ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大都会 PART II 』#46

2019-10-28 00:00:06 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第46話『霊感(オカルト)聖少女』

(1978.2.14.OA/脚本=佐治 乾/監督=小澤啓一)

張り込み中に「ジン」こと神刑事(神田正輝)が通りがかりのお婆さんの世話を焼いてるスキに、ようやく現れた指名手配犯に逃げられてしまうという捜査ミスが発生。

落ち込むジンに「キミは交番勤務の方が向いてるんじゃないのかね?」と山元課長(滝田裕介)は追い打ちをかけるんだけど、徳吉(松田優作)は「ジンの優しさに俺たちは癒されてるから」と、黒岩デカチョウは「ジンみたいなデカも必要なんだ」とフォローしてやります。

それでも気が晴れず、スナックでヤケ酒を飲むジンに、亜紀(中村七枝子)という花売り娘が声をかけて来ます。ホステスたちはジンを見て「学校の先生?」「税務署の人?」なんて言ってますます凹ませてたのに、亜紀だけは「警察の人でしょ」とズバリ言い当てるもんだから、ジンは驚きます。

霊感があり、花を買ってくれた人に占いをサービスしてると言う亜紀は「あした新宿で恐ろしいことが起きるわ」と事件発生を予言し、その時刻や場所までジンに告げるのでした。

半信半疑ながらもジンは翌日、亜紀の予言に沿った場所をパトロールしてみます。そしたら拳銃を持った小林稔侍たちが給料強盗をおっ始めたもんだから驚いた!(当時の中小企業は経理の人が銀行からキャッシュを持ち運んでたんですね)

主犯の稔侍は取り逃がしたものの、事件を未然に防ぎ、犯人グループの一人を逮捕したジンは、課長に「お手柄だよ」と褒められ、徳吉にも「なんちゅー華麗なる刑事だ」と草刈正雄ネタで祝福されてw、笑顔を取り戻します。

さらに稔侍たちが過去の犯行で奪い隠した現金の在処をズバリ言い当てたり、口を割らない犯人の泣き落としに成功したり等、お手柄を連発してジンは調子に乗るんだけど、不自然さを感じた黒岩デカチョウにあの顔で睨まれ、全ては霊感少女による占いのお陰だったことを白状するのでした。

もちろん、百戦錬磨の黒岩は簡単に鵜呑みにはしません。亜紀の予言があまりに具体的過ぎることに疑問を感じた黒岩は、彼女が犯人グループの身内で、その犯行を止める為に占いを装ってジンに密告したんじゃないかと推理します。

いやしかし、そんな回りくどい事しなくたって、普通に匿名でタレコミ電話すりゃ良かったのでは?って思うんだけど、やっぱり黒岩の推理は当たってましたw 理由は、団長だからです。ていうかそれが軍団クオリティーなんですw

亜紀は犯人グループの一員の妹で、兄の逃亡を幇助し、城西署に引っ張られることになります。黒岩には「何年デカやってんだ!」と叱咤され、亜紀には「誰にも言わないでって言ったのに!」と責められて、またもや凹むジン。

けど、密告者が亜紀だったことには稔侍たちもいずれ気づくはず。そうなると兄は消されてしまうかも知れない。凹んでる場合じゃありません。

案の定、兄は稔侍たちに捕まったようで、それを霊感で察知した亜紀は「お兄ちゃんが殺される! お兄ちゃんを探させて!」と懇願し、ジンはそれに応えようとします。

しかしそれは逃亡幇助の容疑者である彼女を釈放することになり、しかも「キミはまだ霊感などというマヤカシを信じるのか!?」ってことで課長は猛反対するんだけど、「あの子が兄を想う気持ちに嘘はありません!」というジンの主張を、黒岩は全面的に支持するのでした。

「これはジンの執念ですよ。だからジンみたいなデカも必要なんです!」

ジンの賭けは的中しました。亜紀の誘導で駆けつけた黒岩軍団により、兄は稔侍にトドメを刺される寸前で発見&救出され、稔侍も徳吉にフルボッコ遊びの道具にされて万事休す。やっぱり悪いことは出来ません。

瀕死状態だった亜紀の兄は、ドクター宗方(石原裕次郎)の手術によって「奇跡的に」蘇生します。これも霊感のお陰? ホッとして気が抜けたのか涙ぐむジンに、宗方が言います。

「俺はそういう刑事、好きだぜ」

実は霊魂の存在を信じてるらしい徳吉も、人魂やUFOの目撃体験を嬉しそうにジンに語って聞かせます。

「いやぁ、あれは良かったなあ。キャー、助けてーなんて言って抱きついて来やがんだよ、一緒にいたトルコの女が」

「アハハハハ!」

「ほぉ~、トルコの女。トクもいい趣味してるねぇ、しかしまあ」

……と、優作さんの下ネタに団長のニヤケ顔で幕を閉じる、実に素晴らしいエピソードでしたw

今回はそんなトクとジンが絡むシーンが多く、『太陽にほえろ!』マニアにとってはジーパン&ドックという有り得ないコンビを妄想できる美味しいエピソード。後輩をフォローする徳吉の優しさが光る一編でもありました。

また、刑事たちが少女の超能力に賭ける展開は『太陽にほえろ!』末期の異色作『エスパー少女・愛』('86) に酷似しており、ブルース刑事(又野誠治)と二人でその回の主役を務めたのがドック刑事=神田正輝さん。しかも渡哲也さんが代理ボスを務めてた時期の作品ですから、これは決して偶然の一致じゃなかったのかも知れません。

ところで霊感少女・亜紀を演じられた中村七枝子さんですが、芸能活動はごく短い期間だったようで、プロフィールが見当たりません。ネット上に記録されてる出演作は、本作以外だと'77年の映画『獄門島』と'79年の連ドラ『新・座頭市』第2話があるぐらい。

今回掲載のアイドル然とした水着グラビア(当時15歳)のほかにヌードグラビアも残されてるようで、短期間に濃密な経験をされて満足しちゃったのか、あるいは逃げるように芸能界を去られたのか……?

前者であることを願うばかりですが、とにかくごく少ない出演作の1本として、これは貴重なフィルムと言えましょう。
 
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