ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『帰ってきたウルトラマン』#38

2018-10-11 17:30:40 | 特撮ヒーロー









 
☆第38話『ウルトラの星 光る時』

(1971.12.24.OA/脚本=上原正三/監督=富田義治/特殊技術=大木 淳)

もちろん、まだ最終回ではないですから、ウルトラマンは死にません。ボクは死にまっしぇーんっ!!

たぶん『ウルトラ』シリーズでは初だったかと思いますが、過去シリーズのウルトラマンたち、すなわち初代ウルトラマンとウルトラセブンが再登場し、新ウルトラマン(通称ジャック)を救出するんですよね。

この時、ちゃんとハヤタ隊員(黒部 進)とモロボシ隊員(森次晃嗣)も律儀に再登場してくれます。確か2人とも普通の人間に戻った筈なのにw

「こうなったらウルトラの星作戦しか無いな」

「よし、ウルトラの星作戦を決行するぞ!」

↑みたいな台詞を言う為だけの再登場。この頃はまだ、変身後は地球の言葉を喋らないっていうルールがちゃんと守られてたワケです。(後のシリーズでは日本語ペラペラになっちゃいますがw、あれは洋画の吹替えみたいなもんでしょう)

で、初代マンとセブンがどんな方法で新マンを蘇生させたのかサッパリ分からないんだけどw、ケロッと元気になった新マンはナックル星人&ブラックキングに再戦を挑み、またもやフルボッコにされちゃいますw

ここで前回ナックル星人に「お前らはウルトラマンがいないと何も出来ない」ってバカにされてたMAT(地球防衛チーム)隊員たちが、ウルトラマンを死なせるワケにはいかない!ってんで大奮闘するんですよね。

前回ウルトラマンがあんな悲惨なやられ方をしたのにMATはなすすべも無く、その上ナックル星人に洗脳され操られちゃう等さんざんコケにされただけに、この援護射撃シーンには燃えるものがあります。

で、ウルトラマンも「パイセン2人の友情に応える為にも、私は負けるワケにいかないのだ!」みたいなこと言って(地球語しゃべってるやん!w)奮闘し、ど根性で逆転勝利を収めるのでした。

この時、初代マンとセブンは登場しません。2人が言ってた「ウルトラの星作戦」は一体どこに行っちゃったんでしょうか?w

そんなワケで、ヒロインの死、ウルトラマンの敗北、歴代ウルトラマン夢の共演と、イベント要素満載、かつ衝撃シーンてんこ盛りの前後編だったワケですが、実はこのエピソード最大のショック・シーンは、怪獣をやっつけた後、最後のエピローグに用意されてるのでした。

恋人のアキ(榊原るみ)を惨殺され、失意のどん底にいた筈の主人公=郷 秀樹(団 時朗)が、なんとクリスマスイブの夜、同じマンションの隣室に住む女子大生=新ヒロインのルミ子(岩崎和子)に一目惚れしちゃう!(しちゃったようにしか見えない)シーンで幕を閉じてしまう!w アキが死んでから、多分まだ3日も経ってないというのに!w

これは、あまりに内容が陰惨だったもんで、せめて希望を感じさせる締めくくりで次回に繋げようっていう創り手の配慮だったらしいけど、それこそが最大のトラウマ描写になってますよねw

私は昭和のテレビ番組をこよなく愛してますが、これはさすがに酷いと思いますw 降板した榊原るみさんに対するスタッフの悪意しか感じられませんw

画像は、MATの紅一点=丘ユリ子隊員を演じた、桂木美加さん(当時21歳)。芸能活動は短かったみたいだけど、その間に『太陽にほえろ!』に2回 (#31、#66) ゲスト出演されてます。

MATの隊員たちが洗脳され暴走する中、一人だけ正気を保って郷秀樹を助けたり、アクションもきっちりこなしたりと、歴代の中でも特に格好良い女性隊員です。
 
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『帰ってきたウルトラマン』#37

2018-10-11 13:22:36 | 特撮ヒーロー









 
☆第37話『ウルトラマン 夕陽に死す』

(1971.12.17.OA/脚本=上原正三/監督=富田義治/特殊技術=大木 淳)

たまたまCATVの放映を録画して観たエピソードが、あまりに壮絶な内容だったもんで、レビューすることにしました。

ちょうど3クールの締めくくりにあたる第37話ってことで、ウルトラマン(通称ジャック)に変身する主人公=郷 秀樹(団 時朗)の恋人、すなわちヒロインの坂田アキを演じる榊原るみさんと、その兄=健を演じる岸田 森さんが揃って降板するんだけど、その去り方がいくら何でも悲惨すぎて、子供がこんなの観たらトラウマ必至です。

いや、私も『帰ってきたウルトラマン』は小学生の時リアルタイムで観てた筈なんだけど、あまりのショックで記憶から抹消されてたみたいですw

地球征服を企むナックル星人が、邪魔なウルトラマンを排除する為にそのスペックを徹底研究し、ウルトラマンの必殺技を無効にする対策を立てると同時に、郷秀樹を精神的に追い詰めるべく坂田アキを狙うんですね。

で、秀樹へのクリスマス・プレゼントを買いに行った帰り道のアキを襲い、無理やり車に押し込み(宇宙船とかじゃないのねw)、それを止めようとした兄の健をまず轢き殺し、アキはそのまま拉致するのかと思いきや、ドアを開けて彼女を地面に叩き落とし、数十メートルに渡って引きずり回して、そのまま路上に放置し去って行くという残虐さ!

戦いには関わってない一般市民、それもまだ18歳のいたいけな少女を、そんな情け容赦の無い、しかも光線銃で撃ち殺すとかじゃなく、そんなリアルな方法で殺さんでも! 基本、こども番組なのに!w

確かに、より残酷に殺した方が秀樹を錯乱させるには効果的かも知れないけど、そもそも殺すより拉致して人質にした方が、ウルトラマンを倒すには手っ取り早いと思うんだけどw

好視聴率により放送延長が決定するも、他番組への出演を優先して契約更新しなかった榊原さんと岸田さんに対する、スタッフの怨念を想像させる作劇ですよねw

何はともあれナックル星人の作戦はみごと成功し、情緒不安定なまま闘いに挑んだウルトラマンは、完膚なきまでに叩きのめされ、敗北を喫します。

この時のウルトラマンのやられ方がまた、やけに生々しいんですよねw 怪獣ブラックキングにウルトラマンを羽交い締めにさせたナックル星人が、武器や飛び道具を使わずに、ひたすら殴る蹴るの暴行を延々と繰り返すという、あれは闘いじゃなくてただの「リンチ」ですw

BGMがまた、ピンチの時に流れる激しい曲じゃなくて、葬送曲みたいに悲壮なメロディーで、夕陽をバックにした映像もやけに美しく、この場面は大人の眼から観ても怖いです。(逆に、大人だからこそ怖く感じるのかも知れません)

ヒロインの殺され方にせよウルトラマンのやられ方にせよ、現在の放送コードじゃ100%NGだろうと思います。当時からして「これってどうなの?」って、みんな思ってたんじゃないでしょうか?

かくして、瀕死状態のままウルトラマンは磔にされ、あとは処刑の時を待つばかり。せっかく放送延長が決まったのに、主人公はこのまま死んでしまうのでしょうか!?

(んなワケないんだけど、つづく)

殺された榊原るみさんは、当時19歳。同じ年に映画『男はつらいよ 奮闘篇』でマドンナを演じ、青春ドラマやホームドラマ、時代劇でも長きに渡って活躍されてますが、刑事ドラマへのご出演は意外に少なく、Wikipedia情報によれば『夜明けの刑事』『華麗なる刑事』『特捜最前線』に1回ずつゲスト出演されたのみ。なんだか勿体ないことです。

なお、惨殺された坂田アキは2008年の映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にて再登場し、榊原るみさんと団時朗さんがちゃんと出演されてます。この映画で描かれたのはパラレルワールドであり、アキは死なないで郷秀樹と結婚生活を送ってる設定なんだそうです。なんか、ホッとしましたw
 
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『仮面ライダー』#04―2

2018-10-11 00:00:20 | 特撮ヒーロー









 
「へへ、お客さんを連れて来たよ。ショッカーの一味だ」

「えっ、ショッカー?」

捕虜にした戦闘員を連れ込み、ドヤ顔で笑う本郷 猛(藤岡 弘)を見て、ショッカーに父を殺された身である緑川ルリ子(真樹千恵子)は、ちょっとイラッと来たかも知れませんw

「さぁ、アジトを吐いてもらおうか」

「言いなさいよ!」

猛よりもルリ子の迫力に圧されたのかw、戦闘員はアジトの場所を素直に吐いたようで、猛はサイクロン号を飛ばします。

ブレザーにネクタイ、しかもノーヘルという格好で、バイクを猛スピードでかっ飛ばす正義の味方w ヘルメット着用が義務づけられるのはこの翌年であり、猛は優秀なレーサーである前に科学者ですから、衣裳はいつもブレザーなのです。

ちなみにこの衣裳は藤岡さんの自前で、たった1着しか無かったそうですw バイクも通常バージョンと変身後バージョンそれぞれ1台ずつしか無く、日々のメンテナンスが大変だったとか。それほどギリギリの予算で創られてたワケですね。

ショッカーの秘密アジトも毎回場所が違う設定なのにセットは1つしか無く、美術さんがいつも徹夜で壁に彩色を施し、違う場所に見せてたそうです。

そういった1つ1つの苦労が、味となって画面から伝わって来ますよね。ライダーマスクの造形が変わって行くのも破損と改修を繰り返してたからで、その違いを見分けるのがまた、マニアの楽しみになってたりするワケです。

そうした手造りの作品から伝わって来る楽しさや温かみは、CGなんかじゃ絶対に味わえません。それこそが昭和の特撮ヒーロー最大の魅力じゃないかと、私は思います。

さて、予定の12時ピッタリにユキエの改造テストを開始する、律儀で真面目なショッカーたちw

当時大流行してたミニスカート姿で手術台に縛りつけられたユキエ(篠 雪子=後の太田きよみ)が、もがきながら「あ……ああ……んん……」なんて声を洩らすもんだから、戦闘員たちのタイツが一斉にモッコリします(うそw)。

そしていよいよ…と思ったところで空襲警報みたいなサイレンが鳴り響き、あえなく中止。悪党のくせにスケジュールに縛られてるから、そんな事になるw

ライダーvsショッカーの第2ラウンドは、ライダーがサイクロン号で戦闘員たちを片っ端から跳ね飛ばすという、なかなかに凶暴な戦法。

そのままアジトの壁を突き破って改造手術室に乱入したライダーは、ユキエの姿を見た途端に自分の股間(ライダーコック)を両手で隠します(うそw)。

「とおーっ!!」

同じく股間を隠してる戦闘員たちを蹴散らしたライダーは、ついにユキエを救出します。

ところが、一難去ってまた一難。怪人サラセニアンが戦闘員No.3を暗殺に向かってる事をユキエから聞いたライダーは、ルリ子の部屋へトンボ返り。

サラセニアンは既に戦闘員No.3をオーソドックスに絞め殺し、ケンジ(五島義秀)を守るルリ子とひろみ(島田陽子)に迫ってました。この場面がまた、東映のお家芸とも言える怪奇ホラー風味で、怖いったらありゃしないw

番組初期はこのホラー演出こそが売りだったんだけど、視聴者から「子供が怯えて困る」とのクレームが殺到し、2号ライダー篇のスタートを機に明るい作風に切り替えたんだそうです。

あわやのところで駆けつけた本郷ライダーの登場カットがまた、暗闇&逆光の中で、ライダーの赤い眼だけが光るという不気味さなんだけど、それがまた鳥肌ものの格好良さ!

恐ろしさと格好良さは表裏一体で、仮面ライダーにせよウルトラマンにせよマジンガーZにせよ、悪魔的とも言えるルックスのいかつさこそが、実は最大の魅力なんじゃないでしょうか?

第3ラウンドは暗闇の中におけるライダーvsサラセニアンの一騎討ち。夜間撮影が多いのも旧1号篇の特徴で、それはダークな世界観を創り出す目的もありつつ、タイトなスケジュールで膨大な撮影量をこなすには、夜もぶっ通しでやるしか無いという、現実的な事情があったのかも知れません。

ライダーが必殺技を繰り出す際に、ジャンプ&空中回転する事でベルトの風車に風圧を与え、エネルギーを充満させる過程がそのつど描かれるのも、初期にしか見られない演出だったように記憶します。

「ライダーキック!!」

「エヘ…エヘ…エヘエヘエヘ……」

何しろ植物の怪人だけに、これといった武器も持たないサラセニアンは、ライダーの敵ではなかったようで、あっけなく倒れます。

戦闘員1人を殺した以外は誘拐ぐらいしかしてないし、元は普通の人間であった事を思えば、ちょっと気の毒な感じもしちゃいますね。

ケンジの頭を撫でてから、暗闇の中をサイクロン号で去って行く仮面ライダー。このビジュアルはもしかすると、近年のクリストファー・ノーラン版『バットマン』シリーズに影響を与えてるんじゃないでしょうか?(撮り方がソックリです)

「あのお兄ちゃんは誰?」

「ケンちゃん。あのお兄ちゃんが、仮面ライダーなのよ」

「仮面ライダー?」

まだ仮面ライダーが世間に認知されてない世界観が、今となっては新鮮ですね。ストーリーに子供が絡んだのも今回が初めてで、ショッカーからの「逃亡者」が「ヒーロー」としての第1歩を踏み出した、記念すべき瞬間かも知れません。

「ケンジ!」

「お姉ちゃん!?」

ライダーと入れ替わりに、本郷 猛がユキエを連れて現れました。この辺りは先発ヒーローの『ウルトラマン』を意識した作劇でしょうか?

翌朝、猛の職場である城南大学生化学研究所の表で、ケンジとユキエが猛を待ってました。あらためてお礼を言うケンジの頭を、猛がそっと撫でます。

「あれぇ? 仮面ライダーとおんなじだ」

「えっ……何が?」

「ライダーも、お兄ちゃんと同じに頭を撫でてくれたよ」

「ハハ、お兄ちゃんはね、仮面ライダーみたいに強いお兄ちゃんじゃないんだよ」

「でもさ、約束守ってくれたじゃん。お姉ちゃんを連れて来てくれたもん」

ヒーロー番組としては何でもない会話だけど、初期ライダーは猛の孤独が強調して描かれてるだけに、これは結構グッと来ます。猛がユキエの捜索に動いたのは、ケンジの懸命さがあればこそ。姉と弟の絆が、今回の事件を解決に導いたワケです。

しかし、手をつないで駆けて行く姉弟を見送る猛の表情は、なんだか切なそうに見えます。そこで、中江真司さんのナレーションが……

「人々は皆、互いに支え合う者を持っている。兄弟、恋人、夫婦……様々な愛の絆で結ばれている。しかし今の本郷 猛には、そのどの愛も許されてはいない。改造人間としての猛には、いつ果てるともない、ショッカーとの暗く孤独な戦いが、明日もまた待っているのだ!」

暗いのだ! 切ないのだ! だが、恐らくこれこそが、原作者=石ノ森章太郎が本来描きたかったヒーロー像なのだ! だから……

これでいいのだ!
 
コメント (2)
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