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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大追跡』#14

2018-10-27 13:00:08 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第14話『大逆転』(1978.7.4.OA/脚本=峯尾基三/監督=村川 透)

神奈川県警・遊撃捜査班は、現金輸送車を襲撃した2人組の片割れを逮捕し、奪った現金を隠し持つもう1人の犯人=草野を逮捕に向かうんだけど、既に彼は殺され、現金も消えてるもんだから驚いた!

調べを進めると、草野の母親が彼の素行調査を探偵社に依頼してたことが判明。ちょうど草野が輸送車襲撃の準備をしてる時期だった筈なのに、探偵の調査報告書には何も怪しい点が記されてない。

不自然さを覚えた遊撃班が、その探偵社を徹底的に調べてみたら、所長の高木(待田京介)が事件直後に数百万円の借金を全額サラ金に返済していたことが判明!

更に高木の過去を調べると、彼はかつて犯罪者への強請行為が発覚して懲戒免職になった、元麻薬Gメンだったもんで驚いた!

素行調査の過程で草野らの強盗計画を知った高木が、その金を狙って草野を殺したと睨んだ水原刑事(藤 竜也)は、任意で高木を引っ張って追及するんだけど、彼にはアリバイがありました。

事件当日、草野が殺されたと見られる時間に、高木は横浜スタジアムでプロ野球=大洋vs巨人の試合を観戦しており、隣の席には人気女優の清水美和(テレサ野田)がいたと言う。

それで矢吹刑事(沖 雅也)が美和の自宅を訪ねてみたら、彼女が出演した映画やドラマの脚本がズラリと並ぶ中に、人気ドラマ『太陽にほえろ!』のシナリオがあるもんだから驚いた!

「『太陽にほえろ!』、これ好きなんですよ!」

「私も!」

「スコッチ刑事ってサイコーでしたね!」

「ジーパンの方が好き!」

本筋には全く関係ない楽屋オチですがw、『太陽~』マニアの私にとっては重要なシーンです。因みに使用されたのは第285話『母の香り』の台本でした。

んなことはどーでも良くて、美和は試合観戦の折り、隣席には確かに高木がいたと証言。アクション主体の『大追跡』としては珍しく、ここからは遊撃班による執念の「アリバイ崩し」捜査が展開していきます。

結果、美和が麻薬の密輸に絡んでることが判明。元麻薬Gメンの高木がそれをネタに彼女を脅し、口裏合わせを強要したに違いないんだけど、美和は自ら毒を飲んで死んじゃった!

こうなれば、高木を罠に嵌めるしかない。遊撃班は美和の死亡を公表せず、彼女がこれまで出演した刑事ドラマからそれらしい台詞を抜き取り、電話で録音テープを聞かせて高木を誘き出すのでした。

これは、残酷大将こと鎌田敏夫さんが初めて『太陽にほえろ!』で脚本を書かれた第32話『ボスを殺しに来た女』と同じトリックで、『俺たちの勲章』『刑事貴族』など他の刑事ドラマにもよく流用されてます。

もちろん、あの日の試合で巨人にサヨナラ勝ちした大洋ホエールズ(現・横浜ベイスターズ)と同様、遊撃班も見事な「大逆転」勝利を収めるのでした。

アクションは控えめながら、二転三転する事件の行方がスリリングで、見応えがありました。

シリーズも1クールを越え、前述の通り矢吹刑事=沖雅也さんがスコッチ刑事を絶賛したりする楽屋ネタや、「オットー!」の掛け声など独自のノリも確立しつつあり、アクションが無くても充分に楽しめます。

ゲストのテレサ野田さんは、当時21歳。沖縄出身、'71年の映画『八月の濡れた砂』で注目され、歌手、タレント、そしてヌードモデルとしても活躍。

『刑事くん』『非情のライセンス』『七人の刑事』『特捜最前線』『あぶない刑事』『ハロー!グッバイ』『女ふたり捜査官』『俺たちルーキーコップ』等の刑事ドラマや、特撮ヒーロー物、時代劇など幅広く出演されてます。
 

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『大追跡』#11

2018-10-27 08:55:08 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第11話『女豹が跳んだ』

(1978.6.13.OA/脚本=柏原寛司/監督=野田幸男)

『太陽にほえろ!』ファンにとって、この『大追跡』というドラマはスコッチ刑事(沖 雅也)とマミー刑事(長谷直美)が同じチームで活躍してるって構図が、また見所だったりします。

『太陽』においてスコッチとマミーは、同時期に存在しながら入れ違いで、絡む機会が無かったんですね。(スコッチ在籍中、マミーは交通課勤務でした)

そして『大追跡』第11話『女豹が跳んだ』のメインゲストは、青木英美さん。『太陽』の初代マスコットガール(お茶汲み係)=久美とマミー刑事の共演が見られました。

久美が七曲署に勤めたのはジーパン刑事(松田優作)の時代ですから、当然ながら『太陽』では絡まなかったお二人です。

英美さんが捕まった銀行強盗グループの一員で、結城刑事が女囚を装って彼女を脱走させ、逃亡中の仲間と接触させようとする潜入捜査物。

刑事と犯罪者が行動を共にする内に友情を育むストーリーは定番なれど、それを女性どうしで描いた作品は珍しいんじゃないでしょうか?

久美を演じた頃の英美さんは庶民的キャラだったけど、数年経ってすっかり垢抜けて、クールビューティーに進化されました。

一方の直美さんにはまだ少女のあどけなさがあり、お二人とも『太陽』で演じたキャラクターとは一味も二味も違ってるのが面白いし、大きな見所になってます。
 

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『大追跡』1978

2018-10-27 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY







 
1970年代の後半から80年代前半にかけて、日本テレビ系列の火曜夜9時と言えばフィルム撮影によるアクション物ドラマの黄金枠でした。石原プロの『大都会』シリーズをはじめ、松田優作の『探偵物語』、勝新太郎の『警視K』、渡瀬恒彦の『大激闘』……

そして加山雄三、藤竜也、沖雅也、柴田恭兵、長谷直美という錚々たるレギュラーキャストを揃えて1978年春から秋に放映、スマッシュヒットを放ったのが『大追跡』(全26話) です。

オープニングは、メイン舞台となる横浜の街を縦横無尽に駆け巡るスピーディーな映像に、大野雄二作曲による軽快なメインテーマと、森山周一郎氏による重厚なナレーションが被ります。

「悪がはびこる犯罪都市に集められた5人の刑事達、遊撃捜査班… それは確実に検挙率を上げなければ廃止される特殊セクションである」

「彼らの行くところに正義はない。感傷はない。栄光もない。あるのはただ、孤立無援な悪との闘いである」

お話は、以上の通りですw はみ出し刑事の寄せ集めで構成された窓際チームが、警察組織の中で厄介者扱いされながらも、ただ職務とプライドの為に闘う。(彼らが受け取る『特別手当て』は金一封=今は無き五百円札1枚のみ!)

そういう設定の刑事物は『大追跡』が初めてじゃないとしても、当時はまだ珍しかったように思います。横浜を舞台にしたアクション物としても「はしり」だったんじゃないでしょうか?

しかし、それより何より本作は、色気ある男たちのワイルドな魅力をタップリ堪能する為だけのドラマ、と言っても過言じゃないと思います。事件の内容なんかどうでも良かったですからねw

つくづく思うのですが、拳銃を持ってサマになる日本人って、沖さんや柴田さんの世代(当時の20代)が最後なんじゃないでしょうか? 残念な事だけど、私の世代(当時の10代)で既にアウトだと思います。

戦争の名残とか言うと叱られそうだけど、やっぱり滲み出る闘争本能や飢餓感、肉食の匂いがあってこそ武器が似合う。現在の若い連中が銃や刀を持っても、ごっこ遊びにしか見えないですよ。

だから日本のTVドラマからアクション物がほとんど消滅しちゃったのも必然だし、やらなくて正解だと思います。

……と言いながら、ボスの加山雄三さんはイマイチ拳銃が似合ってなかったですw やっぱり育ちの良い若大将ゆえか、立ち回りも鈍重で強そうに見えませんでした。大怪我をされた後だった影響かも知れませんが……

その点、当時の藤竜也さんは肉食系の代表格でしたから、銃さばきも格闘もサマになったし本当に強そうでしたね。この後も『プロハンター』や『ベイシティ刑事』等のアクション物で引っ張りだこでした。

しかし白眉なのは何と言っても沖雅也さんです。この方の立ち回りと銃さばきのシャープさ、美しさと言ったらもう、あの松田優作さんを凌駕する位のものがありました。

『太陽にほえろ!』ではアクションシーンがそんなに多くないんだけど、それでもスコッチ刑事(沖さん)が車から降り立つだけでもう、惚れ惚れするほど格好いい「アクション」になってるんですよね。

銃を撃たなくても、抜いて構えるだけで、そして又ホルスターに戻したりするだけでも、その一挙手一投足がいちいち画になる人なんです。こんな俳優さん、今どこを探してもいないですよ。

柴田恭兵さんは『大追跡』が連続ドラマの初レギュラーって事で、まだちょっと硬くて初々しかったですね。それでも独特のダンサブルな身のこなしや、大胆不敵なアドリブ攻勢でバツグンの存在感を示しておられます。

長谷直美さんもまた『俺たちの朝』に続いてレギュラーは2本目って事で、初々しく可愛かったですね。男勝りなキャラクターで、この強力な男優陣と互角に渡り合ってるのが凄いです。

沖・柴田・長谷のトリオは、後に同じ日テレ&東宝の製作による探偵コメディ『俺たちは天使だ!』でも共演する事になりますが、その軽快なノリは明らかに、この『大追跡』で築き上げたものを継承し発展させた感じです。

例えば、驚いた時や気合いを入れる時に声を合わせて言う「オットー!」って掛け声は、柴田さんのアドリブから生まれたものらしく、チームワークの良さを象徴してましたね。

実際、キャストの皆さんは口を揃えて「『大追跡』の現場は本当に楽しかった」と証言されており、その雰囲気の良さは画面からよく伝わって来ます。

音楽が大野雄二さんなので、音だけ聴いてると『ルパン三世』と間違えそうになるんだけどw、現在では決して観る事の出来ない、本当に格好いい男たちによる熱いアクションを、機会があれば是非とも観て頂きたいです。

特に、もう二度と見られない沖雅也さんの、超絶に美しいガンさばきと立ち回りは必見です!
 

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『太陽にほえろ!』#312

2018-10-26 17:18:10 | 刑事ドラマ'70年代








 
☆第312話『凶器』(1978.7.21.OA/脚本=長野 洋/監督=竹林 進)

汚職事件の関係者が次々と撲殺されるんだけど、その凶器がどうしても見つからない。それもその筈、犯人(矢吹二朗)は香港でカラテの修行を積んだ殺し屋、すなわちその肉体こそが凶器のリーサル・ウェポンだった!

放映開始7周年記念としてボス(石原裕次郎)の活躍編が企画され、裕次郎さんが自ら「いっちょ派手なアクション物をやろうや」と提案されて組まれた、本作はボス屈指の死闘篇。

黒幕の正体をいち早く見抜いたボスが人間凶器にロックオンされますが、ボスは一般人を巻き込まないよう無人のスポーツジムへと誘い込み、1対1のタイマン勝負を挑みます。

裕次郎さんが10分にも及ぶ長い格闘シーンを演じられたのは、たぶんテレビドラマではこれが唯一じゃないかと思います。(そして映画出演はその後ありませんから、生涯最後のロング・アクションとも言えます)

しかも吹替えなし、防護具もなしで相当ハードな殺陣をこなしておられ、さすが自ら提案されただけあって並々ならぬ意気込みが伝わって来ます。

当時の『太陽にほえろ!』はヒューマンドラマとして高いクオリティーを誇る一方、そのぶんアクションシーンが激減して地味なエピソードばかりが続き、当時の私みたいな若い視聴者は相当フラストレーションを貯めこんでました。

そんな空気を、裕次郎さんは敏感に察しておられたんじゃないかと思います。それと、ご自身に定着しつつある「電話番」のイメージも覆したかったのかも?

制服警官をたった二手で瞬殺し、ゴリさん、ボン、ロッキーを次々と病院送りにし、走って来た車も宙返りで飛び越え、あっという間に姿を消しちゃう殺人マシーンを、ボスは一体どうやって倒すのか?

ただ格闘するだけじゃなく、殺傷能力のハンデをボスが如何にして乗り越え、最終的に勝利するのか?っていうサスペンスも大きな見所になってます。(ボスが決闘場所にスポーツジムを選んだのには理由がある!)

相手役の矢吹二朗さんはジャパン・アクションクラブ所属で千葉真一さんの実弟。かつては千葉治郎の名で元祖『仮面ライダー』に本郷猛の相棒=滝和也役でレギュラー出演されてた方です。

そのJAC仕込みのアクロバティックなアクションと、日活仕込みの無国籍アクションとが激突する、異種格闘技戦としての面白さも味わえちゃう、いま思えばこんな贅沢な作品を、我々は茶の間で寝そべりながら観てたワケです。

同じ『太陽~』ファンの中でも、裕次郎さんを(表面的なイメージだけで)単なるお飾りの電話番みたいに言うバカが後を絶たないけど、このエピソードを観れば……いや、バカには何も伝わらないか……

むしろ、ほとんど『太陽~』を観たことが無い人にこそ、あの昭和を代表する大スターが本気で取り組んだ「テレビ映画」の凄味を、是非とも一度味わって頂きたいです。
 
コメント (5)
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『太陽にほえろ!』#311

2018-10-26 10:00:40 | 刑事ドラマ'70年代







 
☆第311話『ある運命』

(1978.7.14.OA/脚本=畑 嶺明/監督=竹林 進)

ゴリさん(竜 雷太)がかつての婚約者と再会し、その幸せぶりに胸を撫で下ろした前回のエピソード『再会』で、名アシストを務めた殿下(小野寺 昭)。

その殿下も第299話で出逢った中学教師・三好恵子(香野百合子)と婚約中なんだけど、今回、二人にこれ以上ない不幸が襲いかかります。

「殿下いじめ」ここに極まれりというエピソードで、創り手たちの(ゴリさんに対する愛とは違った種類の)非常に屈折した愛情を感じますw

恵子とドライブ中に殿下の車が爆破され、恵子だけが重傷を負ってしまう。もちろん犯人(清水紘治)の狙いは殿下で、わざと殿下を挑発し、暴走させて自分を不当逮捕させることで、社会的に抹殺するのが目的という陰湿さ。

完全なる「とばっちり」で脊髄を損傷した恵子は、下半身付随で一生歩けない身体になってしまいます。げに恐ろしや、殿下ファンの呪い!

それでも殿下は恵子との結婚を固く決意する、っていうメロドラマ展開は全く私好みじゃないんだけど、今回はあの二枚目貴公子・殿下が血相を変えて大暴走し、容疑者をストーカーのごとく尾け回し、挑発に乗って殴る蹴るの暴行を延々と働く等、ふだん見せない醜態を晒すのが大きな見所になってます。

また、映画『ダーティハリー』の「スコーピオン」を彷彿させる清水紘治さんの粘着質な演技、その清水さんをフルボッコにする殿下を止めに入ったロッキー(木之元 亮)の驚異的な弱さw(あの毛むくじゃらの大男が、七曲署で一番ひ弱な殿下に20回ぐらい弾き飛ばされる!)等も、歴史的珍場面として記憶に残る迷エピソード。

他にも、恵子が入院してる病院に容疑者が現れ、挑発された殿下が「証拠を掴んでやる!」とか言って病院を飛び出したり(それより恵子をガードしろよ!)、容疑者が爆弾製造中に負ったヤケドの跡が逮捕の決め手になったり(どこでどうやってヤケドしたか証明しようが無いのに、あんなに狡猾な犯人があっさり観念しちゃう)等、ほんと『太陽にほえろ!』にしては珍しくツッコミどころ満載のエピソードです。
 

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