ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大都会 PART II 』#44

2019-10-27 00:00:13 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第44話『殺人捜査』(1978.1.31.OA/脚本=金子成人/監督=村川 透)

ホテルの浴室で津山という印刷業者(石川 敏)の遺体が発見され、事故死として処理されそうになるんだけど、丸さん(高品 格)がいくつかの矛盾点を指摘。殺人の可能性を察した黒岩デカチョウ(渡 哲也)の指示により、刑事たちは捜査を開始します。

すると津山が前夜、白木という外事省の役人(長谷川明男)と密会してたことが判明。津山の印刷所が倒産危機につき借金を申し込む為の会合なんだけど、よくよく調べてみると白木はかつて津山の一人娘と交際しており、彼女は白木に捨てられて自殺したらしい!

そう、津山は白木に対して恨みがあり、そのスキャンダルをネタにユスろうとし、白木は口封じのために津山を事故に見せかけて殺害した。だけど白木には完璧なアリバイがあり………

『大都会』シリーズとしては極めて珍しい、アリバイ崩しの本格ミステリー。どうせ最後は暴力で解決するんだろうと思いきや、あくまで地道な捜査を突き通し、クライマックスは刑事コロンボばりに罠を仕掛けて白木を自白に追い込み、パンチ1発も浴びせず逮捕したもんだから驚いた!

そう言えば冒頭、加害者=白木と被害者=津山の密会場面でドラマは幕を開け、殺害シーンまでは見せなかったものの、津山にユスられた白木が後に彼を殺すであろうことを暗示してましたから、かなり倒叙法に近い作劇なんですよね。

当時『刑事コロンボ』が大ヒットし、『太陽にほえろ!』でも山さん(露口 茂)に似たような事をやらせて話題作りしてましたから、ウチでもいっちょうやってみるか、みたいなノリで創られたエピソードなのかも知れません。

『西部警察』まで行っちゃうと普段とのギャップが激しすぎて成立しづらいけど、まだ人間ドラマの要素が残ってた『大都会 PART II 』だとそれほど違和感はなく、けっこう見応えがありました。こういう時には断然、丸さんみたいな「いぶし銀」の存在が光りますよね。

途中、徳吉(松田優作)が「もう面倒だから捜査打ち切りにしましょうや」とか「次に怪しいのが村川透子という女です」などとw、例によってアドリブと思わしき台詞を吐いたり、銀座のホステスのマンションへ聞き込みに行けばニヤニヤしながらパンティーを干すのを手伝ったり等w、適度にくすぐりを入れてくれるから謎解き一辺倒でも退屈しません。そこが他の石原プロ作品には無い『大都会 PART II 』の強みかと思います。

セクシーショットは、犯人=白木の婚約者を演じられた岡本ひろみ(岡本広美)さん、当時21歳。テレビドラマ初出演は『太陽にほえろ!』の第218話『殿下とスコッチ』で、以降『特捜最前線』や『大追跡』『西部警察』『Gメン'75』『噂の刑事トミーとマツ』『あぶない刑事』『ジャングル』等の刑事ドラマにゲスト出演、'90年代半ば頃まで活躍された女優さんです。
 
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『太陽にほえろ!』#287

2019-10-26 00:00:11 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第287話『ある娘』(1978.1.27.OA/脚本=小川 英&柏原寛司/監督=木下 亮)

ボス(石原裕次郎)は帰宅途中、交通事故の現場検証に出くわします。前田という南郷建設の経理部長が車で塀に激突・死亡した自損事故で、ブレーキ痕が無いことから居眠り運転と見られるんだけど、状況を見たボスは違和感を覚えます。

念のために自殺・他殺の可能性を踏まえて捜査してみたら、死んだ前田部長が南郷建設と土木省の汚職に関わっていたらしいことが判明。

さらに、前田部長の一人娘=洋子(原田美枝子)が通夜の席で、焼香に訪れた南郷社長に「人殺し!」と叫んだもんだから放っておけません。

洋子に事情を聞くと、父親は絶対に自殺なんかしないと彼女は断言。根拠は、生前に父親が「社長に殺される」と漏らしたことがあるからだと言う。

もし、前田部長が汚職の証拠を握っていたのだとすれば、社長の差し金で殺された可能性は確かにある。もしかすると、その証拠を今は洋子が握っているのかも?

ボスは洋子に探りを入れますが、なぜか彼女は口をつぐみます。もしかすると洋子は、南郷建設に復讐しようとしているのか?

そんな折り、洋子の身に次々と災難が降りかかります。自宅の窓が割られたり、車に跳ねられそうになったり、いつも飲んでるブランデーに睡眠薬が仕込まれていたり……

やはり、南郷建設が洋子の口をも封じようとしているのか?

ところが、前田部長が生前に自殺を仄めかしていたという新証言が飛び出し、事態は混迷します。殺されたのでないとすれば、汚職の証拠は本当に存在するのか?

「もう少し待って下さい。きっと近い内に、何もかも分かります。何もかも……」

そんな意味深な言葉をボスに吐いた洋子は、密かに南郷と取引しようとしてるのでした。汚職の証拠書類と引き換えに現金5千万円を要求し、そのやり取りをマイクロカセットに録音する。そのテープをボス宛てに送った後、洋子は南郷社長と二人きりで密会します。

一方ボスは、洋子が2日前に自分で睡眠薬を買っていたことを突き止め、全てを悟ります。洋子に降りかかった災難は全て彼女自身による狂言で、汚職の証拠書類も最初から存在しない。恐らく洋子は、父親が汚職を苦に自殺したことも実は分かっている。じゃあ、彼女の本当の狙いは何なのか? 父に汚職を命じた南郷を殺すことなのか?

「そんな馬鹿なマネはしないわ。それじゃあ土木省のお役人は痛くも痒くもないもの。人殺しをするのは、あなたよ」

洋子は、南郷社長が自分を殺す動機を偽装工作し、彼の指紋が付いたナイフで自分を刺すことで、彼を殺人犯にしようとしてるのでした。

「まだ解らないの? あなたは父を殺したのよ。手は下さなくても、やっぱり殺したのよ!」

父親の死因が自殺である以上、南郷を殺人罪には問えない。だから洋子は、自らの命を犠牲にして、南郷が殺人犯として裁かれるよう仕向けたのでした。

「そこまでだ。そのまま死ねば、キミはただの自殺だ」

駆けつけたボスが、優しく洋子を諭します。

「テープは1日早く聴かせてもらったよ。あれと今聴いたことだけで、じゅうぶん汚職容疑で逮捕できる」

「…………」

「それでいいじゃないか。それで我慢する替わりに、もっと自分の命を大切にしよう。もしお父さんが生きてたら、きっとそう言うんじゃないかな?」

「…………」

ナイフを下ろした洋子の手をとって、ボスは七曲署へと連れて行きます。彼女は恐喝罪に問われてしまうけど、南郷建設と土木省の汚職はきっとボスが暴いて見せる事でしょう。

まぁしかし、自分を置いて自殺した父親のために、こんな若い娘がそこまでするだろうか? んなヤツはおらんやろ~ ってのが率直な感想です。仮にいたとしても、父親との固い絆がしっかり描かれてないと説得力が無いですから、正味45分のドラマで描くには無理のあるストーリーでした。

当時19歳の原田美枝子さんは、すでにデビュー4年目の人気女優さんで、レギュラー以外のドラマ出演は断ってたんだけど、ボスと山さん(露口 茂)のファンだった事もあり『太陽にほえろ!』のオファーだけは特別に引き受けたんだとか。

そんな経緯を考えると、ボスとの絡みが多い本エピソードは原田さんにアテ書きして創られた可能性が高く、彼女の個性を活かそうとするあまり、ちょっと話を練り込みすぎたのかも知れません。

そんなワケで内容はいまいちアレだったけど、さすがに原田さんの存在感だけで見応えあるエピソードには仕上がってます。今回の出演で好感触を得たのか、原田さんはその後『探偵物語』『あいつと俺』『警視―K』『警視庁殺人課』等のドラマにも単発でゲスト出演される事になります。

ヌード写真は恐らく17~18歳の頃に撮られたもの。デビュー当時から実に脱ぎっぷりの良い女優さんで、まったく素晴らしいオッパイです。ぼいぃぃ~ん!
 
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『太陽にほえろ!』#284

2019-10-25 00:00:12 | 刑事ドラマ'70年代







 
1978年・新春1発目のエピソードは、七曲署捜査一係のマスコットガール=アッコ(木村理恵)の初主演作にして、当時頭角を表しつつあった柴田恭兵さんのゲスト出演作。この直後、恭兵さんは新番組『大追跡』で初レギュラーの座を獲得することになります。


☆第284話『正月の家』(1978.1.6.OA/脚本=小川 英&田波靖男&安斉あゆ子/監督=山本迪夫)

定食屋の店員=谷村哲夫(柴田恭兵)が、店長と口論になり包丁を手にしたところを、駆けつけた長さん(下川辰平)とロッキー(木之元 亮)に取り押さえられ、七曲署に連行されます。

哲夫が暴れた原因は、店の売上金が無くなったのを自分が盗んだと決めつけられたから。それは濡れ衣だと判ったものの、ふて腐れて口も聞かない哲夫が、彼の保証人である福祉協会の役員=田代(山本紀彦)がやって来た途端、従順な態度に豹変したのを見て、長さんは訝しく思います。

「私も随分ああいう連中とは付き合って来てるんですが、あんなにコロコロ態度が変わるのも珍しいです」

長さんは、いきさつをボス(石原裕次郎)に報告しながら、哲夫への不信感を露にします。しかも哲夫は、アッコ(木村理恵)の中学時代のクラスメイトだったから驚いた!

「私の経験から言っても、かなり危険なタイプです。そいつとアッコが友達だというのも気になって……」

哲夫はアッコと再会しても無愛想だったのに、アッコは彼のことを気にかけてる。もしかすると同窓生としての好意以上の感情を、アッコは抱いてるのかも知れません。

しかも、アッコは哲夫から、福祉協会が孤児たちのために開くパーティー「正月の家」に招待されました。長さんたちは心配し、ロッキーが付き添うことになったのですが……

警察の人間であるロッキーとアッコを温かく迎え、屈託無く話す孤児たちと接する内に、ロッキーは考え方を改めていきます。

周囲から偏見の眼で見られ、ついイジケてしまいがちな彼らも、根は普通に人懐っこい、ただ愛情に飢えた連中なのかも知れない。保証人の田代が現れた途端に哲夫が従順になったのも、ただ単に彼を本心から慕ってるからかも知れない。

なのに、肝心の哲夫はパーティーを欠席。定食屋で自分に眼をかけてくれてた常連客の青木に頼まれて、彼は臨時のアルバイトをしてたのでした。

ところが、工事現場の警備だと聞かされてたそのバイトが、実は金庫破りの見張り役だった! 優しくされると盲目的に相手を信じてしまう、哲夫の性質を青木は利用したのでした。

目撃者の証言によるモンタージュ写真が哲夫にソックリなのを知って、動揺したアッコは1人で哲夫に会いに行き、まだ何も知らなかった彼を逆上させ、逃がしてしまいます。

「私がバカだったんです。私、野崎さんたちがあんなに彼は危険だって言ったのに、昔の友達だからって1人で信じて……」

ボスたちに事情を説明し、涙を流して謝るアッコですが、一緒にいた福祉協会の田代が異論を挟みます。

「いや、それは間違いじゃない。哲夫は騙されて利用されて、見張りに立っただけです」

田代は、哲夫が正月の家に土産を買って帰りたくてバイトをしたことを知っていました。

「そんなことに利用されて気がつかないなんて、随分バカなヤツだと皆さんお思いになるかも知れません。でも、施設の子は皆そうなんです。誰かに親切にされると、信じられないくらい脆いんです。それだけ、世間の人の優しさに飢えてるんです」

田代の言葉には、我々視聴者に対する『太陽にほえろ!』スタッフ一同からのメッセージがこめられてます。

「哲夫が、騙されたり裏切られた時にひどくカッとなるのは、本当は信じたいからなんです。人を信じようとする気持ちが、人一倍強いからなんです。異常だと言って済ますのは簡単です。危険だと言って刑務所に放り込むのも簡単です。でも、あの子はどこもおかしくない。どこも異常じゃない。ただ、寂しいだけなんです」

これは福祉施設に限ったことじゃなく、我々のごく身近にいる人たち、いや、我々自身にも通じることかも知れません。

「そりゃあ施設の子は、みんな変わってます。社会常識の足りない子もいますし、うまく喋れない子もいます。でも刑事さん、親も家族もいない子に、いったい誰がそんなことを教えるんですか?」

人間は教科書通りにはいかない。肌で、親兄弟とのふれ合いで人生を学ぶんだと、田代は懸命に説きます。

「少しぐらい社会常識が足りないからって、あの子たちを、哲夫を、ヘンな眼で見るのだけはやめて下さい。危険な人間だと思い込むのだけは、やめて下さい。お願いします」

やがて強盗の実行犯として青木が手配され、刑事たちが逮捕に向かうと、ちょうど哲夫が青木と揉み合い、拳銃を奪って今にも撃とうとする状況にありました。

信じてた相手に裏切られ、ステバチになってる哲夫を、刑事たちが必死に説得します。

「哲夫! 俺たちは、お前が泥棒なんかするような人間じゃないと信じてるよ」

「信じる? 俺を? 刑事のあんた達が?」

刑事たちの本気の眼差しを見て、哲夫は素直に拳銃を下ろすのでした。もちろん青木やその黒幕は逮捕され、哲夫は罪に問われずに済みました。

七曲署における事情聴取を終えて帰宅する際、見送りに来たアッコに哲夫は言います。

「あの……赤い鉛筆だけど。あの時の」

中学時代、シャイな哲夫がアッコと口を聞いたのは、落ちていたらしい赤い鉛筆を「君のかい?」と彼女に尋ねた、そのたった1回だけでした。

「あれ、ホントは俺の鉛筆だったんだ。友達になりたかったんだ、キミと」

「…………」

「オレ……オレたちには、キミたち普通の家の子はいつも、なんか、違う世界の人間なんだ。だから、声をかけるのも勇気が要るんだ」

「そんな……」

「でも今は違うよ。また遊びに来て。刑事さんと一緒に」

「うん、きっと」

アッコが差し出した手を、一瞬だけ照れ臭そうに握った哲夫は、軽やかな足取りで去っていくのでした。演じる恭兵さんは、ステップを踏みそうになるのを必死に我慢してた事でしょうw

本エピソードは実在する福祉施設をモデルにしており、高視聴率を社会のために役立てたいという、チョー生真面目プロデューサー・岡田晋吉さんの真摯なメッセージがこめられてます。

多数派が、少数派の人を理解しようとせず、排除しがちな傾向は当時も現在も変わってないどころか、やり方はもっと陰湿になってるかも知れず、これは今こそ考え直すべきテーマじゃないかと思います。

刑事たちがそれを説くと説教臭くなっちゃうけど、ベテランの長さんが偏見から哲夫を疑い、福祉協会の人に説教されちゃう構図になってるのが良いですよね。そこに『太陽にほえろ!』の誠実さが表れてるような気がします。

当時、柴田恭兵さんは26歳。劇団「東京キッドブラザーズ」で注目され、前年に『大都会PART II』でテレビ初出演。それから『俺たちの朝』『太陽にほえろ!』とゲスト出演が続き、前述の通り同年『大追跡』で初レギュラー、翌年の『俺たちは天使だ!』で本格ブレイク、そして'86年の『あぶない刑事』と、日テレのアクションドラマで大きくなっていった俳優さんです。

木村理恵さんは当時20歳。TBS系列のドラマ『青春の門 第2部』で大胆な演技を披露し、女優としてステップアップしてる最中の初主演エピソードでした。篠山紀信さん撮影によるヌード写真も、この時期に発表されたものと思われます。

『太陽~』出演中にも『はぐれ刑事』『夜明けの刑事』『華麗なる刑事』等の刑事ドラマにゲスト出演、『太陽~』卒業後も『特捜最前線』で船村刑事(大滝秀治)の娘=香子役でセミレギュラー出演される等、まさに刑事ドラマのミューズと呼ぶべき女優さんです。
 
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『華麗なる刑事』最終回

2019-10-24 00:00:12 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第32話『1000万人の人質』(最終回)

(1977.11.21.OA/脚本=佐藤繁子/監督=児玉 進)

ヤクザの裏カジノから二千万円を強奪したアホのチンピラ=真(神 有介)の目的は、自分を育ててくれた孤児院が抱える借金を返済し、閉鎖の危機から救うこと。

だけどヤクザたちがそれを放っておくワケがなく、真と同じ孤児院で育った恋人=圭子(木村理恵)が狙われ、彼女を守ろうとした真はヤクザと揉み合いになり、アホだから拳銃を暴発させ、死なせてしまいます。

アホは逃走し、圭子が身代わりになって自首するんだけど、以前から彼女を知ってる高村(草刈正雄)は誰かを庇ってることを即座に見抜きます。見抜くんだけど、圭子がやってないという証拠も無いから釈放出来ない。

圭子を救いたいけど自首はしたくないアホの真は、銃砲店からライフル銃を強奪し、圭子を釈放しないと東京都民を無差別に射殺するという、アホな脅迫電話を南口署にかけて来ます。

いくらアホでもそこまでアホな事はしないだろうと思ったら、実際に街中で都民が狙撃されたから驚いた!

しかし現場近くにいた城西署の理恵(梶 芽衣子)が狙撃犯を目撃し、そのルックスとプロ並みの腕前から見てアホの真とは別人だと断言。どうやら二千万円を取り戻したいヤクザたちが、その在処を知ってるであろう圭子を釈放させる為に、アホの犯行と見せかけて無差別殺人を実行したらしい。

アホの真には出来なくても、根っから腐ったヤクザたちなら罪のない市民を何人でも殺すだろう……それを阻止する為には、やはり圭子を釈放するしかない。けど、そうすれば圭子が無事じゃ済まなくなる。一体どうすりゃいいんじゃい!?

そこで久々に登場し、圭子に変装してオトリとなる役を買って出たのが、本来ヒロインの筈がすっかりご無沙汰だった少年課婦警=青井 空(壇ふみ)。もちろんAV女優の蒼井そらさんとは別人です。

さすがは最終回、青井婦警のみならず交通課の園山婦警(沢たまき)も久々に登場、欠席しがちな「坊や」こと真田刑事(加納 竜)も参戦し、所轄外の理恵も交えてヤクザ軍団との激闘を繰り広げるのでした。

……と、これも粗筋だけ追うと燃える展開になりそうなんだけど、やっぱりそうならないのが『華麗なる刑事』なんですよね。ストーリーを引っ張る真ってチンピラが本当にただのアホで、刑事たちが命懸けで守ってやるだけの価値を感じないのが致命的。ただ、巻き込まれた恋人が七曲署のアッコであるのが唯一の救いで、彼女の存在が無ければホント空虚な最終回になってただろうと思います。

前回の風吹ジュンさんもそうだけど、'70年代のドラマや映画って、どうしょうもないバカ男と聡明な美女のカップルがやたらよく出て来て、私は当時も今も観るたびに「なんで?」って思っちゃう。現実がそういうもんなのか、あるいはチンピラやボンクラに自己投影する創り手たちの願望なのか?

それはともかく、最終回ぐらい主役の刑事たち自身、あるいはその身内に危機が迫ったり、殺されて復讐に燃えるような熱い展開が見たいのに、この番組は意図的にそういうのを避けてる気がします。やっぱり女の子向けなんですよね。

刑事たち自身には何の波乱も起きないまま、普段通りのテンションで事件解決。で、ラストシーンはなぜか新宿の街中を走るボロトラックの荷台上で、高村、南郷(田中邦衛)、理恵、空の4人がドレスアップしてステーキを食べてるというw、意味不明なシチュエーション。

これは「とにかくヘンなことがしたかった」とおっしゃる草刈正雄さんの発案で、ご自身が後のインタビューで「なんの意味もない」って断言されてますから、私に読解力が無いワケじゃないんですw

てなことで、正直なところ私はあまり面白いと思えない『華麗なる刑事』だけど、それなりに人気はあったみたいで、草刈さんを中心とした5人のチームによる『新・華麗なる刑事』という続編企画も実は挙がってたんだそうです。

恐らく翌'78年に日本テレビ系列で放映された5人の刑事によるアクションドラマ『大追跡』と真っ向対決になった筈で、それを意識しての企画なのか、あるいはそれを避けてお蔵入りになったのか、今となっては知る由もないけど、果たしてどんなメンバーが選ばれたのか(草刈さん以外は未定のまま頓挫)、観てみたかったですね。今度は男の子向けの内容で。
 
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『華麗なる刑事』#31

2019-10-23 00:00:12 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第31話『拳銃の報酬』(1977.11.7.OA/脚本=鴨井達比古/監督=松森 健)

しがないチンピラの哲夫(鹿野浩四郎)が入院先の看護婦=早苗(風吹ジュン)と恋に落ち、結婚すべく暴力団から足を洗うことを決意するんだけど、もちろん簡単にはいきません。

兄貴分から「拳銃を調達して来たら認めてやる」と言われ、交番の老巡査=野田(松村彦次郎)を襲撃した哲夫は、奪った拳銃を暴発させて野田に重傷を負わせちゃう。

で、兄貴分にその拳銃を引き渡し、カタギに戻れたことを早苗に報告しに行ったら、なぜか彼女は真っ青な顔をしてる。どうしたのか尋ねてみたら「お父さんが交番で襲われて拳銃を奪われたの」って言うから驚いた!

そう、哲夫は、これから早苗との結婚を許してもらうべく挨拶に行くつもりだった、彼女の父親をそうとは知らず襲撃しちゃったのでした。

野田巡査は、城西署の華麗なる女刑事=三杉理恵(梶 芽衣子)がかつて世話になった恩人でもあり、当然ながら理恵は犯人探しに躍起になるんだけど、意識を取り戻した野田は自分を襲った犯人の顔を見ていないと言う。んなアホな!

実は野田巡査は早苗の交際相手を密かに調べたことがあり、彼の顔を知っていたのでした。娘を傷つけたくない野田は本当のことが言えず、そのせいで理恵の捜査は難航します。

そんな折り、南口署の管内で暴力団の会長が射殺される事件が発生、使用された拳銃は野田巡査が奪われた物と同一であることが判明! 理恵は南口署の高村(草刈正雄)や南郷(田中邦衛)らと合流し、華麗なる合同捜査を繰り広げるのでした。

会長を射殺したのは次期会長の座を狙う哲夫の兄貴分で、最初から全ての罪を哲夫になすりつける計画だった。カップルの心中に見せかけるため早苗をも拉致し、哲夫もろとも始末しようとする卑劣な連中のアジトに、それを察知した理恵が突っ込み、高村が必殺マグナム44をぶっ放す!

……と、こうして粗筋だけ追うと『Gメン'75』ばりのケレン味あふれるストーリーで、燃える展開を想像させるんだけど、なぜかそういうカタルシスが『華麗なる刑事』には感じられないんですよね。

今回は主役がセミレギュラーの三杉理恵で、演じるのがクールビューティーの梶芽衣子さん=感情をあまり表に出さないキャラクターだから、ていうのもあるんだけど、今回に限らず『華麗なる刑事』を観て「ああ面白かった!」「スカッとした!」と感じた記憶が、私にはほとんどありません。

シリーズの顔である草刈正雄さんも軽妙洒脱さが売りで、熱い芝居をするのは相方の田中邦衛さんだけ。その邦衛さんの出番が今回は極端に少ないもんだから、余計に淡々とした仕上がりになっちゃったのかも知れません。

草刈さんや梶さんが声を荒げて芝居するような場面はほぼ皆無だし、クライマックスの銃撃戦でもマグナムを1発撃っただけ(つまり敵を威嚇しただけ)で終わっちゃう。

これは多分、番組そのものが私みたいなアクション好きの昭和男子ではなく、イケメン(草刈さんや後輩刑事の加納 竜さん)目当ての女性視聴者の嗜好に合わせて創られてるから。つまりアクションなんかより正雄サマや竜ちゃんの笑顔が見たい!ってワケです。

『華麗なる刑事』っていうタイトルにも多分そういう意味がこめられてて、熱血や泥臭いアクションは似合わない。『太陽にほえろ!』や『Gメン'75』等の王道路線と差別化したい意図もあっての事でしょう。

だから我々も熱い展開はハナから期待せず、とにかく草刈さんの格好良さや軽妙さ、邦衛さんの個性的すぎる演技、そして芽衣子さんの美しさを堪能することに徹するのが得策かと思います。

今回はオマケに若き風吹ジュンさんのナース姿に萌えることも出来ますからね。陰影のある役が多かった当時の風吹さんにしては珍しく、ごく普通の恋する乙女を健気に演じておられます。

梶芽衣子さんは当時30歳。石原裕次郎さん等が活躍された時代の日活でスクリーンデビューし、東映に移籍後『女囚さそり』シリーズや『修羅雪姫』シリーズの主演で一躍スターになられた後の『華麗なる刑事』セミレギュラー(計5回)出演でした。

前述のとおりクールビューティーで、刑事役にはうってつけの方だと思うのに、本作以外では『キイハンター』と『相棒』に1回ずつゲスト出演されたくらいで、むしろ刑事ドラマとは縁遠い女優さん。それを思えばこれは貴重なフィルムと言えましょう。
 
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