以上で衝撃波が発生し飛行特性が変化する他、超音速状態ではエンジン作動制限が30秒とのこと)。

Img_8099  先ほど、T-4とともに写っていたBK-117が着陸の為に進入する。機体には防衛庁技術研究本部岐阜試験場と書かれている。

 蛇足ながら、遠からず防衛省技術研究本部と書き換えられるのだろうか興味が持たれる。

Img_8146  着陸に向かうT-4の背景に山間部をフレームに収めた。この写真をみると人里離れた基地という印象を受けるが、ここも名古屋市に程近く、岐阜市に隣接する各務ヶ原市の市街地に囲まれた基地であるため、交通の便は良い。

Img_8150  滑走路に向かうT-4の進路上に鳥の群れが、写真はT-4の進路上ではないものの、鳥が写っている。自然との調和という微笑ましい写真だが、キャノピーに直撃したり空気取入口などに鳥が吸い込まれると重大事故の原因となる為注意が必要である(曲技飛行用の改修機は450ノット飛行時、キャノピーに4ポンドの鳥が激突しても破壊されないとのこと)。

Img_8162  浜松基地の第一航空団より飛来したT-4、いわゆるレッドドルフィンのカラーリングが施されている。垂直尾翼の付根に装備されたエアブレーキが開いているのに注目。

Img_8179  T-4は、第一航空団の機体に関してはタッチアンドゴーの訓練を繰り返していたようだ。ちなみに岐阜基地から練習機と早期警戒機の基地である浜松基地までは約120km、要撃飛行隊の基地である小松基地までも約120km、輸送機と救難教育部隊の所在する小牧基地までは約20kmである。

Img_8169  試験などを終えたのだろうか、1552時、F-15DJが頭上を越える。同時に不法投棄などの監視からもどった岐阜県警のベル412もF-15DJと同じフレームに収まっている。

Img_8199   続いて1558時、昨日速報をお伝えしたJDAM搭載のF-2Bが着陸する。滑走路をフライパスすることなく、そのまま着陸した。JDAMについては、2月より搭載試験が目撃されており、投下試験も開始間近と考えてよいだろう(実施されている可能性もある)。

Img_8206  なお、搭載されているJDAMは正式名称をGBU-38/B500ポンド誘導爆弾といい、既存のMk.82型500ポンド通常爆弾の先端部分及び後部にKMU-572/Bガイダンスキットの安定フィンを先端部分に誘導用ウイングを後部に装着したものである。

Img_8210  JDAM用にKMU-572/Bガイダンスキットを装着されたMk.82であるが、これはオレンジ色であることから炸薬をもたず、実弾を同じ重量を有するダミー弾であると思われる。なお、試験であるため一発づつの搭載となっているが、連装装着が実戦では行われる。

Img_8214_1  1559時、JDAM搭載のF-2Bとともに着陸する飛行開発実験団のF-15J,この着陸とともに基地周辺に静寂が戻り、自動車や自転車にて展開したファンも一斉に撤収を始めた。

Img_8235_1  小生もそろそろ撤収を・・・、と考えたがなにやら気配がする。経験上なにか来そうな印象があり、待つこと約20分、1628時にF-4EJ改が着陸してきた。EJ型とEJ改型は胴体上部のアンテナの大きさ、垂直尾翼のアンテナの有無により区別する。

Img_8237  陽が傾きかけていた、もう少し待機するか撤収するかを考えたが、これで充分である。F-15J、F-2、F-4EJ改という航空自衛隊第一線機を撮影し、レットドルフィンカラーのT-4、JDAM搭載F-2、技本のBK117などを撮影し、満足と共に岐阜基地を後にした。

HARUNA

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