ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『探偵物語』#05

2018-11-04 06:06:06 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
☆第5話『夜汽車で来たあいつ』

(1979.10.16.OA/脚本=丸山昇一/監督=澤田幸弘)

福井県の田舎町から上京した田村(水谷 豊)という男が工藤(松田優作)の事務所を訪ね、半年前に上京してから連絡がつかなくなった妹=由美(原田美枝子)の捜索を依頼します。

調べると、由美は恋人のゴロー(古尾谷雅人)が起こした事故の慰謝料を払うために、風俗の仕事をしているのでした。市役所に勤務する生真面目な兄に、変わってしまった自分を見られたくないと由美は言います。

工藤は理由を伏せたまま「会えない」とだけ田村に伝えますが、彼はどうしても会いたいと言って聞きません。実は田村は癌に冒されており、もう時間が無いと悟った矢先に妹の借金苦を知り、急いで大金を工面し東京へやって来たのでした。

ところが、その大金が悪徳企業の賄賂を横領したもので、工藤と田村はヤクザたちに追われる羽目になり……

松田優作さんと水谷豊さんは『太陽にほえろ!』の第54話(ジーパン刑事編の2作目)で出逢って以来の大親友で、今回のゲスト出演は『熱中時代 刑事編』の撮影を終えた水谷さんが友情出演的に駆けつけて実現したもの。(お返しに優作さんが水谷さん主演の『あんちゃん』にゲスト出演されたことも当時話題になりました)

加えて原田美枝子さん、古尾谷雅人さんも登場しちゃう豪華さで、このエピソードは後に第1話とのカップリングでブローアップ&再編集され、映画『蘇る優作/探偵物語特別編』として劇場公開されることになります。

キャストの豪華さもさることながら、素朴な田村と工藤が意気投合し、友情を育んでいく楽しさや、お互いツラい秘密を隠したまま笑顔で再会する兄と妹、そして希望に向かって歩み出すラストシーンなど、優作さんが目指された「ハートボイルド」を象徴するような温かいエピソードで、前回レビューの渋い第2話とは対照的ながら、これも名作の1本として記憶に残る作品です。

セクシーショットは、工藤探偵事務所と同じビルに住む女優の卵=かほりに扮した竹田かほりさん、当時20歳。ファッションモデルのルームメイト=ナンシー(ナンシー・チェニー)と二人で何かと工藤の世話を焼く、マスコット的なポジションで番組に花を添えてくれました。

にっかつロマンポルノ『桃尻娘』シリーズで人気を集め、優作さん絡みでは映画『殺人遊戯』『俺達に墓はない』や2時間ドラマ『死の断崖』にも出演、同じセントラル・アーツの探偵ドラマ『探偵同盟』に『プロハンター』、そして『Gメン'75』『大空港』『太陽にほえろ!』『爆走!ドーベルマン刑事』等の刑事ドラマにもゲスト出演されてます。

'82年にミュージシャンの甲斐よしひろさんと結婚、芸能界はきっぱり引退されましたが、もっとご活躍を見ていたかったのは私だけじゃないだろうと思います。
 

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『探偵物語』#02 | トップ | 『プロハンター』#06 »

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (キアヌ)
2018-11-04 08:34:53
工藤探偵の他人の事情は聞くけど、各個人の人生再生についての時間の流れにしゃしゃり出ない姿勢が本当に好きです。

普通のドラマなら原田美枝子さんを風俗で働かなくて良くするため疾走したりしそうなんですが、そこまでは立ち入らない。


おっしゃるとおり、緩急のバランスが神がかり的なんですね、この作品
返信する
Unknown (キアヌ)
2018-11-04 08:40:17
あと、当時は今みたいに美女が脱ぐとかありえない時代で【関根さん、原田さん、森下さんは別格】、竹田かほりさんの桃尻むすめは十代の私には破壊力抜群でした(笑)

竹田さんがお風呂から全裸で急いで出るシーンがアップめのローアングルであるんですが、【カメラマンさんは多分もろ見え】そのシーンもう、何回見たかわかりません

ちょうどヤバそうなところはつままれていますが一時期はそのシーンを日課のようにみていました(笑)

ド変態w
返信する
>キアヌさん (ハリソン君)
2018-11-04 16:19:13
いや、当時思春期の男子としては極めて正常かと思いますw ネットでいくらでも見たいものが見られる現在の若い連中よりよっぽど健康的で、ロマンがありますよね。我々はホントに良い時代を生きて来たんだと思います。
返信する
Unknown (適当谷損気)
2020-01-28 13:43:03
優作さん、前半の頃は予告でもノリよくナレーションされていたのに(「熱中時代に火がつくぜ」でしたっけ?)、最後の方になると「もういいから早く終わってくれ」と言わんばかりになっててワロタです。
あの時代、俳優たる者の活躍の場はあくまで映画である、という風潮がまだまだ強かったんでしょうね。
探偵物語はその点、演出面なんかは「映画的」な気も…いや、映画というかギャグ漫画といった方がいいか(ワロス)

そうそう、渋の小説…は大したことなかったとは思いますが、一応お聞きしましょう。どうでしたか?
返信する
Unknown (harrison2018)
2020-01-28 23:49:58
読ませて頂きました。今回も力作でしたね。工藤ちゃんとマサ子さんの珍道中的なサスペンスアクション、ありそうで無かった話で、ファンが「こういうのを観たかった!」っていうツボを突いておられると思います。

個人的には、長谷部父娘をイジった、いかにも優作さんがアドリブで言いそうなギャグと、車へのこだわりや愛情が感じられる細かい描写が(私自身はまったく詳しくないのですが)ツボでした。

難点があるとすれば、やはりTVドラマの1エピソードとしては長すぎること。なので、これは最初から2時間の『探偵物語スペシャル』として発表された方が良いかも?

個人的な希望としては、読む時間がなかなか確保できないので次回は60分枠に収まる程度の長さにして頂くと助かります。

ともあれ、力作お疲れさまでした。楽しませて頂きました。
返信する

コメントを投稿